10話
お待たせいたしました!
遅れてすみませんー、、
また短めですが、許してやって下さい;
妙にひんやりとした風が校舎の中を駆け抜ける。右手に持った斧がずしりと重く感じる。
2人で調理室を出てから、まだ全然経ってない。1階の長い、真っ暗な廊下を先輩が懐中電灯で照らしつつ、歩いている。
なぁ、と隣から声がかかる。
「この学校には…本当に我々とあの怪物しかいないのだろうか…。」
「………どういう意味ですか。」
「これは現実だが、このような状況に陥った時は、映画だとなにか黒幕がいる。そいつが思うように我々は動き……罠にかかる。」
「……。」
「まぁわからないが、ふと誰かの仕業だと思っただけだ。映画だと必ずハッピーエンドは来る。期待して、とにかく待とう。」
先輩は、僕に心配かけさせないように淡々と喋っていた。
でも、きっと先輩も知っている筈だ。
ハッピーエンドになるためには、なんらかの犠牲が必要だ。
そんな事くらいわかる。でも…信じたくない。
外へ出られる通路に来た。空には三日月が登っていて、少しだけ僕らを照らしてくれる。
再び、今度は違う話で、先輩が口を開く。
「優二……もしも俺が消えたら、残っている奴らを頼む。」
堂々とした声、真っ直ぐ僕の瞳を見据えている。目を……逸らしちゃ駄目な気がした。
「佳奈は泣き虫で、誰がが支えてやらないと駄目な奴だ。啓太はしっかり者だが、共に力になってやれ。佐原は、君になついているようだ。」
にっこりと微笑んでいるが、何かを僕に託している。
「いきなり何、今にも消えそうな事言ってるんですか。大丈夫ですよ。それに僕には、そんな力はありません。…でも、誰かを支える事なら出来ます。
大丈夫です。誰も欠けることなく、みんなでもといた学校に帰れますよ。」
先輩からの、その圧力を僕は紛らす事しか出来なかった。
まだ僕は、自分自身に自信がもてない。弱いんだ。
通路から出た。校庭の横を通り抜け、100メートルほど先に玄関が見える。
その向こうの景色はいたって普通。目的のスーパーも、うっすら見えている。
「見た感じでは、なんてことないですね。」
少し安心した。先輩もなんだか嬉しそうな顔をしている。
「そうだな。あれはきっと啓太が見た夢だったのだろう。まったく、変な世界に来てまで緊張感ない奴だ。」
2人で笑いあい、少しずつ玄関に近づいてゆく。あと50メートル。
“変な世界に来てまで……”……ここに来た、理由……。
ふと、僕は急になにかが頭に浮かんだ。突然、思った。
そういえば僕はこの世界に来る前、普段の生活に飽き、一人孤独で悲しい気持ちがあった。そして奈美は、酷く悲しい経験をした。
なにか……ここに来た理由と人物に関連性でもあるのか…?
そう思って聞いてみた。
「……先輩はこの世界に来る前の現実世界で、悲しかったり、普通に生活している事に何か感じたこと……ありますか?
」
先輩は僕の顔を不思議そうに見てから、少し苦笑いし、そして呟いた。
「突然……だな。そういえば最近、部活の方であった事にはあった……が、それがなんだ?」
「それかも……。それってどんな…──ッ」
喋っていられるのは、ここまでだった。いきなり目の前の景色が…世界が揺れた。
来た…………。
先輩の反応は早かった。
すぐさま携帯を取り出して3人の誰かに自分の場所と今から向かうということを伝え、僕に向かって叫ぶ。
「バラバラになっては危険だ! 皆と合流するぞ! 走れ!!」 振り返り、思いっ切り走る。今は何も考えられない。やばい……またあれが来る…!
校舎に入る通路に来たところだ。急ぐ事しか頭になかった僕は、それ気づいたとき、真っ青になった。
走る足音が…自分のしか聞こえない……。
「せ、先輩!!」
振り返ったが辺りはしんと静まり返り、ほのかな月明かりが視野を照らしているだけだ。
最悪な状況が頭をよぎった。いや、しかし奴がまだ現れた訳ではない。きっと戻れば大丈夫だ……。
そう自分に言い聞かせて、ゆっくりと警戒しながら玄関の方へと戻った。
ありがとうございます。
今回は……終わり方が中途半端ですね(;´д`)...
しかしこれを、次回どう繋げるかは、少しだけ頭に入ってます。
まぁゆっくり着実に今後も書いていくので、応援よろしくお願いします。