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第98話 悪徳商人の帝国攻略録5/双皇女の攻略進捗:60%

 双皇女に挨拶をした日から数日間、俺は毎日彼女たちの元に通った。

 

 もちろん贈り物も欠かしていない。


「フェイフェイ、ユウはビックリしているのです。七色にキラキラ輝く羽根なのです」

「ユウユウ、フェイも驚きましたわ。虹色の宝石にも似た羽根で、とても美しいですの」

「この虹の羽に、お二人の未来に幸いが訪れるよう祈りを込めました」


 例えばそれは、メラニペの協力で得た稀少魔獣の羽だったり。


「フェイフェイ、これは何なのですか?」

「ユウユウ、これはきっとアーティファクトですわ」

「ええ、その通りです。ここのツマミを回すと、ほら」

「「――――!!」」


 例えばそれは、ルリが作ってくれた小型のプラネタリウムだったり。


 他にも、大陸東部や南部でしか手に入らない稀少な品など、双皇女が好みそうな物をひたすら貢ぎ続けた。


 会話においても智略と政治を高めて、時にユーモラスに、時に繊細に。


 二人が好みそうな話題や冒険譚を話し続けた結果――。


「ユミル、ユミル。ユウはもっとお話が聞きたいのです」

「ユミル、ユミル。フェイももっとお話が聞きたいですわ」


 双皇女に左右からくっつかれ、話をせがまれる状況が出来上がっていた。


 智略を高めていなければ、二人の甘い魅力(最高峰の統率)によってメロメロにされていただろう。


「はは、そうだな。でも、そろそろ食事の時間だろう?」

「ユミルも一緒に食べれば良いのです。フェイフェイもそう思うはずなのです」

「もちろんフェイもユミルと一緒に食べたいですわ。ユウユウと一緒に三人で食べますの」


 と、そんな感じでキャッキャウフフと、食事までの時間を過ごしていたのだが――。




「……この料理を用意したのは、誰ですの?」




 料理が並べられた途端、フェイの顔から色が抜け落ち、ゾッとするような声が放たれた。


 その言葉を聞いた瞬間、配膳しながら料理の説明をしていた女性――恐らくは料理長だろう――の顔が、絶望に染まった。


「フェイはお団子は三つが良いと、伝えてあったはずですわ」

「あ、本当なのです。ユウのお団子もフェイフェイのお団子も二つなのです」


 ちなみに俺のお団子も二つだ。


 ジロリと、冷酷な眼差しで料理長を見つめるフェイ。

 料理長は恐怖で怯えきっており、口を開けない。


「ユウはフェイフェイとお揃いだから平気なのです」


 のほほんとしたユウに対し、フェイがたしなめるように首を振る。


「ダメですわ、ユウユウ。分からせる必要がありますの」


……なるほど、そういう事か。


 料理を見て気付いた事があったので、フェイに話しかける。


「フェイ、少し良いか?」

「――ユミルも、フェイをいさめるなどという愚かな事をしますの?」


 先ほどまでの可愛らしさは消えて、底冷えするような響きが宿っている。


 達人級の武官すら震え上がるだろう絶対的な圧力は、圧巻の統率値99によるもの。


 しかし、俺はその威圧をどこ吹く風とばかりに受け流す。


「ほら、料理をよく見てみろ。俺たち三人とも同じ内容だろう?」

「……? それは当たり前の――」

「俺が一緒に食べる事は、さっき伝えられたばかりだ。それなのに、俺のぶんもしっかり用意されている」

「あ……」


 ユウとフェイの為に作っていた料理を三人分に分けて、サッと作れるものを急いで追加したのだろう。


「二人用の六つを三人用にしたから、二個ずつになったんだよ」

「フェイとユウユウとユミルが、同じものを食べられるように工夫した……という事ですの?」

「そういう事だ。ユウとフェイの友人である俺にだけ、団子がない……そんな状況を避ける為に、仕方なかったんだ」


 双皇女に見えぬよう料理長にウインクすれば、感謝と感激に染まった泣き顔が返ってくる。


 そして、俺の言葉を聞いたフェイは羞恥心で顔を赤くしていた。


「ユミルへの配慮……フェイとユウユウの大切なお友達を想っての事。フェイは、そんな事にも気づかず……恥ずかしいですわ」

「誰にだって失敗はある。過ちから学んで人は成長するんだ。一つ勉強になったな」


 フェイの頭を撫でてやれば、ビックリした顔になったあと、心地良さそうに目を細める。


 同時に、俺はもう片方の手でユウの頭も撫でてやる。……この二人の扱いに差をつけると、後が怖いからな。


「ユウも、よく覚えておくんだぞ」

「分かったのです。覚えておくのです」


 くすぐったそうにしながらも、ユウが尊敬の念を向けてくる。


 フェイの怒りを収めて、流血沙汰を止めた――その偉業が心にヒットしたらしい。


 一方のフェイもまた、俺に熱っぽい眼差しを向けていて、強い信頼を感じる。


「さ、それじゃあ食べようか。三人で食べるんだ、きっといつもよりずっと美味しいぞ」


 これで魔石の噂を流す下地は整った。

 もうメンショウ帝国に掛かりきりになる必要はないだろう。


 今後のメンショウ周りの課題は反乱への対処だが、そちらはネコミの情報収集が終わってからでも遅くない。


……そろそろクロスエンドあたりで魔石が見つかるだろうし、リリスリアに声明を出してもらうか。

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