表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻影国家再建記  作者: 白波ほずみ
第二章 セピア・エル・グラディア

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/21

セピア・エル・グラディア

私は、一時の間、ここで眠る⋯





古よりも遥か昔、グラディア王がこの国を作ったとされる。

その王は精霊の力を糧に、国を栄えさせた。


数千年の時を経て、新しい王が誕生する。


セピア・エル・グラディア。


彼女は民を愛し、人々がこの国で幸せに生きる事を望んでいた。

その想いは、グラディア王の誕生から、長き時を越えて受け継がれてきた。


城の鐘が2つ鳴った。


城に産声があがる。城に女の子が産まれた合図と共に、新たな王を知らせる鐘。


「新たな王は、女王陛下だ!」


畑を耕していた農夫は、青空を眺めた。


その日の夜は、街が祝賀ムードになった。

酒を飲み交わし、人々の笑顔が街を包んでいた。


畑に浮かぶ無数の小さな光の玉。


まるで踊るように宙を舞う。


この出来事を喜ぶ様に。




城の窓が開く。


すると、こっそりと顔を出し、誰もいないのを確認する。


「誰もいなさそうですね」


ベッドの足に結ばれたロープを下に垂らすと、セピアはゆっくりと下に降りる。


芝生の上は柔らかく、とても綺麗に手入れがされている。


高くそびえる城壁。


セピアは土の精霊に話しかける。


「ここに穴をあけてくださいな」


すると、土の精霊はセピアが通れるくらいの穴をあける。


そこを通ると、セピアは城を抜け出した。


「戻しておくの、お忘れにならないように」


穴は塞がり、元の状態に。


セピアは走り出す。


城門を護る近衛兵に見つからない様に、とうきび畑の中に紛れ込む。


数回近衛兵に見つかり、すぐに連れ戻された事があったが、どうやら今回は成功した様だ。


「うーん、今日はどこへ行きましょう」


とうきび畑を抜けると青空を見上げる。


「これっ!!!また抜け出したのか!」


セピアは肩をすくめつつ振り返る。


「エリーおばあちゃん?」


「まったく、皇女殿下なんて身分の人が、毎度毎度お城を抜け出しては、こんなところまで遊びに来て」


セピアは困惑気味にも言い訳をする。


「だって、毎日毎日お勉強とか習い事とか、大変なんですもの。たまには息抜きだってしたいですわ」


ため息をはきつつも、呆れることはない。


「今日は何していくんだい?」


セピアは眉を寄せつつ首を傾ける。


「うーん、特に考えておりませんでした」


エリーは岩に座ると持っていたカゴを置いた。


「そうかい。これから休憩だから、お菓子でも食べていくかい?」


セピアは満面の笑みを浮かべる。


「はい、頂いていきます」


セピアはカゴを挟んだ岩に腰掛ける。


カゴの中に入っていたのはクッキーだった。セピアは1つ手に取ると、一口分かじりつく。


口の中に広がる小麦の香りと砂糖の甘さ。


お城で食べる焼き菓子も美味しいが、エリーおばあちゃんが作ったクッキーは格別だ。


「紅茶もお飲み」


コップに入った紅茶を手渡される。


「ありがとうございます」


クッキーに紅茶。


とても美味しい。


「あれー?セピアじゃん。また城ぬけだしたんか?」


声のした方を見ると、同年代ほどの男の子。


日に焼けた顔に、白い歯が目立つ。


「抜け出したなんて人聞きの悪い事を言わないでいただけます?」


エリーは呆れつつも、特に何も言わない。


「で、今日はどこまで遊びに行く気なんだよ?」


少し考えると


「そうですわね、街まで行こうと思っております」


とうきび畑の先には小麦畑、この集落の村の先には小さな街がある。

街の人々の顔を見る事は、セピアの楽しみの1つでもある。


「街まで?結構距離あるじゃん。俺も一緒に行こうか?」


「よろしいのですか?」


セピアの目が少し大きくなる。


「セピア、レオン、今日は街で市が開催されてる日だよ」


エリーが言う。


街の市は、セピアはまだ見た事がない。


「市やってるのか、って事は、屋台も多いな」


レオンが言うと、セピアは首を傾げる。


「屋台?なんですの?それ」


「屋台って言うのは、美味しい物を少し食べられるお店の事だよ」


「まあ」


二人のやり取りを見ると、エリーは腰布から銀板を1枚取り出した。

お金にすると、3000円程の価値がある。


「これ使って、何か美味しい物でも食べてきな」


セピアにそれを手渡す。


「え?いいんですの?ありがとうエリーおばあちゃん。必ずまた、お返しに来ますわ」


「セピアだけズリー、俺のは?」


「あんたはさっき手伝い賃貰っただろ」


エリーは眉をよせつつも、二人が街へ行くのを見送った。


「あの子が将来の女王陛下になるなんて、私達は凄く幸せ者だねぇ」


エリーは空を眺める。




少し段階を追って、更新して行く感じにしました。


大体2000字程度ですが、この国の雰囲気は伝わってくれたと思います。


次の更新は、また近くにでも。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ