リリィが望む未来
「魔物への備え、護身術、災害時の初動……。日々の暮らしの中に守る術を取り入れることで民はより強く、自らを守れるようになるはずですわ」
リリィは一度言葉を切り、ほんの少し瞳を伏せた。
その胸に強い意志を込めて、再び顔を上げる。
「提案ばかりではなく、わたくし自身もこの案に参加したいと思っております」
「リリィ嬢、自らが?」
リリィはカイゼルを見遣りながら答える。
「ええ。わたくしも孤児院に通い、子供たちの暮らしを見守り、その成長や適性に寄り添う立場として彼らが進むべき道を選ぶ手助けをしたいのです」
彼を見つめる眼差しは、どこまでもまっすぐで揺るがない。
「未来を担う者たちが、自らの力で未来を選べるよう……。ほんの少しでも、その一助となれれば……と」
リリィが口を閉じたあと、部屋に静けさが少し流れる。
セラフィナが眉を上げながら、問いかけた。
「そこまでの構想を、あなた……お一人で?」
リリィは一瞬だけ視線を伏せ、深く息を吸ってから、まっすぐに返す。
「ええ。これは必要とされる人が、必要とされる場で生きていけるようにするための提案でございますわ」
「なるほど……。あなたが何を見て、何を守ろうとしていたのか……少しだけ理解できた気がいたします」
セラフィナは紅茶にそっと口をつけたあと、カップを置いて言った。
「この件、私のほうから陛下へお伝えいたします。ご提案の件、王族として前向きに検討いたしましょう」
リリィは思わず、軽く目を見開いた。
「……よろしいのですか?」
「ええ。私は王妃として、民と王の間に心の橋を築ける存在でありたいと常々そう思っております。ですからきっと、あなたのような方を陛下も無下にはなさりません」
セラフィナが優しく微笑み、カイゼルを見遣った。
「……カイゼル。あなた自身も、リリィに命を救われた身。きちんと礼をなさい」
「はい、勿論です」
カイゼルもふっと微笑み、セラフィナを見つめた。
その返事に満足そうに頷いたセラフィナは、再びリリィへと視線を向けた。
「さて、肝心のお話は済みましたが……。リリィ、あなたに少しだけ個人的にうかがいたいことがございます」
セラフィナの瞳には好奇心の色が揺らめいていた。
「あなたはこれまで……いったい、どのような教育を受けてこられたのかしら」
あくまでやんわりと、だがその声には確かな興味と探るような含みがあった。
リリィなりに色々と考えています!
また、次回
毎日が筋曜日!




