想い人ができましたの
フェザースノウ邸の応接室にて——恒例の筋肉越しの自己紹介を果たしたアンネリーゼとアメリアは、ソファへと腰を下ろしていた。
向かい側には、憂いを帯びた表情のリリィが二人掛けソファに座っている。
「リリィがあんな顔するなんて初めてかも……」
「どうしたんでしょう……」
隣に座りあった二人は、思わず顔を見合わせる。
「二人にお集まりいただきましたのは、お伝えしなければならないことがあるからですわ」
卓上に置かれたティーカップの湯気が、心の揺らぎのようにゆらゆらと漂う。
(誰かに弱さを見せるのは……。やはり、苦手ですわね)
ほんのり苦笑いがこぼれた。
少しの沈黙ののち——覚悟を決めたようにリリィは再び口を開いた。
「わたくしに……想い人ができましたの」
「ゴフゥッ!!」
「えっ!?」
アンネリーゼが飲みかけていた紅茶を豪快に噴き出し、アメリアが驚きの声をあげた。
「……ッ……ゴッ、ゴホッ……!!」
むせているアンネリーゼにリリィが心配げにハンカチをそっと差し出した。
「んん!!あり……がと……」
受け取ったハンカチで口元を拭いながら、いったん心を落ち着かせる。
「——って、落ち着いていられるかー!!どこぞの筋肉野郎がリリィを落としたんだ!!」
ガタガタと騒がしく立ち上がったアンネリーゼに、アメリアが気圧されながらもリリィに問いかけた。
「私もいっさい聞かされていなかったので、なにがなんだか……。どういうことなんですか?」
「アンネリーゼお姉様、ご着席してください。お相手の方は、そこまで筋肉ではありませんわ」
「はぁー!?リリィが筋肉野郎じゃないやつを好きになったって!?」
アンネリーゼは大きな声を出しながら、渋々といった様子でソファに腰を下ろした。
「ええ。一応、筋肉はありますがそこまで体格がよろしい方ではございません。わたくしが惹かれましたのは……彼の内面ですわ」
「内面、ですか……。とても素敵なことですね」
頬を紅潮させながら柔らかく笑うアメリアに、少し照れくさそうにリリィは頷いた。
また次回
毎日が筋曜日!




