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1.筋肉と緊張

柔らかな春の陽光が王宮の裏手にある庭園を優しく包み込んでいた。


色とりどりの花々が風に揺れ、甘い香りがふわりと漂う。

だが、そんな美しい風景とは裏腹にデビュタントを控えた王宮内は少しばかり騒ついていた。


華やかな衣装を纏った貴族たちが談笑しながら行き交い、遠くからは調度品の運び入れの音や召使いたちの忙しそうな足音が聞こえる。


庭園に設えられた噴水の前でリリィ・フェザースノウは背筋を伸ばしたまま、ふぅっと息を吐いた。


燃えるような赤髪は三つ編みハーフアップに。その身にはデビュタントらしく、シンプルながらも洗練された純白のドレスを纏っている。

首元には同色のレースのチョーカーが品よく着けられている。


自身の具合に異変を感じ、リリィは小首を傾げた。

トクトクと脈打つ鼓動は普段より少し速い。


「少し、身体も心も緊張しているかしら?……どちらも、ほぐしておかないといけないわね」


ゆっくりと肩を回しながら、緊張でこわばった筋肉を丁寧にほぐしていく。

首を軽く倒して伸ばし、背中の筋肉も深呼吸に合わせてじわりと解きほぐす。


拳に力がこもりすぎると動きが硬くなる。

だからこそ体中に血を巡らせ、筋肉の隅々まで気を配る。手を開いては握るを繰り返し、腰を軽く落とす。


「……フッ!……フッ!……」


拳を鋭く突き出しては、素早く戻す。

足を軽やかに使い、拳の動きに合わせて前後に移動する。


噴水の周りにはリリィ以外、誰一人としていない。

すでに他の貴族たちは会場に向かっていた。


そのためリリィが奇妙なストレッチをしていても驚く者も、咎める者もいなかった。


「なんだ……ちょっと変わった令嬢か」

いいえ、安心してください。だいぶ変わってます

次回も、お楽しみに!

毎日が、筋曜日!

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