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味方を殺した罪で事実上追放された私は、死んだと見せかけて旅に出ることにしました 〜生きているとバレて戻ってくるよう命令されてももう遅いです〜  作者: 横浜あおば
第3章 凋落王政の国

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第26話 晩餐への誘い

「あの、あなたは?」


 王族の関係者と思われる少女に、首を傾げ問いかける美空みく


「詳しくは中でお話しさせて下さい」


 しかし、少女はこの場では質問に答えず、まずは王宮の中へ入るよう促した。

 まあ確かに、王族に批判を向けるデモ隊の傍で立ち話をするのは気が引けるだろう。


「分かりました。……しかし、私たちが夕食にお邪魔して大丈夫なんでしょうか?」

「もちろんです。こちらからお誘いしたのですから、断る理由などございません」


 気品のある笑みを浮かべ、王宮の門をくぐる少女。

 美空たちも後に続いて足を踏み入れると、伝統的な様式の建物と車寄せに停まる真っ黒な高級セダンが目に飛び込んできた。


「王様ってこんな所に住んでるんだ! 偉い人って感じだね〜」

「なんか、すごく場違いな気がしてならないんですけど……」


 キョロキョロと周囲を見回す姉と妹は、正反対の反応を見せる。


 玄関ポーチまで辿り着いたところで、ふと少女が振り向いた。


「それで、先ほどの質問の回答ですが」

「ああ、はい」


 保留にされていた美空の質問に対する答え。

 見た目からしてメイドか使用人だと思っていたのだが、彼女の身分は予想外のものだった。


「私は、シャムコン王国王位継承権第四位、王孫のプロイと申します」

「お、王孫って、王様の孫娘ですか!?」


 思わず大声を出してしまい、美空は慌てて口を押さえる。


「驚かせてしまいましたよね? 申し遅れてしまったこと、お詫び致します」

「い、いえ。それは全然……」


 謝罪するプロイに逆にこちらが恐れ多くなってしまい、美空もぺこりと頭を下げる。


 それにしても、まさかこの少女が王様の孫だったなんて。

 顔立ちも良くスタイル抜群、表情や口調から滲み出る上品さ。端々から王族感は出ていたのだが、服装があまりに地味だったので考えから外してしまっていた。


「でも、どうして私たちを夕食に招待したんです? ただ前を通りかかっただけなのですが……」

「あなたは先ほど、一触即発の危機的状況を収めて下さいました。ですので、そのお礼といったところです」


 プロイは王宮の中から一部始終を眺めていたと初めに言っていたが、自分は別に彼女にお礼をされるようなことは何一つしていない。


 そもそも論、いきなり王様の孫が出て来て夕食に招かれるというのもおかしな話だ。もしかしたら、何か裏があるのではないか。

 美空は皇国から逃げ出して以来、テンシャンでもハノミンでも散々な目に遭ってきた。人間は学習する生き物だ。何度も同じ手には引っかからない。


「あの、プロイさん。失礼を承知で伺います。あなたの本当の目的は何ですか?」


 ここで嘘を貫かれてはいけない。美空は毅然と問いかける。

 それに対し、プロイは長いため息を吐いてから微苦笑を浮かべて。


「……あなたに隠し事は無意味だったようですね」


 と、諦観したように呟いた。

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