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地元転生~初恋人は元妹  作者: 暁瑠
5/10

楽しい?露天風呂

 俺がしょっちゅう工藤家にお邪魔しているからだろうか、親同士も仲良くなり、一緒に食事したりもするようになった。俺としては嬉しい限りだ。

 今日も一緒に紅葉狩り。ただ、父さん達は参加しない。父さんは相変わらず忙しく、工藤父も、友人とゴルフだそうだ。好きじゃなくても、大人は、付き合いが大事。一緒に紅葉狩りに行けなくて、残念がっていた。

 大人は楽しめても、子供はそうはいかない。葉っぱの色が変わったからって、嬉しくもない。茜はイヤホンで音楽を聞いているし、俺もただぼんやりと外の景色を見ている。


「透ちゃん、もう少しだよ」


「?何が?」


「お母さんから聞いてない?露天風呂に入るんだよ」


「そうなの?」


「うん。私が体洗ってあげるね」


「えっ…僕は男湯に」


「お父さんたちいないんだから、駄目だよ」


「だ、駄目だよ!」


「小学1年生が、一人で入る方が、駄目だよ。どうしたの?透ちゃん。恥ずかしいの?」


「当たり前だよっ!」


「良かったじゃない?大好きな茜お姉ちゃんが、洗ってくれるって」


「僕、恥ずかしいよ」


「何言ってるのよ。お家のお風呂じゃないんだから、駄目。10才になったら一人で入っていいから」

「酷いよ。母さん」


「さあ、着いたよ!…ほら、観念なさい」


「透ちゃん、おばさんが洗ってあげようか?」


「じゃあ、それで」


「駄目だよお母さん、弟の体は、お姉ちゃんが洗ってあげるんだから」


「はいはい。茜は、透ちゃんが可愛くて仕方ないのよね」


 こうなったら、一番に入って体も洗う。それでさっさとお風呂に入る!


 温泉は、内湯が檜で出来ていて、外は結構本格的な露天風呂だ。仕切りの向こう側には色づいた山肌が見え、日本庭園風に造られた一角にも、細いながらも楓が植えられている。


「捕まえた」


「ええっ?!」


「嫌がってたくせに、走って行っちゃうんだから」


 振り返ると、タオルを首にかけた茜がいた。こら、少しは隠しなさい!いくら微妙な膨らみでも、女の子なんだから。…別に妹の裸を見たからって、何とも思わないぞ。まだまだ子供だし…うん。大丈夫。

 手を引かれ、洗い場に連れて行かれる。油断していた。さっさとタオルを捕られてしまった。…けど、7歳の裸を見られたからって、なんてことは無いはず。…ないったらない。よな?


 洗い終えて露天風呂に入ると、やっぱり子供の体では、座ってゆったり浸かる事は出来ない。必死に首を伸ばすが、無理そうだし、疲れる。

 茜がそれを見て、なんと自分の膝の上に俺を乗せて、後ろから抱きしめてくる。ちょっとたんま!いくら何でもそれは反則だろう。茜にしてみれば、落ちないようにしてくれているだけ…の筈!!…落ち着け、俺。今の俺は、7歳の子供なんだから。


「気持ちいいね、透ちゃん。私、露天風呂大好き」

 いや、こっちはそれどころじゃない。よくラノベでは、精神が体に引っ張られると言うが、全世の記憶をしっかり持っている俺には、そんな事全くない。ドキドキが止まらない。妹だからって、今は血の繋がりもない。俺より6つも年上だし、何と言っても可愛い。


 やっと風呂から出た時には、俺は疲れ果てていた。色々な意味で。


「ふふっ、また一緒に入ろうね!」


 普段の可愛い微笑みが、この時ばかりは悪魔の笑みに見えた。



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