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八十三話 【砂漠のオアシス】

 ヴァルスケルハイトの魔導飛行船工場を破壊すると皆んなの方針が決まった。

 まずは近くにある村【トレド】へ向かう。

 リュビナイトは目立つので、村から離れた場所に停泊する。

 俺とレア、エイルとアンはリュビナイトの中に二台あるバイクに乗って、向かう事にした。


 しかし……。

 エイルもアンも乗った事が無いので運転出来ない。

 仕方なく、俺が運転してエイルを乗せる。

 レアが運転してアンを乗せる事になった。


「風が気持ちいい〜!」


 エイルは結構気に入ったようだ。


「……私も、ケンジと一緒が良かった……」


 アンはレアに文句言っている。


「私もご主人様と二人で買い物に行きたかったですにゃ」


 レアもアンに向けて文句を言って言い合いを始めている。


 トレドの村はオアシスを求めて移動していた元遊牧民の村だ。

 今は立派な村となっている。

 船を出る前にリューに聞いた。


 その村の近くでバイクを降り村へ向かう。

 勿論バイクが沈まないのを確認してからだ。


 トレドの村の家はテントの様な家で、点々とお店があるだけで大きくは無い。

 売っている物は色々な魔生獣の素材、武器も魔生獣の素材で出来た物が多い。

 人もあまり見かけない。


「ケンジ見て見て! 何か焼いてる! 良い匂い〜」

「なんの肉なんだろうな?」

「あのお肉美味しそうだよね〜」

「まずはお金(ジル)を稼がないとな。 でもガル支部は無さそうだから、何処か稼げる場所を探さないと……」


 既に昼も過ぎている……、お腹も空くよな。

 村の人に何か困っている事が無いか聞いて回るが特に無いらしい。

 困っていると、一人の獣人の男性が声をかけて来た。


「ちょいとお尋ねしますが、この辺で仕事を探しているってのはあんた達かい?」

「そうですが?」

「そいつは良かった。 ちょいと羽振りの良い仕事があるんだが、どうだ?」


 怪しい……。 めちゃくちゃ怪しい……。

 そんな俺の態度に気がついたのか、畳み掛ける様に話しを始めた。


「あっしは別に怪しい者んじゃねぇです。 この村で仕事を探している御三方がいるってんで、声をかけさせて頂いた次第です」


 御三方?

 腕をろくろを回す様に身振り手振りで説明を始めた。


「御三方にして頂きたい仕事なんですが護衛なんですよ」

「護衛?」

「ええ、このオアシスから少し離れた場所に【サンドクラブ】が取れる場所が合りましてね、サンドクラブは貴族なんかに結構な高値で取引されて人気なんですか……」

「私達は必要無いですよね?」

「いや〜、それが最近そこに魔生獣が出るようになっちまってほとほと困ってるんでさあ……」

「魔生獣か……、どんな魔生獣なんだ?」

「【デザートピート】って言う魔生獣なんですが、これが結構厄介な魔生獣でして……」

「どんな魔生獣なんだ?」

「硬い甲殻を持って、毒の牙で襲ってくる魔生獣なんです」


 毒の牙か……、ちょっと厄介そうだな……。


「サンドクラブの漁をしている間、そのデザートピートからの護衛って訳か?」

「いやあ、さすが! その通りでさあ! 報酬は一人一万ジルで如何でしょ?」

「一万!? 四人で四万ジルか……、随分高いな?」

「サンドクラブが大漁に取れればその位の報酬は余裕なんですよ」


 今は先立つ物が無いので、この報酬は美味しい。

 だが、漁が終わるまでの間だし、魔生獣が必ず出るとは限らない……、か……。


「魔生獣が出なくてもその報酬は貰えるんだろうな?」

「そりゃ勿論です」


 それならやっても良いかも知れない。

 この村じゃ他に仕事なんて無いだろうし……。


「わかった。 その仕事引き受ける」

「ありがてえ! 早速明日頼みますよ。 明日迎えに行きますが、何処にお泊りで?」

「いや、まだ決まっていないけど……」

「それなら任せてくだせぇよ。 安くて美味い飯が食える宿をご紹介しますんで。 ただ、全員同じ部屋になっちまいますが、かまやしませんよね?」

「それはこま━━」

「かまわないにゃ」

「……問題無い……」


 レアとアンが俺の言葉より早く食い気味で返事をしてしまう。


「わかりやした。 では、ここから奥にある、黄色いガーランドがあるテントに行ってくだせえ。 【ショウザ】ってあっしの名前を出せば大丈夫です。 じゃ明日宜しく頼みましたよ!」

「え? ちょっ!?」


 獣人のショウザはさっさと何処かに行ってしまった。

 仕方ない。 せっかく紹介されたんだ、行ってみるか。

 村の奥に黄色いガーランドが出ているテントに入ると、一人の獣人の老婆がいる。


「あ、あの……」


 完全シカトだ……。


「ショウザって言う獣人にここで安い宿に泊まれるって聞いて来たんですが?」

「……ホレ……」


 老婆は番号の書いてある鍵を放り投げて来た。


「おっと……、これは……?」

「……出て、右奥だよ……」


 それだけ言うとそっぽを向いてしまう。


 教えてもらった場所に向かうと、入口に南京錠の用な物で鍵がされてあるテントがある。

 錠と鍵の番号が合ったのでどうやらここの様だ。


「ご主人様に向かってあの態度はなんだにゃ!」


 レアが老婆の態度に怒り浸透だ。


「まあまあ……、それより、夕食までの時間が出来たな。 皆んなはどうする?」

「ケンジ、せっかくオアシスに来たんだから、行って見ない?」

「エイルさんにしては良い案ですにゃ」

「私にしてはってはひどく無い?」

「……私も……行く……」

「よし、それじゃオアシスの方に行ってみるか」


 オアシスは透き通って綺麗な湖だ。

 このオアシスは村の大事な水源となっている為に、洗濯や泳ぐ事も禁止になっている。

 それでもオアシスから見える夕日はとてもエキゾチックで雰囲気が良い。

 近くで売っていたドリンクを買い、オアシスを散歩しながら四人で歩く。


 レアとアンは俺に腕を絡めて組んで歩く。

 そしてエイルはレアに後ろから抱きつき、レアはエイルから逃げる。

 それにアンも加わり……、楽しそうだ……。


 テントに戻ると、丁度夕食の時間だったようで愛想の無い老婆が人数分の食事を運んで来ていた。


「食い終わったら、テントの外に出しときな……」

「ありがとうございます。 ご馳走になります」


 老婆にお礼を言うが老婆は直ぐに戻ってしまった。


「ケンジ、これ美味しいよ!」


 テントに戻ると、エイルは既に食べ始めている。

 見た事の無い料理ばかりだったが、どれも美味しかった。

 異国の食事も良い物だ。

 食べ終えた食器などはテントの外に出すと、直ぐに老婆が片付けてくれる。


 さて……と……。

 実はこのテントにはベッドが二つしか無い。

 俺は床でも構わないが、皆んなはどうするか……。


「ベッドはお二人で使って下さいにゃ」

「レアはどうするの?」

「私はご主人様と床で寝ますにゃ」

「それなら、私もレアと床で寝るよ」

「……それなら私も……」

「いやいや、皆んなはベッドを上手く分けて寝てよ」


 皆んな床で寝たら意味がない。


「……それならこうすれば良い……」


 アンはベッドを移動させて二つをくっつけた。


「……これなら四人で寝られる……」

「なるほど、頭良い!」

「ではご主人様はこちらにどうぞにゃ」

「いや、俺は床で……」

「……それはダメ……」

「そうよ、せっかくアンが皆んなで寝られる様にしてくれたんだし」

「……私とじゃダメ……?」


 アンは瞳をウルウルとさせてくる。


「わかったよ……」


 左からエイル、アン、俺、レアで寝る事になった。


 途中寝苦しくなり目を覚ますと、レアは俺を抱き枕の様にしがみついている。 アンは俺の腕を枕にして胸に回していた。 そしてエイルはレアに抱きつこうとしていたが、レアは珍しく尻尾を出しエイルの顔をペチペチと叩いている。

 ……エイルはどうやって移動したんだ?


 そしてオアシスでの一日が終わった。

 読んで頂きありがとうございます。

 次話も頑張ります。

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