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プロローグ
あ……これ。
『スタート!』
いつもの、だ……。
カチンッ!という心地いい音で、それは始まる。石にでもなったように体はガチガチに強張って、僕は指一本すら動かせない。声なんてもってのほかだ。
でも、でも何か……何か言わないと!
そう思うのに、声の出し方を忘れてしまったように、喉の奥に冷たい空気だけがまとわりつく。そこからどんどん、体が冷たくなっていく。
あんなに練習したのに。
あの時は、あんなにもスラスラ言えたのに。
なのに、なのに、なんで?なんで……。なんで!!!
『カット!』
***
「ッ……!!!」
いつもの夢で、僕は目を覚ました。体が熱い。でもそれも、すぐに汗で冷たくなる。
夢見は、最悪だ。
「……」
胸元を鷲掴みながら、僕は荒く空気を何回も吸って、息を整える。胸が大きく上下するのにあわせて、冷たい空気が肺に入ってきた。もう何度も何度も、繰り返し見る夢。何度見ても慣れることなんてなくて、むしろより一層、僕の恐怖を倍増させる。
もしも神様がいるのだとしたら、それはきっと酷く残忍に違いない。だって、夢の中でさえ、僕に絶望を与えるんだから。




