41話目(最終話)
<待機室>
おめでとう。おめでとう。おめでとう。おめでとう。
たくさんのプレイヤーに笑顔で拍手されながら迎えられた。何で?拍手しているのも知らないプレイヤーが多い、何が起こっている?
俺が戸惑っていたら俺より早く【脱出】を使った蒼の騎士団のメンバーが教えてくれた。なんでも、この待機室のマイルームのパソコンで全サーバーの状況をある程度見ることができるらしい。つまり、ゲームからいなくなったプレイヤー全員に俺達の行動は見張られていたと思っていい。攻略の最前線で、更に少し前までラスボスと戦っていたのだから当然だ。その攻略組のリーダー的存在であった俺の顔が皆に知られているのは自然なことで、俺が【脱出】を使った瞬間まで見られていたらしく、お出迎えにあったわけだ。
なるほど、つまり皆の命を救った英雄ブルーノ=フェルセンのお出迎えだったらしい。とりあえず手でも挙げて応えたら満足したようで解散となった、俺もずっと囲まれては困るし、話したい面々もいるのでありがたい。
先に来ていたメンバーによれば、全てのサーバーでグランドクリアすれば切り上げてゲーム終了するかもしれないが、PK有りのサーバーはグランドクリアがかなり厳しいから多分ないだろうとのこと。つまり後2ヶ月ほどここで待たなければならないらしい。
まあグランドクリア共有権があるし、必要な情報は残っている誰かが書き込んでくれるだろうからこれ以上どうしようもないので、ここでグランドクリア目指すなら頑張れという言葉しか出せない。
さて、これからどうしようか……他のサーバーの様子でも見ながら過ごすか、休憩室にはゲームや漫画も豊富にあるからゴロゴロするか。
どちらにしろここで待つことしかできないから、適当に過ごそう。
とりあえずマイルームに行ってみると、ゲーム内のマイルームと違う所が一ヶ所あった。電話機があるのだが、プレイヤー同士では電話を使わなくても連絡を取ることができるので今まで見ることはなかったのだが……。
マイルームのしおりがあったので見たところ、コールセンターに繋がるらしい。質問や要望は受け付けるが苦情はお断りと書いてあるが、それは無理だと思う。
そういえば最初から気になっていた事、何故俺の前世の世界に似ているのか、この疑問を解決する絶好のチャンスではないだろうか?もちろん前世の世界と違う箇所も多いのだが、明らかに知らなければここまで酷似しないだろうという箇所も多かった、これは是非知りたい。
しかし何と説明すべきだろうか、「俺の前世の世界に似ているけどどうしてですか?」なんて聞いたら頭おかしい人だと思われるのが関の山だろう。
悩んだ結果「グラフィックに感動したので、是非グラフィック担当の責任者に直接感謝申し上げたい」とか「是非お話をしたい」と電話の担当者に告げたところ、何回か渋られたがなんとか直接話ができた、やってみるものである。
グラフィックチーフの沢村さんと話をして、首都のデザインについて聞いてみたところ
”昔に夢で見た風景をそのまま描いた”
と言ってきた。そこで俺がすかさず、前世の国の名前の首都ですか?と聞いたらえらい驚かれた。何か知っているなと思い話したところ、驚くべきことに沢村さんも転生者らしい。
そこから雑談タイムに突入したのだが、いろいろなことが発覚した。一番大きかったのはブエノン草がすごい凶悪な毒草になっていた理由であるが、ある年に突然変異を起こして特徴が変化、毒性もパワーアップ、更に異常繁殖して大量の死者を出したのだとか。
……なるほど、俺が死んだのは突然変異を起こしたブエノン草を採取したせいか、ついうっかりで死んだことを後悔していたが、どうやら違うらしい。朗報、俺うっかり死亡じゃなかった。
あとデスバフォメットがラスボスなのはそれから十数年後にデスバフォメットが各地で大量発生し甚大な被害を被ったからだとか。アレの大量発生とか悪夢そのものだな。
それとこれも驚いたことだが、沢村さん以外にもあと1人同じ世界の出身者がいるらしい、若干生きていた年代が違うそうだが、転生者が何人もいることは驚きであった。
酒飲めるようになったら飲みに行こうと約束して雑談終了、楽しかった。
数日すると他の蒼の騎士団のメンバーも待機室に三々五々やってきた。彼女持ちの人はいちゃいちゃしながら短い時が過ぎるのを待ち、いない俺達は麻雀大会を行った。
ちなみに俺の順位はまぁまぁな結果で終わった、対局中にプレイ中の行動についての会話で動揺しなければもう少し順位はよかったと思う。最後の肩叩きをネタにするのは止めろ。
時は流れ、RFZの365日が間もなく終わる、結果であるが10サーバー中8サーバーがグランドクリアという結果に終わった。PK有りのサーバー2箇所がダメだったので、PK要素はグランドクリアには悪影響だったようだ。
後1分、長かったRFZもこれで本当に終わり、突然ログアウトされる可能性もあるので仲間と別れの挨拶だけは済ませておいた。
カウントダウンが終わる、0の数字が訪れた後アナウンスが流れた、またあの女性の声で。
”プレイヤーの皆様、RFZをプレイしていただきありがとうございました。これにてRFZは一旦終了となります、つきましては株式会社ハードソン取締役武田より皆様に今回このような出来事に巻き込んだことについてお詫びの言葉がありますのでお聞きください。”
ついに明かされた名前、責任者は武田というらしい、普通の名前だ。
”えー、プレイヤーの皆さん、取締役の武田です。この度はこのようなデスゲームに皆様を巻き込んでしまい誠に申し訳なく思っております。”
一応悪くは思っているのか、てか周りのブーイングがうるさくて声が聞きづらい、もう少し静かにしてほしい。
”まず皆様にお伝えしなければならないことがあります。このリアルファンタジーゼロはデスゲームではありませんので、皆様の生命に危険はありません。”
…………ハァッ!?
”まず、このリアルファンタジーゼロがこのようなデスゲームを騙るようになった経緯ですが……”
言い訳やらなんやらが長いので俺が簡単に説明するとこんな感じだ。
まず、このRFZはデスゲームだと言ったな、あれは嘘だ。俺がこの世に転生したときから嘘つきなのは皆知っていると思うが。
何故このようなことをしたのかというと国が行った大規模な特殊条件下における集団心理等の調査とかそんな感じのことをするためだったそうだ。つまり、このRFZは俺達人間の心理テストだったんだよ!
こんなことしていてこの国は本当に大丈夫なのだろうか、不安である。
それとお詫びとして今回のテストに巻き込まれたプレイヤーは正式版へのアップデート終了時から1年間RFZを無料で楽しめるそうだ。
……と言われても俺は3ヶ月後には警察学校に行く身で、今から車の免許も取らないといけないし、警察学校入学後はまともにVRMMOをする時間などはない、何らかの嫌がらせだろうか。
そうそう、このお詫び説明が終わった後巻きこまれたプレイヤー全員は無事ログアウトし、現実に戻ったのであるが、そんなお詫びで皆納得するわけもなく、直後株式会社ハードソンの公式サイトは炎上した。仕方ないね。
ちなみに一週間後正式版にアップグレードされたのでログインしたら色々変わっていた、俺を支えてくれた毒草達は撤去されたり、僻地に追いやられていた。また変則的な倒し方ができるダンジョンは普通のダンジョンに改装され、例を挙げると、氷魔法で死ぬ灼熱の岩石巨人になっていた。普通のファンタジー系のVRMMOになっていたので普通にプレイする分には非常に面白かった。あんな心理テストなんかしなければよかったのにと思わずにいられない。
《数ヵ月後》
今日でRFZもしばらく封印だ、午後から新しい生活が俺を待っている。ゲームからログアウトをして部屋の片付けを済ませて親の車へ。
明日からの新生活頑張っていこう、なぜなら頑張ったことは無駄にならないと知ったからだ。
前世ではあっさりと死んでしまったので、あの苦労はなんだったのかと思う夜もあったが、こんな形ではあるが役に立ったのだ。
今日頑張ったことは明日役に立たないかもしれない、でも1年後や10年後役に立つかもしれない。もし役に立たずに終わったとしても来世で役に立つかもしれない。
じゃあ今日のため明日のため1年後のため来世のため、今日も頑張るとしましょうか。
最後までお読み頂きありがとうございました。
後書きと言いますか制作裏話みたいなものを活動報告に書きました。




