三人組からの洗礼
不穏な気配に気づきつつも、迎えた茶会当日。
グランシェ家の庭園にて。ガゼボのテーブルにはすでに、ロゼリナが席についていた。
そして、彼女を挟むように——向かって左側にカミラ・ロワン。右側にはドロア・オルネラが腰を下ろしている。
「本日は、新たに社交界デビューいたしましたフェザースノウ家のリリィ様に淑女らしく、『洗礼』を受けていただくために彼女を、お茶会にお招きいたしましたわ」
そう言いながらロゼリナが薄く微笑んだ。
「まぁ!リリィ様といえば、様々な噂をお持ちの……あの?」
おっとりとした口調でカミラが言う。
「最近は第一王子のカイゼル殿下とよくお会いしているとか……」
ドロアも彼女に続いて、口を開いた。
慎ましやかに会話をしているようだが、単刀直入にいうとカイゼルがリリィに目をかけているのがどうにも気に食わないのだ。
そして三人はリリィの根も葉もない噂を、自分の目と足で確認しようともせずにいまだに強く信じ込んでいた。
「ええ、そうなのよ。他の方もいらっしゃるのに……ね……」
(病弱。か弱い。両親が隠したいほどの美人……なんて言われているみたいですけれど、自分が特別だとお思いなのかしら……)
穏やかな雰囲気を装ってはいるがロゼリナの瞳には嫉妬の色が揺らめいていた。
「本日この場で、しっかりとご自身の立場というものを自覚してもらいましょうか」
そう言い放ってロゼリナはにっこりと微笑んだ。
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