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筋肉の苦手なもの

——少し湿気を含んだ風がリリィの頬を撫でていく。


孤児院の庭でリリィは空を見上げながら呟いた。


「……そろそろ雷雨が来そうですわね。さあ、皆さん洗濯物を急いで部屋に取り込みますわよ」

「……雨?……晴れてるけど……」


周りにいた子供たちもリリィの目線の先を追うように顔を空へと向けた。


「じきにきますわよ」


リリィの指示により総出で洗濯物を取り込んだすぐ後——空にゆっくりと入道雲が広がり徐々に雷鳴も轟き始めていた。


窓から外の様子を眺めていた子供たちが口々に驚きの声を漏らす。


「ゴロゴロし始めたよ!リリィのいったとおりだ……すごい!」

「なんでわかったの!?」

「さすがリリィだ!」


次の瞬間——耳を劈くような大きな疾雷が響いた。


子供たちが一斉に悲鳴を上げ、リリィにしがみつく。


「……っ……!」


リリィの笑顔が一瞬だけ引き攣った。しかし、すぐに自身を落ち着かせるようにふぅっと息を吸って吐く。


(何も……心配することはありませんわ。ここは、外ではありませんもの……)


気を取り直したリリィは声を一段と張り上げながら子供たちに話しかける。


「さあ、皆さん。今日は全員集まって一緒に寝ますわよ」


そのリリィの一声に子供たちが騒がしく集まっていく。

それぞれの寝具を部屋に持ち込み、布団の中に潜り込む。


「皆さん、落ち着いて。今は、お空が不機嫌なだけです。ずっと不機嫌な人はいないでしょう?楽しくおしゃべりして、寝ていればきっとあっという間に過ぎていきますわ」


リリィの優しい声に子供たちは段々と落ち着きを取り戻していく。

最初は楽しそうにおしゃべりをしていた子供たちは、しばらくすると静かな寝息を立て始めていた。


「そろそろ……大丈夫かしらね」


リリィは一人のシスターに声をかけてから、こっそりと部屋を抜け出した。


ときおり響く雷鳴の音。瞬間的に廊下を照らす稲光。

平気なふりをしていても自然と肩が震えてしまう。


「大丈夫。……今は、空が不機嫌なだけ」


子供騙しで放った言葉を、自身に言い聞かせるかのように呟いた。

リリィは足早に廊下を進み、応接室へと入っていった。


実はリリィにも苦手なものが……

また次回!

毎日が筋曜日!

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