3話目
18歳になった、現在高校3年生である。
俺は今、県内のギリギリ進学校になるような高校に通っている。今年は受験……ではない、俺は就職予定なのだ。
こちらの季節は現在12月、受験生は勉強に忙しい季節であるが俺には関係ない。俺の就職がほぼ内定している、ちなみに警察官である。ほぼ内定というのはまだ最終結果が来ていないからだが、同じく警察官の叔父さんからこっそり「お前ちゃんと受かってたよー」という電話が着たから一安心だ。勝手に教えていいのか?と思わなくもないが、合格しているかを憂慮する必要がなくなったのは素直にありがたいことなので、感謝している。
で、無事就職先が決まったわけだが、若干の問題が出てきた。そう、暇な時間が増えたのである。車の免許くらいは取りに行くのは決定事項だが、それ以外の時間何をしようかなというところだ。友人諸君は現在受験勉強に忙しく、こちらから遊びに誘うのは若干ためらいがある、誘われたらホイホイ着いていくけどね。
さて、皆さんにはこちらの商品が見えるだろうか?
見えないだろうね、では解説しよう。こちらの機械は次世代型ゲーム機であるVRMMO専用マシンで、その名を”PLAY DIGITAL STATION”、通称PDSというゲーム機だ。これは年号が平成だった頃に販売されていた据え置き型ゲーム機や携帯ゲーム機とは全く異なる、なにせ見た目がフルフェイスのヘルメットだし。
このPDSのすごい所は、PDSを装着し起動すると自然に睡眠に誘われて夢の中で自分の体を操作するようにゲームができるという点だ。まるで実写のようという表現では収まらない、本当に現実のようなリアル感を味わえるということで大人気となった。
そしてもう一つ、こちらのディスクであるが、本日午後9時に新しく開始されるVRMMOゲーム、”REAL FANTASY ZERO”略してRFZのインストールディスクである。ここまで言えばもう分かるであろう。俺は暇つぶしのために新しくこのRFZをやることにしたのだ。
今までに二種類のVRMMOゲームを行ったことのある俺だが、両方とも途中参加で、最初に始めた近代兵器を使ったアクションゲームは性に合わず、次に始めたファンタジー系のゲーム情報が出揃い達人レベルのプレイヤーが多い状態からのスタートでなんとなく閉塞感があり、結果両方1年持たずに止めてしまった経験がある。
そこで今回新しく開始されるファンタジー系のゲームを探したところ都合よく一致したのがこのRFZだったというわけだ。リアルってタイトルで謳ってるくらいなんだからもしかしたら俺が昔いた世界と同じくらいリアルなんじゃ?という期待もあり本当に楽しみだ。
さて、昼食も食べ終わった午後1時、キャラクターの作成を開始することにしよう。ゲームはまだ開始できないが、キャラクターの作成はすでに可能なのだ。むしろ開始時間までに作っておかないと困る、何故なら初回版に関しては
開始初日である本日の午後9時に必ずログインでき、午後11時までのログインが可能なこと
を守れる方のみ購入してくださいという注意書きが添えられているからである。
何故このような注意書きがあるかというと、この手のゲームはオープニングが重要であり、一般的にそのときのプレイ映像が公式サイトにアップロードされるのだが、人がいないとどうも見栄えが悪いらしく、その後の参加人数に影響を及ぼすからだそうだ。それよりも評判とかが大事なんじゃないのかなーと思うのだが、俺がそんな心配をしてもどうしようもないのであまり気にしない方向で。
まぁつまり、午後9時にログイン必須なんだから、それまでにキャラ作っておかないと間に合わないのだ。キャラクターの作成は一週間前から可能だったが、早く作ると余計に意識して待ち遠しくなるので今日まで待ったというわけ。さて、ではサクっとキャラクターを作ることにしよう。
えー私は今、キャラクター作成画面の前にやってきています。現在このPDSにより俺の体型がスキャンされていまーす。
何故スキャンされているかであるが、現実と著しく差のある体型だと遠近感とかが大変なことになるらしい、詳しくは知らないが体型だけは現実とほぼ一緒にするのは必須らしい。
なお、変更できる箇所は主に顔周辺と髪、一部の体型変更、あと肌の色である。俺は顔はワンタッチイケメンボタンで適度に、髪は現実だとパーマが若干かかっているのでストレートに補正し、肌の色は変更しなかった。
ワンタッチイケメンボタンは現実の顔をベースにいい方向に勝手に補正してくれる便利なシステムだ、けっこう修正された、ちょっとショックだ。それと髪は憧れのストレートに、パーマ気質な人ならきっと分かってくれると思う。
そして名前であるが、これはもう最初から決めていた。俺の昔の名前である ブルーノ=フェルセン=ダイクン これしかない!
ブッブー 名前が長すぎます 全角10文字以内にしてください
俺の名前が否定された・・・だと。仕方ないので ブルーノ=フェルセン にした。ダイクンは住んでいた村の名前だし削除しても問題なしと自分を納得させた。というわけで俺のことは今後気軽にブルーノと呼んで欲しい、誰に話してるんだろうな俺は。