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第103話 極運の山賊女王、攻略完了

「お前のお祖父さんの遺産は、第二の時代の産物。そうだな?」

「本当に何でも知ってるんすね……」


 売ればそれだけで一生遊んで暮らせる宝物。


「その修理費用は、当然ながら莫大ばくだい。そもそも直せる者がいるかも怪しい」

「分かってるっす。だけど……」

「直せる当てがある、と言ったらどうする?」

「……え?」


 というより、既にニミュエの手で修理は完了しているのだが。


「あ、当てがあるって本当っすか!?」


 勢いよく立ち上がり、詰め寄ってくるベルミラ。下着姿が目に毒なので智略を高める。


「俺がデタラメな戦力を揃えている事は知っているだろう? 当然、伝手も豊富だ」

「な、何をすれば良いっすか!? 何でもするっす!」


……捕まえた時もそうだったけど、本当にお祖父さんを愛しているんだな。


「これから先も俺に仕え続けてくれ。お前の力が欲しい」

「えっと、それって今と何が違うんすか?」

「今までは一方的な脅しだった。だが、これは雇用契約だ」


 ベルミラがポカンとした表情になる。


「脅し続ければ良いのに、どうしてわざわざ……」

「契約すれば、俺に責任が発生する」

「だ、だからそんなの、領主様が損するだけじゃないっすか」

「もちろんお前も契約に従い、仕え続ける必要がある」


 そこまで告げてから、一呼吸入れる。


「俺はお前を尊重したいんだ、ベルミラ」

「尊重……つまり、私の事を大切にしたいって事っすか?」

「そう言いかえても良い」


 頬を赤らめた後、髪をいじったり、両手の指をツンツンしたり、ソワソワした態度を取るベルミラ。


……ぶかぶかのシャツで萌え袖になっているの、良いな。


「そんな風に言われたの、初めてっす……。契約したら、どのくらいで修理してくれるっすか?」

「契約を結ぶなら、すぐにでも手配しよう。ただし、ただの契約じゃないぞ」


 “円環・至聖三者”の第二効果で作り出した契約の巻物。

 その力を第一効果で一時的に強化し、永劫不破の遵守契約を発動する。


「相応の理由がない限り、俺の元を離れられない」

「……、相応の理由って、どんな事っすか?」

「俺がお前を裏切ったり、雇用費を払わなかったり。後はそうだな、お前が結婚して家庭に入るから家臣団を抜けたいとかな」


 俺の言葉を聞いたベルミラが、ぷっと吹き出す。


「凄いっすね。私の力が欲しいのに、結婚したら手放すんすか?」

「もちろん他国の人間に嫁ぐ場合なんかは、相談の上、許さない事もあるが」


 俺が愛に生きているのだから、家臣団のそれを禁ずる事は出来まい。


「……、それってつまり、他国の人間じゃなければ恋愛するのは自由って事っすか?」


 ジーッと見つめてくるベルミラに、もちろんだと返す。


「例えば山賊の中に気になる相手がいるなら、」

「それは絶対にないっす」


 高速の否定だった。


「とにかく、そんな感じだ。契約を結んでくれるか?」

「断る理由がないじゃないっすか」


 ベルミラの言葉に合わせて輝きを増す虹色の光。


 その光が俺たちを包み込んで、契約が完了した。


……まさか、原作で散々プレイヤーを苦しめたあの“白耳の悪魔”を雇用出来るとはなぁ。


「よし。じゃあ契約も完了したし、これを渡しておこう」


 道具袋をガサゴソしてとある物を取り出す。


「は……え……?」


 俺の手元を見たベルミラが、目を点にする。


――それは、現代では失われた金属で作られた武具。


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「大気中の魔力を弾丸に変えて発射するから、弾数は無限らしい。手のひらサイズだっていうのに、射程距離が使用者の知覚可能範囲っていうのも凄い話だ」

「嘘、なんで、それ……おじいちゃんの……」


 わなわなと身体を、声を震わせて見つめるベルミラ。 

 そんな彼女の手を取り、銃を託す。


「俺の雇っている鍛冶師は、第一の時代から続く精霊の血脈なんだ。だから修理も出来るって訳だ」

「あ、ぁあ……ああぁ……」


 ベルミラが声にならない声を上げて、涙をこぼしながら魔銃を胸元に抱き寄せる。


 ニミュエいわく、ベルミラの極運なら適当に撃っても必中になるらしい。弱点だった攻撃手段の無さが補強された形だ。


「よろしく頼むぞ、ベルミラ。期待してるからな」


 ポンポンと頭を撫でながら、頼もしい家臣が増えた喜びに浸る。


 さて――それじゃあネーベルには、しばらく行動不能状態になってもらうか。

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