表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

115/135

斧の山

工房内ではザムエルの怒号が飛び交い、熱した鉄を大槌で叩く音が響き渡っていた。

出来上がったばかりの斧たちが、テーブルの上を次々と占領していく。


「お忙しいところ、すみません。納品数を増やしていただけませんか!」


叫びながら室内に入ってきたのはノエルだった。

ザムエルは彼女に一瞥もくれずに、作業を続けながら声を荒げた。


「俺たちだって急いでる!新しい斧の製作に——こちとらぁ、手一杯なんだよ!」

「だったら私も手伝います!」


腕まくりをしながら、ノエルがずけずけとザムエルの元まで歩いていく。


「素人の嬢ちゃんに何ができるってんだ!大人しく受け取って、さっさと早く届けてやれ!」

「私を舐めてもらっちゃ困りますよー!フェザースノウ家の侍女です。道具さえあればなんでも作れます!」


ああ言えばこう言う。埒が明かないやり取りに、ザムエルは痺れを切らしたようにさらに声を張り上げた。


「言い合ってる時間すらもったいねぇ!!やれるっていうんなら端でやれ!」

「はいっ!」


ノエルは厚めの前髪をゴムでひとつに纏め、視界を確保する。

髪の束がおでこの上でぴょこんと立った。

おかしな前髪のまま——他の職人から道具を受け取り、さっそく斧作りに加わる。




それから、ほんの数時間後。


「出来ました!!」


誇らしげに斧を掲げたノエルが大きな声で叫んだ。


「早ぇな!」


間髪を入れずに、ザムエルが顔を上げながら突っ込みを入れる。


若手の職人たちも作業の手を止め、ノエルの元へと歩み寄っていく。彼女の斧をしげしげと見つめたのち、思わず息を呑んだ。


「普通は仕上げるのに早くて半日、遅くて一日はかかるんだぞ!?」

「出来栄えもいい感じじゃないか?」

「少し離れてください!」


これ見よがしに、ノエルは斧を振ってみせる。


「どうですか?」


弟子たちから称賛の声が上がると、ノエルは腰に手を当て満足げに胸を張った。


その様子にザムエルが唖然としたのも——つかの間。


すぐさま空気を切り替えるように、拳で机を強く叩いて全員の注意を引いた。緩んでいた空気が一気に引き締まっていく。


「どうやったのかは分からねぇが、とにかく俺たちもしっかり作っていくぞ!」

「はい!」


男たちの腹に響くような返事が室内を揺らした。


また次回

毎日が筋曜日!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ