プロローグ
投稿し直しました。
2018年12月24日、世間ではクリスマスイブで賑わっている中、高校2年生男子、坂本一寿さかもと かずとしはショッピングモールで飲食店のアルバイトをしていた。
クリスマスにバイトなんて負け組なのではという考えから、いまいちやる気が起きず、仕事に身が入らない一寿だったが、顔は普通で大人しい性格、一言で言えば地味である彼は特にこの日予定もなかったため、というか、どうせないだろうという扱いで容赦なく仕事を入れられていたのだった。
さすがに時期も時期なだけあって、この日は絶え間なく客がやってきて、とにかく忙しかった。
昼の3時を過ぎ、ようやく一息つける状態になり、喉が渇いたため一寿は店を出た。
近くの自動販売機でいつものコーヒーを買おうと財布を取り出そうとした。
ふと、こちらを凝視する視線に気づいた。10歳くらいだろうか。うなじで束ねた髪をそのまま垂らしたおさげ髪の女の子だった。
じっと見られたまま、声をかけようか迷っていると、女の子は後ろに振り向き走っていってしまった。
一体何だったのか、一寿は一瞬疑問に思ったが深くは考えなかった。
その後、下のフロアの休憩室へエスカレーターで向かうその時だった。
ガタンッ!と上の方から聞こえた音の方を振り向くと、さっきのおさげの女の子がバランスを崩したのか今まさに落下する瞬間が一寿の視界に入った。
危ない!と、とっさにほぼ無意識に身体が先に動いていて、一寿は女の子を受け止めようと手を伸ばした。
しかし、想像以上の衝撃を受け止めきれず、そのまま一寿と女の子はエスカレーターから落下してしまった。
せめて、この子だけでも!
落下する刹那、一寿は女の子だけでも助けようと少女を両手に抱きしめ、神に祈った。
結局たいした人生ではなかった。彼女もできた事がないし、何でもそれなりにできるが1番になったことはなかった。
もし、次に生まれ変わるなら……
直後、一寿の意識は途絶えた。
次回からセリフの吹き出しをつける予定です!