15話目
何故こんなところにブエノン草が生えているんだ。
俺は死亡し転生した後、何の毒草が混じっていたのかと考えたのだが、死ぬ間際の症状から推測するに恐らくブエノン草が混じっていたのだろうと考えた、そのためこのブエノン草のことは特に記憶に残っている。にしてもどうして俺が知っているそのままの形と色なのか、なぜ俺の目の前に生えているのか。まさか世界を、時空を超えて俺を殺しに来たとでも言うのか?
まてよ、これは本当にブエノン草なのか?ただ形や色の似ている別の草なのではないのか?採取スキルを付けて毒草を一本むしり取り、鑑定スキルを発動させる。
■ ブエノン草 重量3■
毒草 ????????????????
やはりブエノン草か。名前も、葉の根元に微かに紫が混じった色も、横4方向に広がる葉の育ち方も形も全て、俺の記憶の中にあるブエノン草まさしくそのままだ。そういえばその辺りに生えている他の草はどうなのだろうと適当な草をむしってみた。
■ 雑草 重量2■
使い道に乏しい雑草 ????????????????
いろいろむしってみたが全部雑草、どうやらブエノン草は固有名詞をもらっている特殊な草のようだ。もしかして俺の知っている植物がこの世界にまだあるのか?と思ったところで思い出す。
そうだ、薬草!アイテムボックスから昨日採取した薬草を取り出す。表示されている名前のみに注目して葉の形状や色彩等を全く気にかけていなかった。薬草をよく見てみれば双葉のみがギザギザ状になっており、茎の中間部はわずかに青みがかっている、これは前世でも薬の材料となったサトミ草ではないか?うちの村では似た効用を持つタダシ草が多く取れたのであまり縁はなかったのだが、サトミ草も離れた場所に生えていたので、何度かクッカ婆に命令されて取りにいったことがある。
確かにサトミ草のほうが広範囲に生えているので一般的だった、知っている草が2つもあるとなれば偶然ではないだろう。しかしなぜこれらの草は俺の前世の世界にあった草にここまで似ているのか、その疑問は解けない。
うーん、なんでかなぁと思うが考えても解決する話ではない。むしろこの情報をどうするかが大事だ。ではどうするべきか、まずブエノン草が10本生えていたので全部採取。今後はグリーンスネイクの奇襲に注意しつつ周囲の植物を観察、採取し、敵を発見したら可能ならば倒すという長ったらしい目標というよりは行動方針だな、でいこうと思う。もちろん死なないことが最優先だ。
ない。生えていない。考えてみれば俺の知識の中にある有用な草は村近辺に生えているものに限られている。俺があの時植物学者か何かだったら話は違うのだが所詮は医者の使いっぱしりに過ぎない。つまり変わった草がそこにあったとしても俺の見知らぬ草の可能性も高いのだ。かといって手当たり次第にむしるのは効率が悪すぎる。そもそも薬草や毒草なんてそこら辺の草をむしれば手に入るような確率ではまず生えていないのだ、見つかればラッキー程度に考えたほうがいいか……ちくしょう。
このイライラをソロのゴブリンにぶつける、少しスッキリした。
雑草雑草雑草雑草ブラックウルフブラックウルフ、ブラックウルフらしきモンスターを発見。狼なので索敵能力と機動力が高いが、攻撃パターンはかみつきとひっかきのみ。1~4匹で活動することが多いが今回は2匹のようだ。2匹か、できれば1匹がよかったが妥協するところかな、先ほどの女性との戦いでどういう動きをするかは見ているし。
ブラックウルフは攻撃すれば素早くこちらに向かってくるだろう、弓による攻撃は一発だけだな。弓に矢を番え接近するも30歩離れた距離まで近づいたところで1匹がこちらを向いた。
気づかれたかっ!ブラックウルフ2匹がこちらに走ってくる。まだ撃ってはいけない、この距離では当たらない、距離が三分の二になったところで前にいるほうに向けて放つ。眉間に命中しひるんだ!俺は弓を捨て槍を片手に距離を詰め頭に向けて突き刺し、口の中を貫く。1匹を倒したものの、もう1匹が横から俺の足を噛もうと飛びかってくる。俺はまだブラックウルフの口内に刺さった槍を手放し、前転して回避する。起き上がり最後の武器である棍棒を取り出す。正面からとびかかってきたブラックウルフを横から力いっぱい棍棒で叩きつけ、その衝撃で転がるブラックウルフ。すかさず近づき竹を割るように上段から棍棒を振り下ろし勝負あった。まだ息があったがそのまま撲殺、さっきの女の人、仇は取りましたよ、多分個体違うけど。肉、小さな牙、毛皮をゲット。
この後食事をして今日は合計ゴブリン56匹、グリーンスネイク19匹、ブラックウルフ27匹の合計102匹を倒しつつ、道中で大麻草に似た植物のハシシ草を17本、別の毒草パラライ草12本発見、採取。重量が一杯になったのでそろそろ帰ろうかな、にしてもこの森薬草は少ないな、毒草は種類も豊富なのに。その後は何事もなく森を出た、午後はスキルが満遍なく上昇しレベルも上がったのだが・・。
【ブルーノ=フェルセン Lv5 LP399】
HP92/92 MP20/20 ST58/58
重量1339/1410 所持ゴル4045
疲労度88 満腹度27 喉の潤い46
STR17 AGI11 VIT14 INT10 DEX14 LUK14 残SP0
【装備スキル】
槍8 鈍器4 盾6 弓7 ダッシュ3
逃走技術2 索敵4 潜伏1
直感4 ST回復速度向上4
【未装備スキル】
採取5 鑑定2
レベルが2→3になったときはSTR+2、VIT+2、DEX+1と俺も納得のいく上がり方だったのだが3→4になったときSTR+2 DEX+1 LUK+2、4→5はSTR+1 VIT+1 DEX+1 LUK+2だった。途中から急にLUKが上がりはじめた、何故だ?
何かLUK上がるようなことしたかなぁと考えつつ帰り道に発見したスズメガのサナギ相手に弓の練習をした。やっぱり弓スキル1の頃より命中率が上がっていると感じる、慣れもあるのだがスキルレベルが上がればある程度補正がつくのだろうか、できればもう少し射程を延ばしたいところだ。
《二日目(4月2日) 午後6時20分 残LP399》
首都に戻りお食事、それから一旦宿屋に戻る。理由は調合スキルを習得するにあたり役に立つような情報を集めるためだ。そしてWIKI先生大活躍、調合ギルドの場所、薬草(サトミ草)の調合の仕方、必要なアイテム等の情報の入手に成功。掲示板の調合スキル総合スレッドも見たいところだが、調合ギルドは夜9時に閉鎖されてしまうそうなのでこっちは後回しにすることにした。
調合ギルドに到着し調合スキル講習会チケットを購入し、2階で講習を受ける、受講生は俺一人だった。調合ギルドでは調合設備が無料で使えるためこの時間もかなりの数のプレイヤーが調合を行っているようだ。個室制なのでどれだけの人数がいるか分からないが、俺は272号室の鍵を渡されたため利用しているプレイヤーは多いと思う。
まぁ、人が多いのか少ないのかそんなことはどうでもいい、作業の様子を盗み見れないなら何の意味もない。売店に行き空き瓶を購入し調合室へ。調合室は思ったより広い、15畳くらいあるかな、時間もないのでさっさと薬草をポーションにする、作り方はお金を払えば教えてもらえるのだがWIKIで見たので今回は問題なし。薬草8個を1個づつ調合し4個成功4個失敗だった、スキルレベルが低いため仕方ないかな、ポーション4個を入手し、調合スキルが2になった。
クエストの薬草は?と思う人がいるかもしれないが、達成する予定なだけでまだ依頼は受けていない。クエストを受けるときは薬草を持って受理し即引渡しをする予定である。
さて、次はどうしようかな、残りの草達はお金を払わなければ材料も作り方も分からない。一番数が多いハシシ草の調合についてNPCについて聞きに行く、が、拒否された。ブエノン草もパラライ草もダメだった、レベルが足りないから教えてくれないのか?
ここはダメ元、前世での記憶を頼りに調合を行おう。調合スキルによる補正はないが、とりあえずなんでもやってみよう、トライする精神が大事だよね。ハシシ草を4本使って全部失敗なら今日のところはあきらめよう。
まず1本目、アレをこうしてっと……作業すること1分、ドアがバタンッ!と音を立てて開く。何事っ!?ここは俺だけの調合室であり、誰も入ってくることはないはずだ。
ドアの方を見るとそこには調合ギルドのおっさんNPCがいた、何の用だと思う間もなく、
「お前何作ってるんだコラァァァ」
とものすごい怒っている。何故怒られているのか分からずポカンとしていると首根っこ掴まれた。な、何をするだー、引っ張られてドアの外、そしてギルドの外へ放り出された。
……な、何事?混乱したまま今日は宿屋に帰ることに。ハシシ草は一つ減っていた、返せ。




