輝くような満面の微笑み
その反応を見た三人は目配せをし合いながらニヤニヤと嫌な笑みを浮かべた——その矢先。
がばりと勢いよく顔を上げたリリィはキラキラと輝くような満面の微笑みを浮かべていた。
「……えっ、どういうことですの……?」
「……?」
「はっ?」
三人は予想外の反応に呆気に取られた。
リリィはそっとブローチを摘み上げ、目の前に持っていき、くるりくるりと回しながら恍惚の笑みを浮かべている。
「これは、とても素敵ですわ。オオスズメバチ……ですわね。わたくし、虫も大好きでしてよ。特に翅の構造は飛行姿勢に直結しますもの。筋肉の使い方を学ぶのには最適ですわ。特にこの部位、……見えます?翅と腹節の接合部分、たまりませんわね。人間なら広背筋と脊柱起立筋に相当しますわ」
熱弁するその口ぶりは、完全に好きなものを語る際のものだった。一呼吸も置かずに話し終えたリリィはそっと己の胸元にブローチをつけ、うっとりと眺めた。
「わたくし、蜂の中でも——特にオオスズメバチが好きでしてよ」
優雅に言いながら、指先で翅の部分を撫でる。
「あの咀嚼力……外骨格の隙間に牙をねじ込んで、鎧ごと噛み砕くんですのよ?……ご存知で?」
それは、ただの昆虫の話ではなかった。
口調は終始柔らかいが、その声の奥に含まれた“何か”が空気を一変させる。
「ヒッ!!」
三人の背筋に、冷たいものが這い上がる。それは本能的な恐怖だった。
カミラの手がカップを持ったまま震え、ティースプーンがカチカチと音を立てる。
ドロアは息を呑み、ロゼリナは笑顔を保ったまま、無意識に椅子の背に指を食い込ませていた。
「ああいった『機能美』にとても惹かれますの……」
リリィは、視線をそっとブローチから三人に向ける。
「ほんの少し……わたくしと似ている気がいたしますわ」
ふっとリリィが柔らかく笑った。
なんでも筋肉に直結型
また、次回!
毎日が筋曜日!




