23話目
《120日目(7月29日)午後1時55分 残LP241》
【ブルーノ=フェルセン Lv49 LP241】
HP1210/1210
MP20/20 ST476/476
重量1582/2370
疲労度37 満腹度78 喉の潤い87
所持ゴル5006
STR49 AGI24 VIT65
INT10 DEX74 LUK78
残SP0
【装備スキル】
槍59 盾64 弓61 ダッシュ35
索敵42 因果の逆転(命中)31
直感44 ST回復速度向上56 違和感察知33
状態異常成功率上昇29
【未装備スキル】
採取69 鑑定26 潜伏6 調合100
状態異常耐性17 鈍器58 逃走技術34 属性付加19
【重要アイテム】
魔法カード【瞬移】3枚
デスペナルティ回避(1回)
モンスター図鑑(176種)
違法な毒物等 言い訳ができない程度の量
もうすぐ4ヶ月が経過する、ついこの間1ヶ月が経ったとか言ってた気がするが月日の流れるのは早いものだ。
毒を手に入れて3ヶ月弱、俺は強くなった。レベルは上がり、ソロではトップに近いレベルになったのだが、甘かった。俺の目的はあくまで魔法カード【脱出】の入手、この1点に関しては全く進んでいない。 俺の目的はレベルを上げることでも強くなることでもないというのに……ではこの3ヶ月弱の出来事を振り返ろう。
あれからダンジョンは新たに9箇所発見され現在12箇所になり、内3箇所がクリアされた。気になる【脱出】の枚数であるが、15枚、15枚、10枚と最低限かそれより少し上の枚数と寂しい結果に終わっている。どうやら10個あるサーバーでも競争があるようで、例えばこちらが10枚しか出なかったダンジョンは、最初にクリアしたサーバーでは30枚も出ている。
ネットでの推察であるが、どこかのサーバーでダンジョンクリアすればダンジョンの詳細、ボスの詳細が掲示板に書かれる。それを”他サーバー掲示板閲覧機能(10LP)”で閲覧することで情報を得ることが可能なため比較的楽にダンジョンクリアすることができる。そのため後でクリアしたサーバーの枚数が減るのでは、という説がある。本当かどうかは不明だが最初にクリアしたところが枚数が多いのは事実の模様。
それよりも問題は発見されたダンジョンのボスがかなり強敵だとのこと。例を上げると、魔法を全て吸収するクジラとか時間制限が厳しい城とかHPが減ると超強化されるミノタウロスとか。ダンジョンの難易度は高く、本当にクリアできるのか疑問視までされている。クリアできないなら何枚【脱出】が出る予定だとしても意味が無いしなぁ。
それとアイテム交換による【脱出】入手だが、こちらは誰一人達成していない。素材の入手が困難なのか、製作のスキルレベルが不足しているのか、恐らく両方だと思われる。俺もソロプレイヤーなのでこちらを狙っているのだが、アイテム名は分かるものの材料が不明で困っている。ダミアンにルカロイド草の調合方法を聞くため酒と饅頭を奢ったときに一緒に聞いたが、ダミアンも知らないそうで完全に手掛かりがない状況。狙えるなら狙いたいが今は無理だ。
そういえばルカロイド草を調合したところこんなアイテムができた。
■ 幻覚剤 重量2 ■
幻覚作用のある液体の入った瓶。矢に付加することで混乱属性を付加することができる。
これを矢に属性付加したところ
■ 幻覚の矢 重量0.1 ■
幻覚剤が塗られた矢。混乱8の属性が付加されている。取り扱い注意。
この幻覚の矢をモンスターに撃ったところ、ものの見事にに混乱していた。樹に頭をぶつける地面を掘る、ゴロゴロ転がる、仲間を襲うなどいろいろやってくれた。
混乱は回復すると何事もなかったかのように普通になるが、効果は十分なので重宝している。それと状態異常が失敗しないか心配だったので状態異常成功率上昇のスキルを購入した。これのおかげかどうか不明だが、今のところ矢が命中して状態異常に失敗したことはない、アンデッド以外。
そして予想外の幸運として、俺は相手が状態異常にかかっているかどうか分かるようになった。違和感察知が20を超えたころから、毒の場合は相手の後ろにドクロマークがうっすらと見えるようになったのだ。違和感察知は状態異常の有無を察知する効果もあったようだ、あのときの熱心なセールスに感謝だね。
あとモンスター図鑑の種類が176種と伸び悩んでいるが、これは首都のヨアキム(50ゴルで情報くれるNPC)の情報が100種で打ち止めになったからだ。それ以降は稀に出てくる程度で、ここ10日間で5種しか増えていない。この3ヶ月の大きな出来事はこれくらいだろうか。
もうすぐ期限である1年の3分の1が終わる、レベルは上がった、調合スキルも100になった、だが肝心の【脱出】が入手できなければどうしようもない。
俺はこのまま狩りばかりしていていいのか?何かもっと別のアクションをすべきではないのか?だが何をすればいいんだ?と考えながら狩りをして10日以上経つが全く状況が進展しない。データサーバー内でも倍速戦闘パーティー同士ががダンジョンクリアを我先にと殺気立っており上位陣の動向がほぼ不明な有様だ。
各種アイテムやスキル、MAPに関する情報等は最近特に多く公開された。ダンジョンをクリアした3組のパーティーが各自持っている情報を全て公開して【脱出】を使ったほか、2組の倍速戦闘パーティーから、もうLPがない後は頼む、と知っている情報を公開してくれたからだ。といっても、有益な情報(ボスの強敵ぶりとか)はあったが、俺の現状を打破するような情報は何もなかった。今のところ、俺の【脱出】の入手も、サーバーでのグランドクリアも全く目処が立っておらず、サーバー内には閉塞感が漂っているというのが現実である。現実は辛いよ。
様々な疑問を胸に今日も森で狩りをする。俺に明るい未来は来るn
「キャアアアアアアア、誰か助けてーーー!」
久しぶりだな、誰かのSOSだなんて。どうしよう、助けるべきか?と考えたところで疑問が生まれる。……誰だ?
この森は狩場としては不人気、というか狭間の場所だ。倍速戦闘パーティーにはレベルが低すぎる狩場、等速戦闘パーティーでももう少し上位の狩場に行くだろう、ソロ戦闘職にはレベルがキツい場所だからソロでもないだろう、こんな場所にいるソロはよほどの命知らずか毒無双で高レベルの俺くらいだ。自慢じゃないよ、自慢じゃ、ソロではほぼトップレベルだけどね。
少人数の戦闘パーティーか? 今までこの狩場で他のプレイヤー見てなかったんだがなぁ、北東エリアそもそも不人気だし。とりあえず行ってみるか、あの時と違って今は力があるので助けることができるかもしれない。わずかでも危険だと思ったら即Uターンしよう、潜伏しようにもスキル上がってないから発見されそうだしね。
俺は声のした方に向かうと意外な光景を見た。女性がモンスターに襲われている、これは別にいい、昔見たことがある光景だ。変なところはモンスターがエゾベアーが2匹という点、明らかに場違いだ。この周辺のモンスターに比べればライオンと猫ほど戦闘力に違いがある。そして女性だが、良く見ればプレイヤーではなくNPCだ。何故こんなところにNPCやエゾベアーがいるんだ?
ポクポクポク……ティーン!これはイベント戦闘だな、この答えが一番しっくり来る。仮に違っていたとしても大した影響はないだろう。じゃあサクッとエゾベアーを片付けますか。
エゾベアーを瞬殺、女性NPCアンサに大丈夫ですかと話しかける。
「あぁ、ありがとうございます、助かりました。薬草を取りに着たら普段いないはずのエゾベアーが出てパニックになってしまいまして、本当にありがとうございます。是非お礼をさせて下さい。私の家で夕食を振舞います、家の場所は……ここです。夜の6時から8時の間でしたらいつでも大丈夫です。絶対に来てくださいね」
ブルーノ=フェルセンはアンサの家に入れるようになった!
話すことを話すとアンサは消えた。色々突っ込みたいところはあるが、それは置いておこう。重要なことは、このイベントはWIKIでも掲示板でも見たこと無いイベントだという点だ。誰かがこのイベントを発見して内密にしている可能性もあるが、大半のプレイヤーは知らない可能性も高い、ただでさえ人の少ないエリア、そこをメイン狩場にしているプレイヤーは極めて少数なのだから。
このイベントはどんな条件で発生するのだろう、もしかして夏になると発生するとか?よく分からないが、まあいいや。考えてもどうにかなる問題じゃないし。今日は早めに狩りを切り上げよう。普段よりちょっとハイテンションで狩りを楽しんだ、狩りを楽しむ感覚はなんだか久しぶりだな。
《120日目(7月29日)午後7時15分 残LP241》
アンサの家に到着した。扉をノックすると見覚えのあるNPCアンサが出てきた。
「お待ちしていました、どうぞ入ってください」
中に通された。他のNPCは見当たらず、あるものと言えばキッチンと食卓用のテーブルくらいか。
「こちらでかけて待っていてください。もうすぐ出来ますから」
はぁ、と返事をして木の椅子に座る。間もなく料理が運ばれてきた、パンとポトフのような煮物料理だな。じゃあ食べようかな、と思ったところで3人分の皿を持ってきた。あとの1人は?と聞くと
「今おじいさんを呼んできますから、待っていてください」
といって2階に上がっていった。おじいさんとアンサが降りてきて、おじいさんから
「アンサの祖父のアハトと申します。この度は孫を救っていただきありがとうございました」
と感謝の言葉をいただいた。いえいえ、たいしたことはしてないですと謙遜したところでお食事会がスタート。あれ、これだけ?と思いながら談話をしていると
「冒険者の方ですか。うちのおじいさんも昔はモンスターと戦っていたんですよ、それはもう有名な魔法使いだったんですから」
あ、そうですか、すごいですねーと適当に相槌を打つ。アハトじいさんは
「まぁ昔はいろいろやりましたわ、ハハハッ。よければワシの武勇伝でもお聞かせしましょうか?」
過去の栄光か……。しゃあない、他に話題もないし聞くとするか。
「あれはワシがまだ若い頃でした。酒場で仲間と飲んでいましたらな、お前の魔法は信用ならぬと喧嘩になりまして、ワシも若かったのでついカッとなって実力見せてやると無敗を誇るモンスターを討伐に行きましてな…………をしたら死におったんですわ。最初仲間は誰も信じなかったんですが、奴の核を見せたらもう、皆手のひらを返しましてな、ハハハハハッ」
……。
「おじいさん飲みすぎですよ。あら、もうこんな時間ですか。そろそろお開きにしましょうか。本日はどうもありがとうございました」
……いえいえ、とんでもない、実に有意義な夕食会でしたよ。
「そういえば近所のサンドラとヘルミとクレータは大丈夫かしら。サンドラは草原に、ヘルミは砂漠に、クレータは山に行っているんだけど心配だわ」
え、まだいるの?そちらのほうはまた機会があれば、今はそれどころじゃないので。
「ではおやすみなさい」
それでは、また。とアンサの家から出た。笑みがこぼれる、笑いを止めることができない。まさかこんなイベントがあったとは、ハハッ。でも喜んでいる場合ではない。この情報を掴んでいるのが俺だけとは限らない。早いうちに行動を起こす必要がある、それに俺だけじゃ無理、仲間が必要だ。この数日間が勝負だな、この好機をモノにする、必ず。
《120日目(7月29日)午後9時50分 残LP241》
パソコンでSNSを閲覧中。知り合いがいないのでこんな方法でしか人を探せないのが不便だ。いや、SNSがあってよかった、なかったら本当にどうやって条件を満たしたパーティーを探すんだ。情報屋がいるという話はあるが、本当に実在するか知らないし、どちらにしろ俺は連絡先を知らないのでSNSのローラー作戦しかない。
俺の求める条件、実力やレベルの高いパーティー、つまり倍速戦闘パーティーであることが最低条件。それ以外に希望としては現在9人であること、魔法職が多いこと、現在崖っぷち、であれば尚良い。
ちなみに余った【脱出】を持っている倍速戦闘パーティーが2つあるのだが、一方は4名が【脱出】を使い6名しかいない、もう一方は現在誰もこのRFZ内にいないので今回の条件は満たしていない。
うーん、SNSだけじゃ条件を満たしているかよく分からないな。職構成が分からないと誘いにくいんだよなぁ……ん、ここなんかいいんじゃないか?チェックしておこう。
結果3パーティーに絞り込んだ。あとはどれにするかだが、正直断られる可能性がある、全部断られたらどうしよう、怪しさ満点なんだよなぁ。とりあえず第一希望のパーティーリーダーにメールを入れておく。ちょっとお話できませんかっと。全く面識ないけど返事来るのかなぁ……。
10分ほどすると返事が来た。明日の8時に街広場の外れで会うことになった、これで第一段階はOKだな。後は明日の俺の交渉と説得次第だ、うーん、取引以外で他プレイヤーとしゃべるなんてすごい久しぶりだ、緊張してきたぞ。
起承転結の転は長く結は短いです。




