壊れる精霊国家 ⑦
腹を空かせた北の民。
水を飲もうが、空腹からは脱出できない。
彼らは街を捨てる。
何もできなくなった畑を捨てる。
命は捨てたくはないが、捨てざるおえなかった者もいた。
彼らは歩く。
明日の命を繋ぐ為。
彼らは歩く。
大きな荷物を持ち、子供の手をつなぐ。
この先に希望があると信じて。
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翌朝、国境の門。
兵士達は広場を見つめる。
4人家族の親子連れ。
彼らは広場にテントを建て始めた。
彼らは手形を持っていなかった為、グラディア王国へは入国ができない。
交代の兵士がやってくる。ガラガラと馬車の車輪が鳴っている。
「ご苦労。これは?」
馬車を見つめて交代の兵士に尋ねる。
「これか?アンディー様が今後難民が増えると予想してな、200人分の食料だ」
兵士は家族連れを見る。
「難民は、救えそうだな」
兵士達は見つめ合い、笑いあった。
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グラディア王国の会議室では、難民支援の為の会議が開かれている。
「現在のところ、難民は一家族。増えても500人程かと思われます。」
「そうですか。では、加工品として、パンやスープを差し上げる様にいたしましょう。」
「そうですな。では、調理兵を現地に送り、現場で調理する手はずを取りましょう。」
女王と伯爵達は話しをすすめる。
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「おーい!食料が届いたぞー!」
門番の兵士が家族連れに手を振る。
すると、子供達が走ってやってきた。
続いて、父と母が歩いて近づいてくる。
「本当に、ありがとうございます。」
父親が頭を下げると、すでに子供達はパンにかじりついている。
お腹が空いていたようだ。
遠くを見ると、北の国から馬車が近づいてきた。
数は5台ほど。商人の馬車の様だ。
門の前に停まると、商人は手形を出す。
「少し、お話しを聞かせてもらえますか?」
兵士が商人に尋ねると、商人は兵士の顔を見る。
「はい」
顔色は悪くない。
「北の国で、飢餓が発生していると聞いたが、問題ないか?」
「飢餓…ですか?」
商人の様子に、兵士は戸惑う。
『家族連れに聞いたら飢餓で大変な事になっていると言う。しかし、商人は顔色もいいし普通。どう言う事だ?』
「変な事を聞いた様だな、このまま通られよ」
5台の馬車に荷物は入っていなかった。
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「今後、これらが公になると、食料の高騰などが考えられます。しかし、王室倉庫は民の為の食料を保存する物。何かあっても、国民への提供は無償で行うものといたしましょう」
アルベルト伯爵が羊皮紙にメモをすると、女王を見る。
「はい。ではそのように」
少し口元が緩む女王
精霊の加護があるグラディア王国では、国民が飢えた事がない。
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商人達はとにかく食料を探していた。
「なんとか、今のうちに小麦を買い占めるぞ」
北の国の商人達は、グラディア王国の北の街で、小麦をひたすら買いあさる。
馬車が満杯になると、北の国へと帰る。
しかし、彼らは同じ門を通らない。
理由は、飢餓を知っている兵士達に足止めされない為だ。
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兵士達は親子連れと話しをしていた。
すると、道を人々がこちら側に歩いてくる。
「やはり来たか。」
人々の顔は青白く、フラフラと歩いている。
「数十人ってところか」
しかし、目を凝らして見ると道の奥にはまだ人がいる。
「…おい…まて………これは…」
予想だにしていなかった人の波。
「すぐにアンディー様にお知らせするんだ!」
報告が入ったのは、昼前だった。
アンディー・ローの元へ、門番の兵士が血相をかえて馬を走らせてやってきた。
「アンディー様!大変です!国境に難民が押し寄せて参りました!」
兵士の慌てた姿に、アンディー・ローの作業の手が止まる。
「どれほどかね?」
「数は、1000近くと思われます!」
アンディー・ローは天井を見ると、大きく息を吐いた。
予想の正解って、なんだろう。
きっと、予想だけで正解は無いと言えるのではないか?
そんな感じで、書くのは
難しかった。




