プロフィール帳 つつじ
「できた。」
「見せてみせてー!」
名前 山瀬 津々蒔
誕生日 五月 四日
血液型 O型
身長 百五十五センチ
体重 パ○コレギリ出れるか出れないかくらい
朝はご飯派
好きな色 楝色
好きなもの 小説
嫌いなもの 怖いもの
好きな食べ物 特になし
嫌いな食べ物 好き嫌いが分かれるもの全部
髪型のこだわり ない
レーダーチャート(五段階) 恋愛編
メイク 0
ファッション 0
積極性 0
愛嬌 0
モテ度 0
お友達に答えてもらってね!
あなたみたいな動物は?
あなたの良いところは?
あなたの性格を一言でいうと?
自由に好きなことを書こう!
「なんでレーダーチャート全部ゼロなの!?」
「書くことなかったし……。」
「えっ、まって、つつじ、髪型に興味ないの!?」
「ないよ。」
どこを見てあると思っていたんだろうか。
「だって、前髪のサイド、右と左で長さ違うじゃん!」
別にこだわりでそうなっているわけではない。
「気づいたらこうなってただけだね。」
「気づいたら!?勝手に髪がアシンメトリーになるわけないでしょ!?えっ、失敗してそのままって事?」
何やらごちゃごちゃ言っているが、髪型なんていつの間にか定着していたので特に私に言える事はない。
「自由に書くところも何にも書いてないね。」
「真面目にやってよー!」
「真面目にやったよ。」
真面目にやった結果、化粧なんてしたことがないし服装に気を遣った事もなければその他のものはそもそも対象となる人間がいない。
自由に書く欄に関しては、書かないのも自由のうちだ、という事で割愛したまでだ。
「ってかこれなんて読むの?この色のとこ。」
「おうちって読むの。」
「「へぇー。」」
「興味ないならなんで聞いたの。」
本当に興味がなさそうな二人は、わいわいとお友達欄を考え始めていた。
「つつじっぽい動物かぁ。」
「つつじって動物っていうより植物じゃない?」
早速お題から外れた事を言い出したフェレスは、軽く指を曲げた(胸を張っているように見えなくもない)。
「だって、つつじあんまり動かないし、ご飯も食べたがらないもん。」
「たしかに!夜中でも電気つけっぱなしにしてるし!」
別に光合成をするために夜中に電気をつけているわけではない。
「でも、今回は動物だからなー。」
「動物………。猫とかかな?」
「んんー、つつじは確かに気まぐれだけど、猫ほどプライド高くなさそうって言うか……」
褒められているのか貶されているのか分からないが、私は猫ではないらしい。
私としても確かにお猫様程の優雅さは持ち合わせていないので納得ではある。
「なんか、つつじは地上にいなそう。たとえば………フクロウとか?」
「確かに、鳥類はつつじらしい気がする。」
先程の月乃の動物を考えた時よりも遥かに悩んでいる二人。
そんなに私を表す動物は想像がつかないのだろうか。
「じゃあ僕はカラスかな。なんか夜っぽい鳥だし。」
「わたしは最初のフクロウ!夜っぽいし。」
「『夜っぽい』ってなに?」
「つつじの目、夜空みたいな色してるから、なんとなく。」
「本当にキレイだよね!」
能力持ちになると自然に瞳の色が変わるのだが、私も人の瞳を見るのは好きなので二人の気持ちもなんとなくわかる気がした。
ただ、自分の色よりは人の色の方が好きだが。
「次は良いところ!」
「色々教えてくれるところかな。」
動物の時とは違ってすぐに答えたフェレスは、何故か少し身を乗り出しているように見えた。
私の方が色々と教わってると思うけれど。
怪異の事とかは特に、フェレスに色々と教えてもらってなんとか生きているようなものだ。
フェレスがいなければ月乃と会うよりももっと前に死んでいただろう。
「美人なところに、賢くて、怪異にも怖がらずにいけることかな!」
「怖がらずにいけるって日本語どうなってんの?」
「そもそも、美人は褒め言葉なの?」
「だってつつじいっつも堂々と怪異に向き合ってるじゃん!あと美人は褒め言葉!」
私とフェレスに聞かれた月乃は、大きな声で叫ぶ。
そして気を取り直したように手を叩くと、最後のお題を口に出す。
「最後!性格を一言で表すと!」
「臆病だよね、つつじ。」
「かっこいい!」
真反対の答えに、一瞬月乃とフェレスの時間が止まった。
「つつじ、かっこいいの?」
「うん!怪異に会たっとき、いっつも冷静でかっこいいなって!臆病っていうのは?」
「最近は多少減ったけど、つつじは怖がりだからね。」
そう言ってこちらを見るフェレスは、目がないくせにやけに湿っぽい視線を送ってくる。
私は黙って目を逸らすことしかできない。
これは、多分、あれだ。
この前の登校か下校の時、無理やりフェレスについてきてもらったのを根に持っているな。
「怖がりっていうか、怪異って基本的に怖いでしょ。」
「そうかな?あかねもメリーちゃんも、全然怖く無いよ?」
電話かけてきたと思ったら包丁持って追いかけてくる殺人人形と怪しさ満点の狐が怖く無いわけがない。
本当に、いつ死ぬかわからないハラハラは怖い。
「なんというか、月乃は運が良いね。」
「え〜?つつじの方が運いいよ!この前もガラガラでなんか当ててたし。」
「だとしても怪異に関しては、本当に運が良いよ、月乃は。」
そうかな〜?と言っている月乃に自覚はなさそうだが、怪異にあっても大怪我一つしていない月乃は本当に運が良いと思う。
「そんなことより!この自由に書くところ、なんか書いてよ。」
「なんかって、何書けば良いの……」
「月乃ちゃんみたいに絵を描いたら?」
「えぇ…。」
「いいじゃん!ほら、ねことかうさぎとか!」
簡単にで良いから!と促され、渋々もう一度ペンを取り、自由に書けと言われているスペースにペン先を滑らせる。
「できた。」
「えっ、完成?」
「これ……鼠?」
「いや、ヒゲかき忘れたねこじゃない?」
「兎だよ。」
嘘だぁ、という声が二人から上がった。
「あんまり得意じゃないんだよね、イラスト。」
「うさぎではないって!これは絶対!耳は!?」
「あるじゃん。」
太く描きすぎて他の動物の耳と大差なく見えるが。
「ねぇ、なんでこれ目がこんなに狂気感じるの?」
上手く書けなくてぐちゃっとしてしまっただけだ。
「別に、動物じゃなかったらもう少しマシなの描けるよ。」
もう一度空いているスペースにペンを走らせ、別のものを描く。
動物や人間は難しくて描けないが、もう少しマシに描けるものはあるのだ。
「つつじ、強がらなくても良いよ。」
「うん、誰にだって苦手な事はあるよ!」
これ以上私に恥をかかせないようにする為か、やけに必死で二人が止めてくる。
「描けた。」
「これ……おはな?」
「パンジーだね。」
「そう。」
私が空いたスペースに描いたのは、鉢に植えられたパンジー。
昔、こんな感じで小学校に置いてあったものを思い出した描いた。
「すっごいじょうず!うさぎあんなんだったのになんで!?」
あんなんって思ってたのか。
「おんなじ人が描いたとは思えないんだけど…。」
フェレスもフェレスで失礼だ。
その後も花を中心にいくつか描かされたが、やはり動物は上手く描けなかった。