ガゼボという名のリングへ
「——タイミングが整いましたら、わたくしがこちらのプレゼントをお渡しますわ」
「さすがでございますわぁ。やはり、ロゼリナ様はお優しいです」
「最高です!!」
三人は楽しく談笑しながらリリィの到着を待っていた。
そこにふと——一陣の風が吹く。
様々な花が咲き乱れる庭園に現れた一輪の真っ赤なグラジオラス。
それは、幾多の死闘をくぐり抜けたかのような圧倒的な風格を纏い、颯爽と現れた。
背筋を伸ばし、臆することなく真っ直ぐガゼボへと向かってくる。
三人はそれを見上げ、顔色を失った。
恐れ慄きながらも真っ先に口を開いたのは、ロゼリナ。それにカミラとドロアも続く。
「うっ、噂と違いますわ!?」
「……な、な、な、なんてこと!あれがご令嬢ですのぉ!?」
「こんなの聞いてない!!︎」
紅玉色の髪が風に靡き、まるで彼女の背に燃え盛る炎が揺らめいているかのように錯覚する。
ワインレッドのドレスを纏った強大な筋肉の塊。そして彼女には犯しがたい威厳があった。
その圧に三人の膝がドレスの下でガタガタと笑いだす。
「……っ!」
(あれは、何!?おおおお、落ち着くのよロゼリナ!!しぃ、ししし、しっかりしなさい!)
二人の手前、怯む姿をみせるなど到底できない。ロゼリナは震えが止まらない膝を、汗が滲む両手で必死に抑える。
そんな三人をよそに、リリィはガゼボという名のリングにゆっくりと足を踏み入れた。
これから始まるのは、茶会という名の”女の戦い”だ。
戦いの火蓋は切って落とされた。ガゼボにゴングの音が鳴り響く。
ここから始まる戦い
また、次回!
毎日が筋曜日!




