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56 不安と心遣い

 手当をした後、シャロンの元へはレグルスとリラが来ていた。

「義姉上、シャロンのことをお願いできますか?」

「アルク様。もちろんです。アルファルドが待っています。シャロン様は任せて行ってきてください」

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

 アルクトゥールスは、ほっと息をつくと入れ替わるようにアルファルドの宮に向かった。夕陽が落ちて、長い影を作った。

「シャロン、本当に、ごめんね、僕が、余計なこと言ったから」

 シャロンはしゃくりあげるレグルスの髪を撫でてやる。

「レグルスのせいではないの。そんなに泣かないで」

「だけど、僕が……」

「レグルスのお嫁さんにはなれないけど、許してね」

 そう言うと、彼はうん、と生真面目に頷く。

「シャロンは、兄叔父上が好きなんでしょう……?」

「うん。そうなの」

「僕も兄叔父上は大好きだよ。ふたりとも好き同士なら、僕はがまんする」

「ごめんね。ありがとうレグルス」

 そう言って、頭を自分にもたれさせるようにして抱きしめた。

「本当にすみません……シャロン様。レグルスにも良く言って聞かせましたから」

「リラ様、そんなに恐縮しないでください。本当に、誰も無事で……本当に、私嬉しいんです」

 恐縮するリラの手を握る。優しい義理の姉。いつもシャロンを気遣ってくれる、その控えめな優しさに、何度となく救われた。

「……恐ろしかったでしょう。でも、もう安心して大丈夫ですからね。皆、ついています」

 リラもシャロンの手を強く握り返した。

 舅はいま、軟禁状態にあるのだという。これからどうなるのか、とシャロンは思う。

 今日はもう、外に出ないようにとアルクトゥールスに言われ、レグルスとリラと一緒に宮にいる。外には警備の兵が大勢配置されていた。けれど、なんとなく落ち着かない。アルクトゥールスが、なにかを隠しているようにしか見えないのだ。

 もう一度、レグルスの頭を撫でて抱きしめると、シャロンはそっとため息を落とした。

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