1話 俺はグリーンを辞めるぞ!博士!!
他に連載しているものが一段落してから始めようと思っていたのですが、我慢できずに始めます。ラブコメというものに初挑戦ですが、温かい目で見守ってくださると幸いです。よろしくお願いします。
メインで連載しているものがあるので、連載ペースは遅くなるかと思われます。
「五彩色博士、突然ですが、本日をもってジャスティファイブのグリーンを辞めさせていただきます」
ここは戦隊ヒーロージャスティファイブの基地。そのジャスティファイブの産みの親でありジャスティファイブメンバーの上司にあたる五彩色摩陀羅博士にグリーン担当、緑川純は自分に支給された変身デバイスと一緒に辞表を突きつけた。
「えぇ!?なになにいきなり、どうしたんじゃ緑川君!?」
「3ヶ月前、俺達は悪の秘密組織ディアボロスを壊滅させました。これによってジャスティファイブの役目はほぼ終わったに等しい。社会から必要とされなくなって自然消滅していくのなら、自分から辞めさせていただきます」
「な、何を言っておるんじゃ緑川君、確かに組織としてのディアボロスは壊滅したが、奴等が全滅したわけではない!その残党達がいつまた暴れ出すか分からんのだぞ!?それは君も分かっているはずじゃ。本音は一体何だね?」
五彩色博士が訊ねると、純は少し迷って、
「…正直、もう限界なんです」
「どうした緑川君、悩みがあるなら話してくれないか?ジャスティファイブを立ち上げてから10年、様々な理由でメンバーが脱退しては新メンバーの加入を繰り返してきたなんだか売れないロックバンドみたいな我々だが、君だけは初期からこれまでずっとジャスティファイブの守備の要として頑張ってきてくれたじゃあないか?ワシはそんな君を部下を超えた本当の家族のように思っているのだよ?」
「俺は博士の事は今でもただの上司だと思ってます。それ以上でもそれ以下でもありません。限界だって言ったのは、初期からこれまでずっと守備の要だってことなんですよ!俺もう30ですよ!?いくら変身デバイスの力で強化されてるからって、いつもいつも盾役だと体が保たないんですよ!攻撃受けたらめっちゃ痛いんですよ!キツイ割に地味だから俺が10年間ずっと人気最下位だし!スーパーに買い物に行ったときにジャスティファイブカードがオマケでついてくるウエハースのコーナー見たことあります!?子供たち皆グリーンが入ってる袋を避けて買ってくんですよ!たまに買われたと思ったら、俺はお前の重要さよく分かってるぜ!みたいな顔したヒーローオタクのオッサン!!あと俺以外のメンバー皆それぞれで付き合ってるもんだから、戦闘後の帰投用車両が来るまでの間毎回毎回イチャイチャイチャイチャ、俺完全に邪魔者じゃないですか!!辛いよホントによぉ〜!何と言われようと絶対辞めます!!」
「緑川君、待ちたまえ!辞めると言うなら、ワシを倒してから行きなさい!!」
(フッ…流石に上司を殴れまい!なんとか説得してみせるぞ!)
「オラァ!!!」
「ぐっはぁ!!…な、何!?ぐふっ…」
五彩色博士を躊躇いなく殴り倒し、純は荷物をまとめてジャスティファイブの基地を出た。
時は流れて、その日の夜、街の片隅のスナック『トリカブト』。毒々しく恐ろしくヤバいセンスの店名だが、紅緒ママの人柄もあって純を含めた常連客から長年愛されている。そんなスナックに純の姿があった。
「それで上司殴って仕事辞めてきちゃったの?流石にやり過ぎよ純ちゃん」
「だって限界だったんだもん〜!ママおかわり!」
「飲み過ぎよ~。これで最後ね」
「うぃ〜、ねぇママ、そう言えば見慣れない子がいるけど、新しいバイトさん?」
「そうなのよ!今日から来てくれてるレイちゃん!ど〜お〜?ゲロマブでしょ〜?レイちゃん、自己紹介して」
「今日から世話になる毒島レイだ。よろしく頼む」
紅緒ママにレイちゃんと呼ばれた彼女は長い銀髪を三つ編みポニーテールにして、綺麗な宝石のような紫色の瞳。客に対して少し尊大な口の聞き方は一瞬気にはなったが、その日本人離れした色の瞳とプロポーションに気づけば目を奪われていた。そして、初対面のはずの彼女の長い銀髪になぜだか既視感を感じた。戦隊ヒーローとして悪の秘密組織ディアボロスと闘っていた頃、その銀髪をよく見ていた。というか忘れられるはずがない。彼女はディアボロス最高幹部の1人、
「…シャウラ…バロネス…!」
「ッ!?」
「どうしたの純ちゃん?」
「あぁ、いや、なんでもない。人違いだったみたい。飲み過ぎたわ」
(何でシャウラ・バロネスがスナックでバイトしてんだよ!?というか変身前の姿可愛すぎるだろ!正直めっちゃタイプです!)
ギャグ出来てんのかな?