専属メイドとのお勉強3
今日も、よろしくお願いします!
「ユリさん。今日は、この世界のことや母さんのこと、自分の今後についてなどを、教えてくれて、ありがとう。もう、夜も遅いし、解散しよう。ユリさんも仕事が多くなって、大変だったでしょ?」
俺は、ユリさんに感謝の言葉を述べ、解散を提案する。ユリさんにたくさん働いてもらって、申し訳ないからね。まぁ、実際には、自分も早く寝たいだけなんだけど。
「はい。お気遣い、感謝します....」
ユリさんは、椅子から立たずに、何か言いたそうに、俺を見つめる。俺なんかしたのか?
「ユリさん。どうしたんですか?」
ユリさんは、俺が問いかけて、ちょっとすると質問に答える。
「その、幸様は、風呂上がりに髪の毛を溶かしていないでしょう?」
そう言われ、自分の髪を見る。エメラルドグリーンの足元まで、届く髪だ。あの男は、茶色だったし、母さんの方がエメラルドグリーンだったのかな?まぁ、母さんは、会ったこともないけど。今は、志帆さんっていう、新しい母さんもいるしね!
だが、まぁ確かに、溶かしていない。めんどくさいし、しなくてもよくない?
「眠いし、今日はいいや」
俺が言うと、ユリさんはムッとしたように、頬や膨らませる。可愛い...やっぱり、ユリさんは、素の顔が一番だね!
「でも、それほど長い髪でしたら、ちゃんと溶かした方がいいですよ。幸様は、まだ幼いので、ケアをしなくても良かったかもしれませんが、これからは抜け毛やら枝毛などが、出てきますよ?」
「えぇ、でも、めんどくさいし。どうせなら短く明日切ってもよくない?」
それに、今まで気にしたこともないしなぁ。
「いえ、ダメです。志帆様にも、腰のあたりまでは、残すと決めたのでしょう?ちゃんとケアしないと、これから大変ですよ?それに、志帆様の息子がだらしのない、格好で外に出たら、あそこの教育は、どうなってるんだ!!みたいな感じになりますよ?」
「う!」
母さんが、バカにされるのは嫌だ。俺は、息子にしてもらったんだから、ちゃんとしないと。
「わかったよ、ユリさん...ふわぁ~、眠い」
つい、欠伸をしてしまったよ。というか、もう夜中の二時ぐらいだよ?ユリさんも大丈夫?
「ふふ。幸様は、寝ぼけてても、大丈夫ですよ?ただ、その椅子に座っていてくださいね?」
心配しなくても、良さそうだ。彼女に無理しているような、素振りはない。
「うん...わかった。お願い」
「はい!まかせてくださいね!」
ユリさんは、満面の笑みで立ち上がる。金髪の髪が、横に流れてとても綺麗だ。
ユリさんは、俺の側に寄ってくると同時に、どこからともなく、櫛を取り出す。
「ユリさん?どこから、それ出しだの?出してるとこ、見えなかったけど?」
俺が興味で聞くと、笑顔で言う。
「ふふ、メイドですから」
「あ、そう...」
へぇー、ふぅ~ん。答えになってないじゃないか!なんだよ、メイドですからって!?まさかのメイド万能論!?
まぁ、眠いから、もう聞かないけど。というか、眠すぎるよ。もう、この椅子居心地良すぎ。ああ、この柔らかさ。あ!ソファか!?これが、噂に聞く、ソファとやらなのか!?
前世も現世も、貧乏だからなぁ。よかった、母さんが、母さんになってくれて。
ユリさんが、俺の長い髪を持ち上げて、ため息をつく。
「どうしたんですか?」
「ああ、ごめんなさい。こんなに、触り心地がいい髪を、ひさしぶりに触ったので」
「ええ?そう?俺的には、風呂で触ったユリさんの髪の方が、サラサラで心地良かったよ?」
そう。風呂で触ったユリさんの髪は、俺よりも、手入れの行き届いたサラサラの髪だったはず。艶もあって、綺麗なのになぁ?どういうことだ?
「...」
ユリさんは、何も言わずに俺の髪を触っている。俺は、しばらく考えているうちに、ある答えにたどり着く。
「あ!ユリさんには、悪いかもしれないけど...もしかして、ユリさんが、見た目も触り心地も、醜くなるのって、他の人じゃなくて、ユリさん自身も?」
後ろで、息を呑む気配がする。当たりか。
「ユリさんの髪は、綺麗だよ?」
俺が言う。本心から言った言葉だ。彼女の本来の姿を見れば、誰でもわかるはずだ。彼女が綺麗ってことぐらいね!
「ふふ。嬉しいことを言ってくれますね?そう言って頂いたのは、志帆様と桂様以外で、初めてです。ありがとうございます!」
「うん」
喜ぶ彼女に、俺は、できるだけ素っ気ない返事をした。彼女が、綺麗なのは、当たり前だよってことを、伝えたかったから。伝わったかな?
でも、母さんと桂さんしか、ユリさんの本来の姿がわからないのか。なんでだろう?明日聞くか...今は、もう眠い。
俺は、そのまま寝てしまった。
対して、ユリは笑顔で、幸の髪を溶かしていった。本来なら、ここまでするきはなかったのだが、風呂でのこと、そして、今のことで、彼女の幸への認識が変わった。
最初は、醜い自分を見て目線を逸らしているのかと思った。たも、実際には、そうではなかった。むしろ、本来の姿を見て、恥ずかしがってくれたのだ。
最初は、幸のことなど、ただの可哀想な子供としか、思っていなかった。だが、今は....
「はぁ。自分の本当の姿が知りたい...」
彼女は、1人愚痴た。誰も聞いていない、2人きりの部屋で。もちろん、幸も聞いていない。彼女のみが知る、悲しい、愚痴だ。
彼女は、そのあとも、幸の髪を溶かし続けた。
面白かったら、評価ボタンクリックと感想をお願いします。
感想は、返信するようにします。
ブックマーク登録もお願いします!(登録してくれている方々、ありがとうございます!元気が出ます!ちゃんと読んでくれているんだなって、思えます)