銅の遊園地
序章:廃れた遊園地
山奥の小さな村に、一つの遊園地があった。だが、それは普通の遊園地ではない。施設のすべてが銅でできているのだ。観覧車もメリーゴーランドも、食べ物を売る屋台さえも、すべてが錆びた銅で覆われていた。
その遊園地は、今や誰も訪れることがない。村人たちは「あそこには近づくな」と口を揃えるが、その理由を語る者はいなかった。
ある日、都会から引っ越してきた少女**真凛**は、村の噂を耳にする。「銅の遊園地には呪いがかかっている」と。
「呪いなんて馬鹿馬鹿しい。遊園地なんて楽しい場所じゃない!」
好奇心旺盛な真凛は、友人たちを誘い、夜にその遊園地を探検しようと計画を立てる。
第一章:門の向こう
真凛と友人の航、**優奈**の3人は、薄暗い森を抜け、遊園地の大きな銅の門にたどり着いた。門には錆びた文字で「楽園へようこそ」と書かれている。
「すごい!本当に全部銅だ!」と興奮する真凛。
「なんだか不気味だな…」と航が呟く。
門を押すと、ぎしぎしと音を立てながら開いた。中に足を踏み入れると、遊園地全体が薄暗い銅色の光に包まれていた。誰もいないはずなのに、観覧車がゆっくりと動いている。遠くからは子供たちの笑い声のような音も聞こえてくる。
「誰かいるのかな?」優奈が不安そうに言うが、真凛は興奮を抑えられない。「行こう!きっと楽しい場所だよ!」
第二章:動き出す遊園地
3人がメリーゴーランドに近づくと、突然その灯りが点滅し始めた。「え、動いてる?誰も操作してないのに!」航が驚く。
真凛が興味本位で馬に乗ると、メリーゴーランドが急に加速し、真凛は降りられなくなってしまった。
「助けて!」と叫ぶ真凛。だが、友人たちは何もできない。
その時、銅の地面から手のようなものが伸びてきた。それは、錆びついた銅の人形だった。人形たちは低い声で囁く。
「楽園へようこそ…ここから出られる者はいない。」
第三章:遊園地の真実
必死で真凛を救い出した航と優奈は、逃げるように観覧車の中に飛び込んだ。しかし、観覧車の中で見たのは遊園地の過去だった。
かつてこの遊園地は、多くの人々を楽しませる場所だった。しかし、オーナーは「永遠に楽しめる遊園地」を作ろうとし、人間を銅でできた人形に変える呪いを使った。
人形たちはかつての客たちであり、今でも楽園に閉じ込められているというのだ。
第四章:真凛の決意
真凛はその真実を知り、遊園地を破壊することを決意する。「こんな場所が存在してはいけない…!」
しかし、人形たちは抵抗する。「壊さないで…私たちはここでしか生きられない。」
その言葉に真凛は葛藤する。「でも、この呪いを解かないと、また新しい犠牲者が出る…」
航と優奈の助けを借りて、真凛は遊園地の中心にある「銅の心臓」と呼ばれる機械を見つける。それが呪いの核であり、全ての元凶だった。
第五章:楽園の崩壊
真凛が銅の心臓を破壊すると、遊園地全体が崩れ始めた。人形たちは「ありがとう…」と感謝の言葉を残しながら、光となって消えていった。
遊園地が完全に崩壊した後、そこにはただの空き地が残っていた。真凛たちは深い安堵感とともに、村へと帰った。
エピローグ:新しい始まり
遊園地の呪いが解けたことで、村の空気は明るさを取り戻した。真凛は村の人々に「これからはこの場所を明るい未来のために使おう」と提案する。
かつての呪われた遊園地は、今では村人たちの集会場として、新たな希望の場所となっている。
教訓:過去の過ちを乗り越え、新しい未来を築くことができるのは、人の意志の力である。