オオカミ少年
狼がくるぞ!
オオカミ少年は
独白の草原を走り出す
迷える羊を導こうとあがいてる
インクがとび
現実に巻き戻される
その時まで書き続けて
嘆く感嘆符の森
喘ぐ記号の街
苦痛で戻れなくなる行間の城
つまらない
詩を書いてみて
ぐしゃぐしゃに丸めた紙
そこにあった物語
苦しみながらも生み出す言の葉
彼らはどこまでいけるのか
狼がくるぞ!
誰にも響かない
きっと私の詩も同じだ
オオカミ少年は
独白の草原を走り出す
迷える羊を導こうとあがいてる
自分の名に
託された
想いが伝わってくるから苦しい
誰か助けてと
紡いだ文字列
気づいてくれる人は案外近くにいたりして
そんなゆめをみて
届かない想いをころして
電子の彼方へ投げ捨てる
泣き叫ぶようにただ
タイプライターを叩いてみる
文章の朝焼け
書式の夜空
どこかで見かけた文法の夕焼け
どうせいつかはさめるゆめだから
せめてこの詩は完成させよう
唯一届いてほしいこの想い
きっと誰にも響かない声
キーボードはどこか壊れていて
正しく私の心をうつしてはくれないから
溺れたプロットの海
流された誤字の川
歓喜したはずの感嘆詞の波
オオカミ少年は
独白の草原を走り出す
迷える羊を導こうとあがいてる
狼がくるぞ!
誰にも響かない
私の詩も同じだからこそ
電子の彼方へ詩を送る
誰にも響かない
きっと私の詩も同じだ