壊れる精霊国家 ②
街には商人が行き交う。
城下街の特産品、とうきびを買い付ける為。
ここのとうきびはとても甘く出来も良く、そこそこ高い値で取り引きされる。
皮を剥くと、黄色いつぶつぶの実がふっくらと実っている。
数十箱もの量を買い付けると、荷役が馬車へと積み込んでいく。
すると、身なりの整った男に声をかけられた。
「突然申し訳ありません。運んでほしい物があるのです」
商人は身なりの整った男を見る。
「運んでほしい物ですか」
帳簿をつけていた手が止まる。
身なりの整った男が羊皮紙を取り出した。
女王からの依頼書。そして、内容の入った封筒には封蝋が押されている
「これは!」
商人は息をのんだ。
「女王陛下からの依頼でございます」
「一体、何を運ぶのですか?」
身なりの整った男はゆっくりと話し始めた。
「現在、北の街では小麦の収穫が少なく、この街から北の街へ、倉庫から小麦を運んでいただきたいのです」
「なるほど、そう言う事でしたら、是非ともやらせていただきたい」
商人は笑みを浮かべる。
「では、封筒をご覧ください」
商人はポケットに入れていたナイフを取りだすと、封を開ける。
中身に目を通すと、とてもいい条件での依頼となっていたが、運ぶ量がとても多い。
「これは、馬車10台は出さないと無理ですね」
少し顔が険しくなる。
「ですが、女王陛下の頼みなら、仲間に伝えて協力してもらいましょう」
商人は奉公人に声をかけた。奉公人はこの商人の知り合いへと話しを持っていく。
最初に声をかけられた商人の馬車に続き、知り合いの商人の馬車が集まる。
それぞれが隊列を組むと、街の外れにある王室倉庫へと向かった。
「こんなどでかい仕事を取ってくるなんて、エドガーはスゲーな」
「まさかこんな大仕事、俺だって受けた事ねぇや」
商人達の会話が弾む。
しばらくすると、王室倉庫が見えてきた。
王室倉庫を守るのは、一般の兵士達。鎧を体につけているが、面は取ってあるので兵士の顔を見る事ができる。
商人達の馬車が王室倉庫の敷地に入ると、倉庫の扉の前で停止する。
「もう来られたか。早々の任務、ご苦労である。では早速ではあるが」
商人達が倉庫に案内されると、倉庫の扉が音を立てて開かれる。
「この区分けされた小麦を運んでいただきたい」
初めて見る王室倉庫内、商人達は息を呑んだ。
「これは凄い……」
外から見ても巨大な倉庫ではあったが、その中には屋根いっぱいの袋の山。袋の山は、城の石畳の様に整理されている。これだけの小麦を商人達は見た事がない。
「よし!積み込みをはじめるか!」
商人達は気合いを入れる。
兵士達が倉庫内から小麦の袋を外へと運ぶ。一時的に置かれる場所には大きな布が敷いてある。
次から次へとそこに置かれる小麦を、商人の荷役達が馬車へと積み込む。
商人達も自ら小麦を運ぶ。
午前中に仕事を受け、昼前には倉庫に着いていたが、終わる頃には、すっかりと暗くなってしまっていた。
「いやー、終わったな」
腕で額の汗を拭う。
「とりあえず、一旦街まで戻るか」
仕事を一段落終わらせた商人達は、隊列を組むと街へと戻る。
今日は、一旦ここまで。




