壊れる精霊国家 ③
翌朝になると、小麦を積んだ馬車は動き始めた。
小麦袋には、王室の紋章が焼印されている。
それを守る様に、王国の騎兵隊が周囲を囲む。
北の街へ続く街道はしっかりと整備されており、振動も少ない。
早すぎる馬車も、遅すぎる馬車もなく、隊列は安定している。
昼食の為に隊列は止まる。
「よし!一旦休憩しよう」
街で買っておいた昼食を各自広げる。
「しかし、天気がいいな」
空は雲一つない快晴。
快晴の空の下、そこで食べる食事は、心が洗われる様だ。
日々の忙しい業務を考えなくて済む。
それは他の商人達も感じていた共通の思い。
「しかし、この仕事を受けて良かったなエドガー」
「そうだな。久しぶりの休日って感じか」
商人達は笑い会う。
彼らにとっては、この仕事は只の移動と何ら変わりがない。
市場に買い付けに行き、依頼された商品を手に入れると商店に卸す。
その毎日はとても大変で、ほぼ休みなく働いていた。
昼食休憩が終わると、隊列は再び動き出す。
商人の一人が羽織る物を取り出す。
「しかし、この辺に来たら冷え始めたな」
「ああ、まあ、少し標高が高いからな」
北の街への街道は、山の麓へと差し掛かる。
渓谷を通る道も整備されており、運搬は安定している。
そして、その先の地面は白い。
「この辺、雪が積もってるじゃねぇか。どうりで寒い訳だ」
雪は道を埋め尽くしてはいない。ところどころで薄っすらと積もっている程度。太陽の光が当たる部分は地面が見える。
車輪が雪を踏むと、ガリガリっと音がする。
雪は何日もある様で、氷の塊となっている。
西日が強くなる頃、まる一日掛かった移動は間もなく終わる。
目的地の北の街、門が小さく見えてきた。
「よーし、もう少しだ。」
小さく見えた門は次第に大きくなる。
門には門番の兵士が立っている。
今まで護衛をしてくれていた騎兵が前に出ると、門番の前で馬を降りる。
「女王陛下の命により、小麦を運んできた。このまま門を通る」
門番の兵は敬礼を返す。
街に入ると人々が賑わっている。
商人達は街の特産品、硝子製の商品に目をつけた。
この街の特産品は、硝子。
職人達がつくる硝子はきらびやかで、お城でも使われる程の物がお店に並んでいる。一般庶民でも買える程の安さ。
「これは、いい街に来たな」
エドガーは周りを見つつ、これから仕入れようとする商品の品定めを開始する。
街の外れにある王室倉庫に到着する。
「商人の皆様、本日はまことにありがとうございます。」
声の方を見ると、片眼鏡を付けた背の高い男が立っていた。
「本日はもう遅い時間となりますので、この先にある屋敷に部屋を用意してあります。皆様で、どうかおくつろぎください」
商人達は白い歯を見せた。
馬車から馬を離すと馬小屋へ連れて行く。馬を休ませる為だ。
「ありがとな。」
エドガーが馬を撫でると、馬はブルルっと鼻を鳴らした。
とりあえず、1000文字程度ですが、今回はここまで。




