11話目
《1日目(4月1日) 午後6時》
森を抜け大地を駆け抜け首都に到着。ただ歩いて帰ってきただけです。満腹度が30台になっているので食事に行こうかと思ったが、まずはNPC用の酒場に行くことにした。情報くれるNPCがそろそろ出現しているかもしれないためである、いなかったら飯食った後に来ればいいだけだ。
目的地の酒場まで移動する、メイン通りから少し外れているためか人がまばらにしかいない、時間がまだ早いせいだろうか。酒場は開店していたものの客が3人のみ、このうちのどれかが情報NPCか。
……3人とも違った。バーテンに聞いてみたところ、7時くらいに客増えるからそれくらいに来るかと思うとのこと、時間帯によって客(NPC)が変わるというのは大事な情報だな、最近のMMOなら常識かもしれないが。
食事して夜用のNPCに話しかけて時間経過すること1時間半、本日三度目の酒場来店、バーテンダーはいい加減何か頼めという目線を送りつつ「いらっしゃい」と出迎えてくれた。新しいNPCは2人、といってもどちらが情報NPCかはすぐに分かった。プレイヤーで列ができているからだ。
このNPCは1人づつしか会話することはできないので順番に並んで待つことに、このあたりは日本人だなーと思う。待っている間に周囲のプレイヤーから(盗み)聞いたのだが、この情報NPCは
・1プレイヤーにつき1日1モンスターに関する情報を教えてくれる
・小声設定であり、他の人に話している内容を聞き取ることはできない(スキルがあれば別?)
・すでに名前を知っているモンスターについて聞く と 今後出会いそうなモンスターについて聞く の2種類から選ぶことができる
・情報をもらうには酒をおごらなければならない、料金は30ゴル
という良NPCであるらしい。ロハで教えてくれてもいいじゃないとは思うが、30ゴルで正確な情報をくれるのは嬉しい。
待つこと15分、俺の番がやってきた、情報NPCの名前はヨアキムというようだ。
「ん、俺に何か用か?」
と言ってきたのでモンスターについて教えてくれと言ったところ
「そうさな……ま、酒の一杯でもおごってくれりゃ教えてやらんこともないぜ」
バーテンさーん、お酒持ってきてー、店員に30ゴルを支払う。
「で、どのモンスターについて教えて欲しいんだ?」
ゴブリンについて教えて欲しい旨伝えたら、面倒くさそうに答えてくれた、若干酒臭い。
「今日はずいぶんとゴブリンについて聞いてくる奴がいるなぁ、まぁいい、ゴブリンってのはなぁ……」
こうして俺はゴブリンの情報をゲットした。
■ ゴブリン ■ リンク○ アクティブ○
ゴブリン族の一種。主に森や山に暮らす人型のモンスター。人を見つけると襲う好戦的な性格をしている。ゴブリン族から生まれた子供は皆ゴブリンから始まり、成長に従いゴブリンウォーリアー、ゴブリンアーチャー、ゴブリンメイジ等に進化する。また人里離れた山奥にはゴブリンの巣穴があることがあり、群れで生活していることもある。
ゴブリンは魔法を使わず体術で戦うが、武器として尖った石を持っている場合がある。力が若干強いが遠距離攻撃はなく魔法攻撃に弱い。2、3匹で固まっていることがあり、その場合1匹に攻撃を仕掛けた場合と残りのゴブリンがリンクして襲い掛かってくるので注意が必要。
ドロップアイテム
ゴブリンの爪、牙、尖った石、火打石
「まぁ、こんなところだな。俺は毎日酒場にいるから酒おごってくれりゃあまた何か教えてやるよ、じゃあな」
あ(りがとうございま)っしたと返し酒場を出る、時刻は午後8時を回ったくらい。今日はこれ以上狩りに行くことはできない、モンスターとの夜間の戦闘は危険なのだ。同程度の強さのモンスターでも夜行性となると話が違う、こちらは視覚情報がフルに使えないのに対し、向こうは万全の状態でやってくるのだ。それに午後8時から午前5時までの間はフィールドでのスタミナの消耗が激しくなり、疲労度の上昇も早くなる。暗いということが人間に与える影響は計り知れないのだ。もう少しレベルが上がれば選択肢に入れてもいいだろうが。
よってこれからの行動であるが、マイルームに戻り情報収集をすることとした。パソコンが3日間全プレイヤーが使えるということでかなりの情報があることは期待していいだろう……情報を隠匿するプレイヤーもいるだろうが使用しない手はない。
パソコンを起動し情報収集を開始して10秒、非常に便利な物を発見するに至る。WIKI先生が作られているではないか。説明しよう、WIKIとはネット上でプレイヤー同士で情報を収集し、協力して製作する攻略本みたいな物である。掲示板を見るのは後だな、先にこちらを見るべきだ。
……WIKIのモンスター情報を見たところ衝撃の事実を知ることとなる。モンスターの情報は他人からの情報、例えばWIKIに図鑑の通り一字一句間違いなく記載されているものを見ただけで俺の図鑑に書き込まれることを。そしてゴブリンの情報が俺の図鑑通りに書かれている・・・30ゴル損した!
うーん、これは便利ですなぁ。未知のモンスターの情報が一気に10種も集まってしまった。毎日ヨアキムのところに通うことになるかと思っていたが、序盤のモンスター情報はすぐに揃うかもしれない。スキル情報はまだ未知の部分が多く一言二言の情報以外はない、この辺りに関しては掲示板を見るべきだな。
掲示板を見てみると、ダンジョン攻略、生産、戦闘、スキル情報モンスター情報、雑談、質問、売買、PT募集等様々なカテゴリがすでに立てられている。俺に関係しそうなところを見てみたが、初日ということもありさほど大した情報はない、強いて言うなら近場の敵の分布が分かったくらいか。
SNSを見てみると主に生産スキルをメインとするプレイヤー、生産組とも言うがそういったプレイヤーが多く登録しているようだ。スキル構成や買取情報、依頼がある場合の連絡先等を自身のSNSに書き込んである。生産者はとりあえず素材がないと話にならないからなぁ~、パソコンを利用して素材を買い取り加工、売買をするのだろう。依頼も受けやすくなるだろう、何ができるのか、依頼を受けてくれるのかどうかが明確であれば依頼するほうもしやすいのだ、何よりも連絡先が分かりやすくて助かる。
これだけの情報獲得能力があるならパソコン使用権は買うべきかなぁ、10LPでも安いと思う。知り合いがいないから生産武器防具の入手方法をどうするべきかと思っていたが、SNSで依頼で一発解決だし何よりもモンスターを始めスキルや敵の分布、クエスト情報等の情報がソロに比べて桁違いな量の情報が集まるのだから。今後はプレイヤーの情報屋みたいのも現れるかもしれない、他掲示板閲覧も駆使すれば更に情報量は高まるだろうし。
おっとそろそろ11時か、明日もがんばらないといけないしさっさと寝ることにしよう。明日はどこに行こうかな。
ここまでが第一章起承転結の起になります。
次回より第二章起承転結の承になります。




