壊れる精霊国家 ⑥
王城のある城下町。
日は昇らない。
空には一面の黒い雲。
空から降る水は、道に水溜りを作る。
王城に向かう馬車。
車輪がバシャリと水を跳ねる。
馬車から外を眺めると、とうきび畑は一面、全て刈り取られている。
土は水をしっかりと溜め込んでいた。
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ローディアス伯爵に手紙が届く。
「この時期になんの報告だ?」
伯爵はナイフを取り出すと封を開け、手紙を取り出す。
手紙に目を通すとこの様に書いてある。
[この度の小麦支援、誠にありがとうございました。先日、この街に一組の家族連れがやってまいりました。ただ、家族連れと申しましても、様子がおかしかった様で、国境にある門番が事情を聞いたところ、北の国で大飢饉が発生しており、多くの民が苦しんでいるとの事でした。現状、難民はこの家族連れだけではありますので、この街で対応ができそうです。しかしながら、多くの難民が来る可能性もございます。その様な状況になれば、今後追加で支援を要請させていただこうと思いますので、どうか、宜しくお願いいたします。
アンディー・ロー]
「……その様な事が起きているのか。」
ローディアス伯爵はすぐに馬車を用意するように命ずると、身支度を整える。
窓の外を黒い雲が覆っている。
馬車の支度ができると、王城へと走り出す。
ローディアス伯爵は外を眺める。
雨は馬車に叩きつけていた。
揺れる馬車の中、伯爵は羊皮紙に書かれた王室倉庫にある備蓄の量を確認する。
最悪の事態を予想して計算するが、難民が今後増えたとしても、王国の民が2年は食べていける計算になった。
「何とかなりそうだな」
ローディアス伯爵の馬車は城の門に入った。
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ノルディア王国の城内では、話し合いが行われていた。
「もう限界なんですよ!!!倉庫にも食料が無い!!!民は飢えている!!!死者も出ている!!!これ以上どうしたらいいのです!!!」
その訴える様な叫び声は、大会議室を震わせる。
「だがしかし、どうすればいいと言うんだ!!!金はあるが食い物が無い!!!」
一瞬静まる会議室。
「……買いましょう。隣国から…」
「そんなのはわかっている!!!食料を買い付けたとして、一時的な事にしかならんだろうが!!!来年はどうするんだ!!!このままでは………」
「畑を買うのです!」
その方に皆が目を向けた。
「この国には財がある。ならば、畑を買取って少しでも国民に流すしかない。食料をただ買うだけならば、価格はどんどん高騰するでしょう。ならば、畑を買取ってしまうのです。」
「しかし!!!そんな事……」
言葉が続かない。
この国の現状では、明日食べる物が無いのだ。
「奪えば金もかからんだろ!」
その言葉に皆が驚く。
それは、王の口から発せられていた。
今まで叫んでいた者は、この言葉に冷静になる。
「しかし…しかし王よ、そんな事をして万が一にも負けてしまったら、国民はますます飢えてしまう…」
王は目を瞑ると言った。
「ならば、今は食料と畑を買えばよかろう」
会議に出ていた者達は、沈黙した。
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グラディア王国の会議室。
「はい、現状の様子は避難民はこの家族連れのみとなっておりますが、今後避難民は増えると予想されております。現在のところ、この街だけで支援ができると思われます。我々がするべき事は、状況を把握し、支援の準備を早々にするべきかと…」
「そうですか…」
女王は考える。
『避難民の支援ならば、わたくし達の手で、何とかなりそうですわね』
「わかりました。支援を送る準備をいたしましょう。」
ローディアス伯爵が頭を下げた。
だんだんと、怖くなってきた感じでしょうか?
書いていて、人々が勝手に動いてます。




