表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/129

不穏な空気を纏った手紙

──カイゼルと過ごしたあとも、穏やかな日々が続くと思われた。

しかし、そんな未来はリリの元に届いた一通の手紙によって覆されることになる。


「……ロゼリナ様」


手紙を手にしたまま、リリィはぽつりと呟いた。



ロゼリナ・グランシェから茶会の招待状が届いたのは突然のことだった。

頭の中で素早く令嬢一覧から該当の名前を拾い上げる。情報によるとリリィよりも年上で、ほんの少し性格に癖のあるご令嬢だ。


「……手紙の内容は棘もなく至極真っ当ですわね……」


だが逆にその完璧さがどうにも胸の中をざわつかせた。所謂、”女の勘”というやつだ。

女の戦に呼ばれたのならば、こちらもそれ相応の覚悟で挑むしかない。


小さめのレターセットに返事を書き終えたリリィは、それをそっと封筒に収め、封蝋を押した。

そしてふらりと部屋を出て、テラスに立った。


雨上がりの湿った空気を肌に感じながら、リリィは外の空をじっと観察した。いまだに曇天の空が広がっていたが夜にかけてはもう雨は降りそうにない。


「ファウスト、いらっしゃい」


指笛が屋敷内に鳴り響く。


数瞬の静寂ののち、遠くから鋭い羽音が返ってくる。

黒い翼を広げ、風を切り裂きながら現れたのはリリィの相棒の鷹——ファウストだった。


スピードをゆっくり下げながら、テラスの手すりへと華麗に舞い降りる。

その鋭い瞳は主人からの指示を待つように、リリィをじっと見つめている。


「お手紙をお願いできますでしょうか?送り先は、”グランシェ家”までお願いいたしますわ」


ファウストの足に小さな革製のポーチを取り付け、その中に丁寧に手紙を入れる。

まるで「心得た」というかのようにファウストはリリィの前で高らかにひと声鳴いてから飛び立った。


「本来、お茶会とはこういった駆け引きを楽しむ場……なのでしょうね」


ファウストの姿が空の彼方に消えるまで見送りながら、リリィは小さく微笑んだ。

強き主人公には、強き相棒

また、次回!

毎日が筋曜日

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ