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幻影国家再建記  作者: 白波ほずみ
第三章 壊れる精霊国家

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壊れる精霊国家 ⑧

馬が走る。


地面には水溜り。


踏むと大きく飛沫が上がる。


馬に乗る兵士に雨が叩きつける。


肩掛けのバックには、大切な封書。


兵士は急ぎ向かう。


―――――――――


ローディアス邸の一室。


「紅茶が入りました。どうぞ。」


ソーサーの上に小さなスプーンとティーカップが乗っている。それが机に置かれると、カチャっと音がした。


ゆっくりと香りを楽しむと、ローディアス伯爵は紅茶を一口すする。


王城での会議は無難に終わっていた。


窓の外は相変わらず暗く、雨音が叩きつける。


羊皮紙に書かれた会議の内容。


難民は一家族だった事もあり、今後増えても500程と、多めに想定していた。


この数が押し寄せても、計算では倉庫には余剰が多く残った。


「これだけ残れば、民も安心できるだろう」


時間は優雅に流れる。


蹄の音が近づいてくる。


「早馬か」


ローディアス伯爵は窓を少し開ける。


蹄の音は次第にゆっくりになり、停まる。


甲冑の音が響くと、玄関がノックされる。


メイドが対応すると、兵士を屋敷の中に入れた。


ローディアス伯爵はゆっくりと席を立つ。


階段を駆け上る音がすると、部屋の前で止まった。


コンコンコンと、ノックの音。


「入りたまえ」


すると、ドアが開く。


「アンディー・ロー様より、急ぎ報告が届きました。お目通しください」


兵士は封書を取り出すと、ローディアス伯爵へ差し出す。


ローディアス伯爵は何も言わず封書を受け取ると、ナイフで封を開ける。


紙を取り出すと目を通す。


[緊急の連絡であります。北の街の関所に、複数の難民が現れました。一応ではありますが、数が増える想定で200人分の食料を関所に送り、対応いたしました。]


ローディアス伯爵はこの報告を見ると、顎を触る。


続きを読む。


[しかしながら予想は外れ、それ以上の難民が押し寄せてまいりました。]


『…なるほど。と、言う事は、こちらで予想をしたくらいにはなるか』


[その数は、1000人を超える…]


ローディアス伯爵はそこまで読むと、額を抑えた。


「何と言う事だ!予想を遥かに超えている!」


ローディアス伯爵は小走りに机の上の羊皮紙を取り上げた。


「…今の状況、数……」


ローディアス伯爵は計算を再度試みる。


算出された難民の数は、1万を遥かに超えた。


町や村の範囲ではなく、北の国の飢餓は、予想を遥かに超えていた。


ローディアス伯爵は椅子に座ると背もたれに寄りかかり目を瞑る。


「これは、大変な事になる…」


ローディアス伯爵は馬車を用意させた。


そして、手紙を書くと王城へと使いを出す。


そして身支度をすると馬車に乗り、王城へと向かう。


王城にローディアス伯爵の使いが封書を持ち込む。


女官が封書を開封すると、手紙を取り出し女王へと渡す。


セピア・エル・グラディアは手紙に目を通す。


[陛下、緊急のご報告がございます。すぐにお伺いします。


         ローディアス・エル・ヴァルグレイン]


手紙を確認すると女官を見る。


「会議室の準備をしてください。これから、緊急の報告をしたいとローディアス様が」


「かしこまりました。早々に準備をいたします。」


女官は頭を下げると、部屋を出ていく。


セピア・エル・グラディアは、手紙を机へと置くと、ゆっくりと椅子に腰掛けた。



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