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味方を殺した罪で事実上追放された私は、死んだと見せかけて旅に出ることにしました 〜生きているとバレて戻ってくるよう命令されてももう遅いです〜  作者: 横浜あおば
第3章 凋落王政の国

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第25話 デモ隊の矛先

「シェンリーさん、メイフェンさん。あの騒動ですが、どうやら王族に不満を持った人間が王宮の前でデモ行為を行なっているようです」


 美空みくがそう伝えると、メイフェンは「そうだったんですね」と頷いた。

 しかし、デモという言葉に聞き馴染みのないシェンリーは、頭にハテナマークを浮かべてぶつぶつと何やら呟いていた。


「デモ、デモ……? でもデモ……」


 もはや何を言っているのか彼女自身も訳が分からなくなっている様子。

 美空はそんなシェンリーの肩に手を置き、優しく微笑みかけた。


「簡単に言うと、『もっとこうしてほしい』『あれをやめてほしい』って、お願いをすることですかね」


 これで理解出来るだろうか?

 何となくのニュアンスを伝えてあげると、シェンリーは「なるほど!」と表情をパッと明るくさせた。


「つまりあの人たちは、偉い人にお願いをしてるんだね!」

「まあ、間違いではない、でしょうか?」


 実際はそんな生易しいものではないが、シェンリーはまだ知らなくて良いことだ。


 そんなことより、いい加減夕飯を食べたい。


「王宮の近くなら、きっとレストランもあるはずです。早く空腹を満たしましょう」


 美空は姉妹と共に移動を開始しようとしたのだが、それは思わぬ攻撃によって妨害されてしまった。


 突如、催涙弾がこちらに投げ込まれたのだ。

 美空の魔法防壁によって直接的な被害は免れたが、デモ隊の標的となってしまった事実は変わらない。しかし、なぜ自分たちが狙われたのか。


「美空さん!」

「美空お姉さん!」


 不安そうに名前を呼ぶ姉妹に、美空は背後に隠れているよう指示を送る。

 そして、デモ隊の声に耳を傾ける。


「テンシャン人は出て行け!」

「俺たちから搾取して、お前たちだけ裕福な暮らししやがって!」


 彼らの主張からして、シェンリーとメイフェンがテンシャン人であることが攻撃された理由のようだ。


 確かに、最近はテンシャン企業も急激にシャムコン王国に進出してきている。それは安い労働力を大量に確保するため。

 そのようなテンシャン企業による行き過ぎた低賃金長時間労働が、シャムコン国民の反テンシャン感情に繋がったということか。


「しかし、シェンリーさんとメイフェンさんに矛先を向けるのはおかしいです。こんなのただの八つ当たりではないですか……」


 美空は呟き、鋭い視線をデモ隊に向けた。


 すると、こちらに向けて罵詈雑言を浴びせていたデモ隊の男性だけでなく、周りを取り囲む警察官までもが動きを止めた。

 このチャンスを逃すまいと、美空は声を大にして告げる。


「年下の女の子に向かって催涙弾を投げるなんて、あなた達は一体どういう神経をしているんですか? いくらテンシャンが嫌いだからって、やっていい事といけない事がありますよね? それくらい大人なら分かるでしょう? それに、警察も警察です。彼らを余計に煽動して、混乱を拡大させてどうするんですか」


 感情のままに、思い切り正論をぶつけた美空。

 そんな美空に対し、その場にいた全員が俯き黙り込む。


「はぁ……。今回は私が守れたから良かったものの、これで誰かが死んでしまったら誰が責任を取るつもりだったんです?」


 ため息を吐き、声のトーンを落とす。

 これで少しは彼らも冷静になれただろうか。


「では、私はもう行きます。通りすがりのよそ者がでしゃばってしまい、すみませんでした」


 美空は頭を下げ、後ろの姉妹と顔を見合わせる。

 そして、今度こそ夕飯にと足を踏み出したところで、今度は女性に声をかけられた。


「あの、お待ち下さい……!」

「何でしょう? 文句でもありますか?」


 少しイラっときたので態度悪く振り向いてしまった。

 だが、美空を呼び止めたのはデモ隊や警察の人間ではなく。


「わたくし、王宮の中からあなたの勇姿を拝見しておりました。この場を収めて頂いたこと、大変感謝しております。そこでご提案なのですが、もし宜しければお夕食召し上がられていきませんか?」


 それは、高校生ほどの少女からの、王宮の晩餐への招待だった。

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