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七十八話 【砂漠の魔生獣】

 エイル達を魔導飛空艦(まどうひくうかん)【リュビナイト】に残し俺とレアは塔を目指して砂漠を進む。


「なあレア、このバイクも古代の技術の結晶なのか?」

「そうですね、船だけで無くこの乗り物もレリックです。 これだけでも相当の価値となりますよ」

「だろうな……」


 このバイクのような乗り物はタイヤが付いていない。

 地表から僅かに浮いて走っている。

 飛んでいると言った方が良いかも知れない。

 だから砂漠の砂も平気で進む。


「塔はどの辺なんだ? 全く見えないぞ!」

「私もわかりません! ただこの乗り物に塔への地図が出ていますから、地図を頼りに向かっています!」


 もう結構乗っているが、塔どころか何もない。

 あるのは見渡す限り砂漠の砂だけ……。

 本当に塔に向かっているんだろうか……?


 突然、バイクから警報のような音が鳴り出した。


「なんだ!?」

「わかりません! ただ、何かが近づいて来ているようです!」


 こんな砂漠に出るって言ったら魔生獣しかいないだろう。


「何が来るかわかりません。 注意していて下さい!」

「わ、わかった」

「下から何か来ます!」


 砂を盛り上げて巨大な口が飛び出して来る。

 口だけでも小さい家なら飲み飲んでしまいそうだ。

 飲まれる前にあのギザギザの歯でミンチにされそうだが……。

 そしてデカく長い巨体は今までの魔生獣の比ではない。


「な、なんだあれ!?」

「恐らく魔生獣の【サンドワーム】ってやつです!」


 サンドワームは直ぐに砂に潜り、俺達の後を追って来ている。


「レア! 飛ばせ!」

「はい! ご主人様! 振り落とされないように私にしっかり捕まっていて下さい!」

「おう!」


 サンドワームは何度も砂から飛び出し襲ってくる。

 恐らくこのバイクの音で俺達の場所を把握して襲って来ているのだろう。

 だがバイクの方が早いため、徐々に引き離す。


「どうやら巻いたようだな……」

「そのようで……、……いえ、まだです!!」


 警報が鳴ると、サンドワームの数が増えて襲って来た。


「二匹になってやがる!」

「まだ来ますっ!」

「まだ来るって!?」

「何匹いるんだよっ!」


 サンドワームは二匹どころでは無く、次々に砂から飛び出して来る。

 振り落とされてたまるか!


 むぎゅっ!


「んっ……、ご、ご主人様! そこは掴む場所じゃありません!」

「そんな事言ったって! わわっ!!」


 バイクを左右、急停止、急発進を繰り返しサンドワームを躱していると今にも振り落とされそうになり、レアにしがみつく。

 必死にしがみついているので、掴んでいる場所なんて気にしてはいられない。

 ちょっとでも気を抜くと振り落とされる!


「前方からも来ますっ!」

「ここはサンドワームの生息地かよっ!」

「そうかも知れませんーー!!」

 

 サンドワームに挟み撃ちにされるが、飛び出して来た一匹を躱してその巨体の上を走り大ジャンプで前方からのサンドワームの上を飛び越し巻くことが出来た。


「た……助かった……、もう追っては来ないようだな……」

「…………」

「レア、ありがとうな。 もう大丈夫そうだ」

「…………」

「レア? どうした?」

「あの……、ご主人様……」

「どこか怪我でもしたか?」

「いえ……、そろそろ掴む場所を腰に戻してもらえませんか?」

「え? ……あ……、……ご、ごめん」


 必死だったので、片手がレアの胸にしがみついたままになっていた……。

 感触が良かったせいで……、ごめん……。



「この辺りですね……」


 サンドワームの生息地を抜け、地図通りに到着したが……。


「何も無いな……」

「そうですね……」


 地図の場所には砂しかない……。


「もしかしたら、砂漠の下かも知れません……」

「砂に埋まってるって事か……。 この砂を掘って塔まで行けと……?」

「何処かに入口が隠されている可能性もあります」


 魔生獣に注意しながら何か入口らしき物は無いかと探す。


「レア、そっちは何かあったか〜!?」


 返事が無い……。


「レア!?」


 返事が無いので、レアが調べに行った方へ向かうと、レアが砂に埋まっている。


「レアっ!」

「ぷはっ! ご主人様! こっちに来ては危険です! この砂……」


 また沈んで行く。


「待ってろ! 今助けるっ!」


 どうやって助ける……。 そうか、バイクなら!

 動かし方はレアの真似でやってみるが、スロットルを勢い良く回してしまい、ウイリー状態で空中に飛び上がり、そのままレアの場所に落ちた……。

 片手だけ出ていたレアの手を掴むが、一緒に砂の中に沈んで行った……。

 読んで頂きありがとうございます。

 次話も頑張ります。

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