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規格外な令嬢

毅然とした面持ちで男を抱えたまま、リリィ一行は式典会場へと続く階段を上がっていく。


重厚な両開きの扉の前には衛兵たちがいた——が、誰一人として動こうとしなかった。否、動けなかったのだ。


ただ、リリィに圧倒され言葉も出ず、目を見張るばかり。

仕方がないわね、とばかりに彼女がドアに手をかけた。


美しい装飾の施された扉が、意外なほど軽やかに音もなく開かれた。


そこに立っていたのは、一糸の乱れもなく背筋を真っ直ぐに伸ばした一人の令嬢。

だが、その圧倒的な存在感は誰もが想像する令嬢像とは大いにかけ離れていた。


完璧な純白の礼装を纏いながらも、彼女が右側に抱えているのはぐったりとした一人の男。

そして、リリィの左側には小柄なアメリアの姿。


亜麻色の髪は丁寧に結い上げられているものの、細い首筋がどこか頼りなく見える。胸元で重ねた両手をそわそわとさせ、その姿は今にも倒れてしまうかのような儚さを帯びていた。


そんな非日常的な光景に、会場の空気が一瞬にして静まり返った。

視線は奪われ、呼吸すら忘れたように人々はただ彼女たちを見つめていた。


深紅のカーペットへとリリィが一歩——足を踏み入れる。

会場内にリリィとアメリアの足音だけが、確かな存在感をもって響く。


やがて、その音に誘われるように、ぽつり、ぽつりと小さな囁きが生まれ始めた。

それはまるで水面に落ちた一滴の雫から広がる波紋のように、会場中に伝播してゆく。


「えっ?大きい……じゃなくて、遅れてるご令嬢ってどなたでしたっけ?」

「確か、フェザースノウ家のリリィ様と……ローゼンクロイツ家のアメリア様よね?あれが、あれが……フェザースノウ家の……?」

「違うわ、きっと隣の子よ。ほら、噂ではか細くて病弱って……」


二人を見比べる視線は交錯し、確信を持てない人々の思考は戸惑いと混乱に揺れていた。


その全てを受け止めながらリリィは少し前へと進み、胸を張りながら凛とした声音で述べる。


「式典の最中、このような無作法な登場となりましたこと深くお詫び申し上げます」


彼女は深々と頭を下げた。

所作には、気品と矜持。そして礼節を重んじる気持ちが込められていた。


その姿に会場にいた誰もが、思わず口を噤んだ。

圧倒的存在感

次回もお楽しみに!

毎日が筋曜日!

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