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黎明の錬金技工術士《アルケミスター》と終焉の魔導機操者《アーティファクター》  作者: かなちょろ
第四章 【砂漠の遺跡】

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六十九話 【砂漠嵐】

 俺とマブルさん、レアと共にヘイトルーガ王都からデザートシップに乗って遺跡調査に出港した。


 俺はこのデザートシップの中を小さくなった猫のレアと探索中だ。

 何故レアが小さい猫になっているかと言うと、チケット代が一人分浮くからだ。

 チケット代はマブルさんが払ってくれてはいるが、お互い金無しの状態なので、少しでも浮かせようと言うちょっと悲しい理由がある。


「結構古くてあちこち錆だらけですね」


 肩に乗っているレアが見回しながら船内部の汚れや錆を気にしている。


「これも味があって良いんじゃないか?」

「味ですか?」


 レアは味について首をかしげている。

 味って言っても食べ物の味じゃ無いぞ。


 甲板に出ると、広大な砂漠を進んで行く魔導航砂船(まどうこうさせん)がなんだか格好良く見える。

 風も良い風が吹いてるし、最高だな。


「砂埃がきませんね?」

「そうだな、全然砂埃が船内に無いな」


 おれとレアが不思議に思っていると、一人の男性が声をかけて来た。


「砂埃が船内に入らないのは、船首に付いている魔導法術機(ガルファー)から出ている風のお陰だよ」


 声をかけて来た男性は身なりを見るとこの船の船員さんのようだ。


魔導航砂船(まどうこうさせん)デザートシップに乗るのは初めてかい?」

「はい。 この魔導航砂船(まどうこうさせん)は凄いですね。 砂漠を水の上の用に進むなんて」

「そうだろ! やっぱりそう思うよな! 俺もこの姿に惚れ込んで乗組員になったのさ!」

「わかります!」

「いや〜、わかるお客さんで良かったよ。 是非ファブルの町までこの景色を楽しんでくれよ!」

「はい、ありがとうございます」


 船員さんは手を降り戻って行った。


「良い船員さんだったな」

「ご主人様も男の子ですね」

「いや、だって水の上の船とはまた違った感動が……」

「……そうですね、わかりました」


 俺の話し途中でレアは少し呆れて遮られてしまった。


「……ご主人様、そろそろ船内に戻った方がよさそうです」

「どうした?」


 レアが説明しようとした時、船内にサイレンと放送が流れた。


「お客様にお知らせ致します。 前方より砂漠嵐(デザートストーム)が発生し、近づいて来ております。 お客様は船内にお入り下さい。 繰り返しお伝え致します……」


 船の前方に何かが見える。


「ご主人様、船内に入りましょう」

「その方が良さそうだな」


 船内の船員達が慌ただしくし始め、部屋から出ないようにと船内放送が入る。


「外の様子はどうじゃったかな?」

「興奮しました! デザートシップが砂の上を進む姿にちょっと感動です」

「そうじゃろう、そうじゃろう。 しかしここで砂漠嵐(デザートストーム)に遭遇してしまうとはの」

砂漠嵐(デザートストーム)って砂嵐とは違うんですか?」

「それほどの違いは無いが勢いが違うの。 もしサンドフィッチャーで砂漠嵐(デザートストーム)にあったらひとたまりもないぞ」

「そんなに……、……ん? 船の動きが止まった?」

「止まって砂漠嵐(デザートストーム)をやり過ごすんじゃろう」


 しばらくすると、凄い風と舞い上がった砂が船体に攻撃していると思わせる程の砂と金属がぶつかる音が聞こえ、船体が揺れる。


「……ご、ご主人様……、だ、大丈夫でしょうか?」


 レアが俺の胸に飛び込んで来て震えている。


「大丈夫だよ。 この砂漠嵐(デザートストーム)だって慣れているだろうし……」

「で、でも、この船だいぶ脆そうですし……」

「それは確かに……」


 時折、ギギギとかガキンッ! ガキンッ! などの音が聞こえ不安を煽る。

 大丈夫、大丈夫さ……、……多分……。


 しばらくしたら風の音も聞こえなくなり、船の揺れも無くなった。


「お客様にお知らせ致します。 砂漠嵐(デザートストーム)が去りましたので、船はこれより点検のち出発致します。 次の放送があるまで部屋での待機をお願い致します。 繰り返しお伝え致します……」


「どうやら砂漠嵐(デザートストーム)は去ったようじゃな」

「そのようですね。 ほらレア、もう大丈夫だよ」

「……そのようですね……」


 俺から降りたレアは何事もなかったかのように振る舞っている。

 震えていた事は黙っておこう。


「そう言えばファブルの町までデザートシップで二日位なんですよね?」

「予定では二日程度じゃが、砂漠嵐(デザートストーム)のような事があると遅れたりするの」

「それだと予定が少し遅れますね」

「こればかりは仕方ないのぉ」


 当初の予定だと遺跡まで七日、調査してヘイトルーガに戻るのに二週間と少しの予定だったのだが……。

 自然現象だし仕方ない。


 次の放送が入るまで部屋で大人しくし待っていると、放送が入る。

 どうやら出発するようだ。

 部屋から出て良いみたいだから、食堂にでも行ってご飯にでもしますか。


「マブルさん、食堂に行きませんか?」

「そうじゃの」

「あ、レアはどうするか……?」

「私の事なら気にせずに食事に行って来てください」

「そうもいかないだろ?」

「……そうですね……、それでは私は後から向かいますので、お二人はお先に行って下さい」

「そ、そう? それじゃ先に行ってるよ」

「先に行っておるぞい」


 レアの目立つメイド服で来ないよな? 注目浴びるのはちょっと勘弁だぞ。


「先に注文して待ってましょう」

「そうじゃな」


 先に注文した分を待っていると、他のテーブルの人が食堂の入り口に振り向く。


「おい、誰だあれ?」

「あんな子、この船にいたか?」

「……いい……」


 俺も振り向くと、そこにはメイド服じゃないレアが歩いて来た。


「ケンジ様、お待たせいたしました」

「け、ケンジ様……?」

「レアさんや、綺麗じゃのう」

「ありがとうございます」


 食事をしながらも注目が集まるレアにコソッと聞いてみた。


「その服どうしたの?」

「こちらですか? この服はエイルさんに頂いた物です」

「エイルに?」

「はい。 メイド服では目立つ場所でこちらの服を使うようにと頂きました」

「似合ってるよ。 良かったな」

「ありがとうございます」


 でも目立つな〜……、ある意味メイド服より目立ってないか?


「食事も済んだし部屋に戻ろう」

「そうじゃの」

「そう致しましょう」


 部屋に戻ると、レアは直ぐ猫へと変身する。

 そして俺とレアは同じベッドに横たわる。

 まだ日が沈んでいないが、時間的には夜になっているはずだ。

 この船には客室に窓は無い。 砂漠嵐(デザートストーム)が発生した時に割れたりしないようにだ。

 窓があるのは操舵室と船長室、食堂と船員の部屋だけだ。


 だからこの夜に近づいて来る物を俺達は気が付かなかった……。


 読んで頂きありがとうございます。

 次話も宜しくお願いします。

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