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短編

作者: ノノミヤ
掲載日:2026/02/08

短編

彼女はずっと迷っていた。

これでよかったのか、と。

自分で選んだはずなのに、どこかで後悔している気がして、その感情に触れないようにしてきた。


考えないようにしていた。

泣けば病んでしまうから。

好きだった気持ちを思い出せば、前に進めなくなるから。


だから彼女は、感情を誤魔化した。

日々を回すことを最優先にした。

ご飯を食べられているか。

お風呂に入れているか。

笑えているか。

それだけを大切にして、生きていた。


関心がないふりをして、強がって、

ときには悪口を言って、

感情を殺したつもりでいた。


でも、それは消えたわけじゃなかった。

ただ、奥にしまい込んでいただけだった。


声を聞いた瞬間、

凍らせていた感情が一気に溶け出した。

涙が止まらなくなった理由を、彼女はもう否定しなかった。


「そうか……」


ちゃんと好きだったんだ。

ちゃんと愛していたんだ。


彼女は、泣きながら笑った。

それは後悔でも未練でもなく、

自分の感情をやっと認められた証だった。


「よかった。これで、前に進めるね」


そう呟いた声は、静かで、でも確かだった。

ずっと表に出さないようにしてきた後悔も、

誤魔化してきた気持ちも、

この夜ですべて役目を終えた。


彼女はもう、自分を責めなかった。

優しすぎた自分も、拒絶を選んだ自分も、

全部含めて、正しかったのだと知ったから。


夜はまだ深い。

けれど、彼女の中には確かな朝があった。


短編、恋の終わり

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