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悪役になりたい少女

作者:

悪役、それは孤高であり高潔で最高に格好いい

私の持っていないものを持っている悪役に六歳の頃漫画の世界で出会いそれから十年間憧れ続けている

そして、今私は長年の夢を叶える最高の舞台が目の前に広がっている

家柄、権力、財力、美貌共にトップクラスの揃った生徒会、絶対的正義掲げる男前が揃う風紀委員、大人の魅力を振り撒く保険医や生徒会顧問、理事長、そのイケメンたちに囲まれる小動物のように可愛らしい美少女、まさに憧れに憧れた乙女ゲームのような学校でまだ悪役のいないチャンスを逃すてはない

さっそく悪役になるために美少女を苛めてみることにしたが、苛めるとはどういうことを指すのだろうか教科書を捨てたり、制服を破いたりしていたがそれはお金がかかってしまい申し訳ない、暴力を加えるのもあんな可愛らしい顔を傷付けるだなんて恐れ多い、権力的な圧力も私の家はお金を持っているとはいえこの学校内では下の方だし、いざ考えてみると案外思い付かないものだ

取り敢えず同じクラスなので掃除を押し付けてみた


「ねぇ、私もう疲れたから残りをやってくれない」


と塵取りを美少女に押し付けた

美少女は目を白黒させ驚いている、上手くいったと一人、ほくそ笑みながら帰路をルンルン気分でスキップしそうになるのを我慢しながら歩いた

次の日はなにをしようかベットの上で考える

例えば上靴に画ビョウを入れてみたり、ノートにカミソリを仕込んだりは確かに王道ではあるが美少女に怪我をさせるだなんてとんでもない

なら、虫を入れるのはどうか、しかし、生きているものは普通の女の子は怖がってしまう

それならおもちゃならどうだろうかかなりの妙案だ、思い立ったが吉日さっそく用意をしよう

私は誰も来ていない朝早い下駄箱で美少女の上靴の中にゴムでできたゴキブリやムカデを大量にこれでもかとぶちこむ

そのあとに周りに誰もいないか確認し堂々とこの日のために腰まで伸ばした髪をなびかせこの場を後にする

結局美少女の様子が気になり職員室にいくのを装い美少女が登校する時間に近くの下駄箱にストーカーのように張り付いて覗く

今までの習慣は美少女の日常観察だった

行動を知っておくことでいつでも苛められるように下準備していたのだ


「さすがにおもちゃとはいえ虫はやり過ぎだったかなぁ。やっぱりゴムでできた画ビョウとかの方が良かったかも」


いまさら後悔しても遅い、美少女は既に下駄箱を開けていた


「なんだおもちゃか」


とつまらなさそうにゴミ箱へと捨てていく

ん?思っていた反応と違う

もっとキャ~とか可愛らしい悲鳴をあげるのを期待していたのにかなりガッカリする

気が付けばたくさんの生徒が登校してきており下駄箱から美少女を見つめる私をいぶがしげに見ていた

視線に気が付いた私は慌てていつものように背筋を伸ばし、髪をひるがえしこの場を後にした

さすがに全てを誤魔化しきれたとは言えないが悪役として狼狽する姿を見せるのだけはできなかった、あくまでもこの学校では悪役としての立場を確立しているのだから


「なんで上手くいかないのかしら。ねぇ、フェリシア私のなにが悪かったと思う」


昼休みにいつも訪れる校舎裏には一匹の白い毛並みの子猫がいる

いつの間にここに居着いたのかは分からないが気が付けば毎日のように上手くいかなかったことを愚痴ってばかり、言葉が分からないことをいいことに不満ばかりをぶつける自分にうんざりしてしまうが学校では悪役だからそんな不満をぶつけれるような相手もいないから仕方がないと自分に言い聞かせる


「はぁ、ダメよ、こんなじゃ。私は悪役になるんだから、挫けてはダメ」


そう、私は孤高で高潔で最高に格好いい悪役を目指しているのだから

それにお兄様も自分で決めたことは最後までやり遂げなさいといって言っていたし今更悪役を諦めれるわけがない

憧れていた存在になれる場所が人間がいるのだから


「そう、今がダメなら次があるじゃない。覚悟しときなさいよ、ヒロイン!」


自分に気合いを入れ直し、崩れてしまった髪を整えお腹一杯に空気を取り入れ高笑いをする


「オーホホホホホホ……これくらいでいいかしら。じゃあ、行ってくるわねフェリシア」


私はフェリシアに今日の愚痴を聞いてくれたお礼に水をついだお皿と猫缶を置いていく

そして、ダメな自分から悪役へと切り替える

手には悪役必須なアイテムレースでできた扇子を持ちヒロインをイジメるために校舎へと踏み出した

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