表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

0日目―天使との出会い―

 ゲームはいい、俺はいつも心の中でそう思っている。

 リセットボタンひとつで始めからすることが出来るし、現実(リアル)ではあり得ない、想像の世界を楽しめる。

 

 俺がゲームをやり出したのは、小学校四年生の頃だ。

 

 当時流行っていたゲームを友達たちがしているのを見て羨ましいと思い、必死になって(わず)かな小遣いを貯めて、初めてゲームを買った時の気持ちは今でも覚えている。

 まあ、買った頃には別のゲームが流行っていたのだが……

 それでも、初めて買ったゲームを自分一人でクリアした時は嬉しかった。

 それ以来、俺はありとあらゆるゲームをプレイし、クリアしてきた。

 RPGはもちろん、パズルや音ゲー、果てにはギャルゲーまで、そのどれもが、俺にクリアした時の快感をもたらした。


そう、俺はゲーマーである。


 しかも、重度の、だ。

 ゲームに目覚めて、早七年。暇があればゲームをやり続ける俺に、家族は生ぬるい視線を送るほどに俺のことを見放している。

 そんな俺は、あっさりと近場の公立高校に合格し、ゲーマーの道を極めた。

 (いや)、極めたつもりだった。

 高校二年の夏、天使(アイツ)に出会うまでは――



「よっしゃ! ゲームクリア!」

 一学期の終業式も午前中に終わった蓮司(れんじ)は、家に帰るや否や、自室のテレビでゲームをしていた。

 テレビの画面には『ゲームクリア』と大きな字で表示されており、眩く点滅をしている。

 蓮司は大きく伸びをする。

 ゲームクリア後に大きく伸びをするのは、蓮司にとって恒例行事のようなものだ。儀式と言ってもいい。

 クリア後の肩の力が抜けたときが蓮司の至福の時であり――


 …そして、一番油断しているときである。


「うわぁっ、すごいですね! ゲームクリアですよ!」


 ――!?


 突然聞こえた声、それはすぐ近くから聞こえた。家族のものではない、いままで一度も聞いたことのない声だ。

 おそるおそる、振り返ってみる。

「……っ………!?」

 蓮司は、自分の目を疑った。

 そこにいたのは、女の子だった。

 しかも『普通の女の子』じゃない。

 空色のワンピース、刺繍やらレースがやたらと多いが、まぁ、そこはまだ問題じゃない。

 それ以上に、その女の子の背中。雪のように白い純白の翼が目を惹いた。頭の上には金色の輪っか。

 端的に言うと――超美少女コスプレイヤー。

 それも、天使のコスプレ。

「あ、自己紹介が遅れました。わたし、リリスっていいますー。初めまして、杉本蓮司さん」

「あ、どうも……………………………………って、誰ぇぇぇぇえええッッ!?」

 十数秒のタイムラグの後、蓮司は大声で叫んでいた。

 誰だよ、こいつ!? 新手のコスプレ推進団体かなんかの差し金か? いやいや、そんな団体とお付き合いしたこと無いし。なんで俺の名前知ってるんだ? て言うか、どっから入った?

「おまっ……どっから入った!?」

 パニックになりながら、蓮司は少女に言う。

「どこも開いてなかったので、そこのベランダから入りましたー」

 そう言う少女の指差す先には、大きな穴を開けたガラス戸とその破片があった。

「うわああぁぁぁあッッ!! 窓っ、窓が割れてるっぅぅぅうッ!」

 なんてことしてくれたんだ! どうりで冷房が効かないわけだ!! というか、俺にこの夏を、公園の休憩所(=吹きさらし)のような部屋で生活しろと言うのか? 暑さどころか雨風もしのげなくなったこの部屋で? そんなことしたら……


 ――そんなことしたら、ゲームが壊れるっ!


 蓮司は心の中で叫ぶ。

「誰だか知らんが、いきなり人の家に、ベランダから、不法侵入して、一体なんの用だ!」

 そう叫ぶと、コスプレ美少女は、

「はいっ! 改めて自己紹介させていただきます。わたし、天界の死法局から来た天使のリリスといいます」

 その台詞に蓮司は頭が痛くなった。

 ……コイツは見た目だけでなく頭の中まで電波なのか?

「天界? 天使? そんなものが存在するのは二次元だけで充分だ!!」

 蓮司の必死の抗議の声。

「今日ここに来たのはですねー」

 だが、このリリスという天使(仮)は蓮司の話を聞く気などまるでないらしい。

「あなたに、どうしてもお願いしたいことがあって来たんです」

 そして、この次の一言で。

 蓮司の人生は――……


「あなたの……あなたの力でこの世界を救ってください!」


 ――大きく、変わった。





 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ