7話 帰り道と過去回想2
短めです。
「ね?レッドだろ?そもそもあの時俺はただの一般人だし」
「むぅ…」
それでもレイはヒーローでもない一般人がディアボロスに襲われた状況で見ず知らずの相手を助けるために行動できる方が、強力な力を持ったヒーローよりもよっぽどすごいと思っている。今回も変身したジャスティレッドを相手に生身で自分を庇うために飛び込んでくるあたり、やはりこの男は10年前のあの人で間違いなかった。そんな事を考えていると、純がまた口を開いた。
「なぁ、俺もずっと気になってたことがあるんだけど…」
「なんだ?」
「その…お前の喋り方って、普段から誰に対してもずっとそうなの?」
「…は?」
「いや、あのね?〜なのだとか、貴様とか、俺の周りには使う人いないからさ。てか正直、それ普段遣いしてる人を初めて見たっていうか…漫画とかアニメの影響?」
純がそれを聞いた瞬間、一瞬時が止まった。
「どした?」
「こ、これは、違う!漫画やアニメの影響などでは断じてない!」
「そうなんだ。じゃあ元から?」
「そんなわけなかろう!これは、ディアボロス時代に部下達に威厳を示すため、わざと口調を変えていたら、戻らなくなってしまったのだ」
「威厳って、口調で示すものなのか?」
「う、うるさい!」
「まぁ、どっちにしろえげつないくらいイタい美人だってことがよく分かったよ」
「くっ…、殺せ…!」
「そういうとこだぞ」
などと話しながら純と顔を真っ赤に染めたレイは歩く。そして純の住むアパートに近づいてきた頃、純に新たな疑問が生まれた。
「…あのさ、そろそろ俺んちなんだけど、お前どこまでついてくんの?」
「別に貴様について来ている訳では無い。私もこっちなのだ」
「ふ~ん、あっそう」
そしてまた2人は暫く歩く。そして遂に純の住むアパートが見えてきた。
「…え?」
「む?」
アパートに到着。そして純の部屋がある2階に上がる階段を2人は登る。
「え?」
「む?」
階段を登り、2人はそれぞれの部屋の前に立つ。そして、
「「は!?」」
純の部屋の隣、ずっと空室だったその部屋に今朝引っ越して来たのは、レイだったのだ。
「お前かい!隣に引っ越してきたのお前かい!」
「最悪だ…まさかこんなテンプレのような展開が実際にあるとは…!」
2人は数秒の間その場で固まる。
「え、あぁ、はい。じゃあ、お疲れした」
「…」
2人は考えるのをやめた。