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悪質な嫌がらせ

彼女らはドン引きしながらも、ロゼリナが果敢にも口を開く。


「そう……なのね……。それならしょうがないわ。そちらの……鋼鉄製?のティーカップに注ぎますわ」


ロゼリナはたじろぎながらも侍女に茶を汲むように指示を出す。


「お気遣い痛み入りますわ。いただきます」


リリィは注がれた紅茶を一口、上品な所作で飲んだ。


「……あら、こちらはダージリンのファーストフラッシュですわね。鼻腔を抜ける、新芽の青い香りが違いますわ」

「……くっ……正解ですわ」


リリィの鮮やかな右ストレートがロゼリナにクリーンヒットする。


だが、ロゼリナとしてもただ押されているだけではない。クラクラとする視界の中、必死に思考を巡らす。


「そっ、そういえば!新しいご交友の記念にリリィ様に贈り物がございますのよ」

(今が、アレを出す時だわ!)


ロゼリナは震えながらもほくそ笑み、侍女に例のものを持ってこさせた。


「あら、嬉しいですわ。ありがとうございます」


リリィはこれから起こるであろう嫌がらせなどつゆ知らず、微笑んでいる。


侍女が持ってきたのは”普通の令嬢”であれば両手で持たなければいけない程のサイズの箱だった。

リリィは差し出されたそれをそっと右手でつまみあげ、反対の手のひらにのせた。


ロゼリナは彼女が受け取る様子をじっと見つめながら片眉を上げた。


(おっ、おかしいわ!!あの箱、両手で持つようなサイズだったのに……あの子が持つと片手サイズなの!?)


「……開けても?」


ちらりとロゼリナを見遣りながら、リリィが聞いた。


「ええ、どうぞ」

(その中身をみて、わたくしたちの目の前で盛大に取り乱して、泣き喚きなさい!!)


ロゼリナは微笑みながら心の中で高らかに叫んだ。


リリィはしゅるり、しゅるりとリボンを丁寧にほどき、包装を剥がしていく。

上部の蓋をパカッと開けて中を覗き込む。


金属製の羽を広げた躍動感のあるフォルム。腹部の縞は重厚な金銀細工でできており、目を引く美しさと共にどこか不気味さを漂わせている。


そしてその胴体の下からは、細く鋭い六本の脚が節を折りながら突き出ていた。


規則正しく並んだその脚は、まるで本物のようなリアルさをもち、見る者に無意識の警戒心を呼び起こす。


それは装飾品というにはあまりにも生々しく、今にも動き出して襲いかかってきそうな——そんな凶暴な気配を放っていた。


「……これ……は……」


箱の中を見つめるリリィの大きな体が小刻みに震え出した。


リリィの反応は……

また、次回!

毎日が筋曜日!

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