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34 予知夢2

 シャロンに男が詰め寄っている。あの男だ。夢で見たシャロンを殺した男ーー。シャロンの顎に手をやり、自分の方に引き寄せてーー。

 場面が変わり、シャロンが女性を庇っていた。女性は半狂乱になっている。全身を叩かれているシャロンが痛ましい。もう庇わなくていいんだ、と引き剥がしたくなる。

 またあの男がシャロンが庇っている女性に蹴りを入れようとして、シャロンが必死に庇う。

 なぜ、そんなに必死になって、自分を犠牲にしてまで庇うんだと言いたくなった。見ていられない、痣だらけではないか。

「ーー夢、ではない」

 天主は低い声でそうつぶやく。また生々しい夢だった。予知夢だろうか。

 まだお昼すぎ。ほんの少しだけうたた寝をしていたらしいと思う。

 木々にとまっているのであろう、小鳥の囀りが聞こえてくる。

 気分? 気分は不快極まりなかった。

 とんとん、と指で机を叩く。これは予知夢なのだろうか。だとしたらもうすぐレヴィアも来る。彼の報告を聞こうと思う。だがレヴィアは中々来ない。結局ベルを鳴らして、扉番の青年にレヴィアを呼ぶように伝えた。

 気色の悪い男がシャロンに迫る様も、シャロンが女性を庇い痣だらけになる様も、そこにまた蹴りをいれようとする男も全てが不快だった。

 その時、ノックとともに扉が開いてレヴィアが入室してくる。

「……もしかして、また夢を見ましたか?」

 幼い頃からの阿吽の呼吸で、相手のことがわかる。 

「シャロンが、あれはアルーアの王だろう、に迫られていた。そしてシャロンは、女性を庇っていた。痣ができるほどに。一体、なんなのだ。アルーアの王は低能か……! 第2王子はなにをやっている!」

「えー…。シヴァの報告も、天主様の見た通りの報告が先ほど上がりました。シヴァも怒っていましたよ」

 やはり予知夢だったのだと天主は思う。それなら行き着く先は、最初に見た夢になるんだろうか。そんなことは、断じてあってはならない。

「シヴァに報告は逐一しろと伝えろ。どんな些細なことであっても、だ。おまえとシヴァの間なら、能力を使って話ができるだろう」

「俺の政務もなかなか激務なんですが、やらないとダメですかねえ……」

「勿論だ。それに、おまえも声だけでもシヴァと話せるだろう。一石二鳥じゃないか」

 今は、眠りたい気持ちが先なのですが……そう言ってレヴィアはため息をつく。

 「アルーアを調べろ。どうにもならないようなら、シャロンを連れ戻す」

「それは、なかなかできかねるかと思いますがねえ」

レヴィアの諦めの入ったぼやきを天主は黙殺する。レヴィアはやれやれと言うように肩を竦めた。

 

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