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七十一話 【遺跡の壁画】

 ファブルの町のモンドさんに遺跡の話しを聞いて向かっている。

 デザートシップではヴァルスケルハイトの下っ端に襲われたがなんとか撃退した。

 しばらくは襲われはしないだろう。

 ファブルの町では別の船に乗り、砂海(さかい)に出る。


「ご主人様! あれを見て下さい!」


 レアが示した方で、【サンドスコーピオン】二匹と帆の付いた板に乗って戦っている者達がいる。


「あれは……?」

「あれは【サンドボード】じゃ」

「サンドボード?」

「帆に風を受けて砂の上を自由に走れるボードじゃ」


 ウィンドサーフィンを砂漠でやってる感じか。


「加勢しなくて大丈夫ですか!?」

「大丈夫じゃろ。 ここの町の者は魔生獣を狩って暮らしておるからの」

 屈強な人が多いわけだ……。


 戦っている人達はサンドボードを上手く乗りこなし、ロープをサンドスコーピオンに絡め、動きを封じて攻撃している。

 この辺の魔生獣はお手のものって事か。


「わしらは一刻も早く遺跡に向かうぞい」

「そうですね」

「そうしましょう」


 砂漠から出てくる【サンドスコーピオン】【サンドヴァイパー】【ニードルフィッシュ】を船の船長は上手く船を操り躱して、岩場に速攻で辿り着いた。

 確か一日かかると聞いていたけど、半日と少しで着いたよ……。


「魔生獣と戦ってたらそりゃ一日かかるが、俺の腕なら半日よ!」


 得意げに話す船長さん。 これは確かに自慢出来る技術だ。


「俺は二日後に迎えに来るけど、昼までしか待てないからな」

「昼までですか?」

「この辺りの岩場には夕方から【ガンロックウルフ】が出るんだよ」

「ガンロックウルフ?」

「そうだ。 岩のような硬い皮膚を持って、群れで襲ってきやがる。 しかも地の利は向こうにあるんだから厄介なんだよ」

「それは厄介な相手ですね」

「だから待てるのは昼までだ。 昼を過ぎたら帰るからな」

「わかりました。 覚えておきます」


 船は凄いテクニックで岩場をスルリスルリと抜けて戻って行った。

 船長のお陰で早く着いたけど、遺跡を調べてる時間があまり無さそうだな。


 地図を頼りに岩場を進む。

 レアは魔生獣の気配を気にしているが、ずっとは疲れるらしい。


「この辺りのはずなんじゃが……?」


地図を見ていたマブルさんが、周りを見渡しながら地図と確認している。


「まったくモンドのやつめ、もう少しわかりやすい地図をよこせば良いものを……」


 マブルさんが見ている地図を覗くが俺にはさっぱりわからない。


「ご主人様! 魔生獣の気配が!」


 レアが岩場を見上げると、天辺に一匹の狼らしき魔生獣がいる。

 そして遠吠えが辺りに響き渡る。


「いかん! 早く隠れなければ!」

「あの魔生獣はもしかしてガンロックウルフ?」

「そうじゃろうな。 船長も言っとったが群れの仲間を呼んでおるはずじゃ。 早く隠れなければ襲われるぞ!」

「恐らく隠れても臭いで居場所がバレる。 なら遺跡に急いだ方が良い!」

「ええい! 仕方がない! わしに着いてくるのじゃ!」


 マブルさんに急いで遺跡の場所を探してもらう。

 その間にガンロックウルフの群れが岩場から向かって来ている。


「マブルさん、まだわかりませんか!?」

「待っておれ……、ここの場所が…………」

「ご主人様、私が食い止めますのでその内に」

「それは駄目だ!」

「しかし……」

「わかった! こっちじゃ!」


 マブルさんの案内で走る。

 だが、ガンロックウルフはしっかりと追ってきているようだ。


「ここに洞窟に通じている穴があるはずなんじゃが……」


 岩場の入り口を探している間にガンロックウルフに追いつかれた。


「ご主人様、どんどん集まっています。 どうしますか?」

「マブルさんが入り口を見つけるまで俺達で食い止めるしか無い」

「わかりました」


 ガンロックウルフはどんどん集まり、ざっと十頭位いる。


「まだ集まってくるのか……」


 ガンロックウルフは仲間が集まるまで攻撃しては来ない。

 賢いな……。


「……わかった、ここじゃな」


 マブルさんが入り口を発見した時、ガンロックウルフが一斉に襲いかかって来た!


「……ひゃああ!」

「マブルさん!」


 マブルさんがいきなり空いた穴に落ちそうになるのをなんとか掴んだが、勢いで俺も穴に落ちる。


「ご主人様!」


 落ちる俺をレアが掴むが、マブルさんと俺の男性二人分の重さを体勢を崩したレア一人で支えるのは難しく、三人で穴の中に落ちて行った……。



「……いたた……、二人共大丈夫か?」

「わしはなんとかな」

「私も大丈夫そうです」

「そうか……、なら悪いが俺からどいてくれない?」

「あ、ご主人様すいません!」

「おお、すまんすまん」


 落ちて行く時、俺がクッションになるようにしたが下に何も無くて良かった。 棘とかあったら死んでたな……。


「結構落ちましたね……」


 落ちた穴の上は塞がっているのかもう見えない。


「ここから遺跡に行けるんですか?」

「モンドの話しではこの先のようじゃな」


 ランタンに明かりを灯し、注意して洞窟を歩いて進む。

 魔生獣がいないとも限らないからな。


「マブルさん、聞いてもよろしいですか?」


 レアがマブルさんに質問なんて珍しい。


「なんじゃ?」

「このヘイトルーガ王国には塔は存在していないのでしょうか?」


 そうか、言われてみれば今まで各国に塔が存在していた。 そう考えればこのヘイトルーガ王国にも塔があってもおかしくは無い。


「ここでは聞いた事が無いの……」

「そうですか……」


 ヘイトルーガ王国には塔が無いのか?

 無かったら俺のパワーアップは今回は無しって事か。


「どうやらここがその場所のようじゃ」


 広い空間の奥の壁にはモンドさんが言っていた壁画が壁一面に描かれている。


「これは……、迫力あるな……」

「これがそうか……、少し調べるので休んでてくれ」

「わかりました」


 マブルさんは階段を上った少し高い所の壁画を色々と調べ、自分の持っている手帳と照らし合わせしている。

 レアも熱心に壁画を見てるけど、こう言うのが好きなのかな?

 俺も壁画を見てるが、なんだか凄いとしかわからない。


 これが船の形を描いた壁画?

 う〜ん……、そう見えなくも無いけど……。

 

「ご主人様、こちらに」

「どうした?」


 レアは一つの壁画を指差している。


「この絵はご主人様では無いでしょうか?」

「これが? 俺?」


 確かに筒の様な円の中に人らしい絵が描かれている。

 これが俺だとしたら、何かこの壁画と関係があるのだろうか?


「ケンジさん! ちょっとこっちに来てくれんか?」


 マブルさんは壁を調べていると、壁の中に魔法陣の様な物を発見した。


「これはなんですかね?」

「詳しくはわからんが、ちょっとこの魔法陣に触れてみてくれんか?」

「俺がですか? 何かやばい事でも起きたらどうします?」

「確証は無いが、大丈夫じゃろ。 ほれ、頼む」


 二人は後ろにさがり、言われた通り恐る恐る手を触れる。

 手を触れた魔法陣は光り始め、大きな光りの扉が出来た。


「マブルさん、これは一体……」

「わからんが、入ってみればわかるじゃろ」


 俺達はその光りの中に入って行った。

 読んで頂きありがとうございます。

 次話も頑張ります。


 次話はメンバーが変わります。

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