帰還
明くる朝、リリィは身体の具合を入念に確認してから獣棲東域を抜けた。
深く、ゆっくりと息を吸い込む。まだ温まりきらない早朝の空気が肺を満たしていく。
魔力暴走はおさまり、体調は普段通りだったが——問題は山積みだった。
(戻り次第、早急に王城へ向かわないといけませんわね)
冷静にこれからのことを熟考しながら、フェザースノウ邸を目指した。
屋敷の門兵に帰還を告げると、大広間には両親や大勢の使用人たちが集まった。
「リリィ様ー!!」
「おかえりなさいませ、リリィお嬢様」
大声を出しながらリリィに抱きつくノエル。マチルダは静かに迎え入れてくれた。
「皆さん。ご迷惑と、ご心配をおかけいたしましたわ」
リリィは全員の顔を見回しながら、小さな笑みを浮かべた。だが、すぐさま表情を整えて告げる。
「こうして戻ってくることができましたが、根本の解決には至っておりません。また、条件が揃ってしまえば魔力暴走は起きてしまいます」
全員の表情が一瞬で陰る。それでもリリィは続けた。
「ですが、原因としっかりと向き合い、必ずやフェザースノウ邸へと帰ることを誓いますわ」
リリィらしい言葉に、一同の胸が震えた。
その場に自然と笑みが広がっていく。
「さあ、皆さん。一日の始まりです!」
仕切り直すように彼女が手を叩けば、彼らはわらわらと持ち場へ散っていった。
朝食と身支度を済ませたのち、リリィは簡潔な謁見願いをしたためた。家令にそれを託し、王宮からの返答を待つ。
昼を少し過ぎた頃、フェザースノウ邸に王宮の使者が訪れた。
また次回
毎日が筋曜日!




