六十四話 【不思議な子供】
ガル支部の受付であるリューリさんに暑さ対策の出来る道具の事を聞き、支部を出ると一人の子供から声をかけられた。
「お兄ちゃん!」
声をかけてきた子は、背丈はルルアと同じ位、肉付きはルルアより無いかも知れない。
そして腰まである水色の髪、瞳は大きく切長で澄んだ青い目をしている。
首にはなんだか首輪のような物を着けている。
着ている服は布一枚とショートパンツ。 だいぶ汚れているが、肌は白く透き通るような白さ。
このヘイトルーガの子では無いのだろう。
その可愛い顔立ちと肌の白さはまるで雪や氷の精霊のようだ。
うん、俺は何を言っているのだろう……。
「俺に何か用かな?」
しゃがんで顔の高さを合わせて見ると、可愛いと綺麗の半々な感じだ。
「さっき受付の人との話しを聞いちゃったんだけど、お兄ちゃんはガスパをやっつけた守護盾の人なの?」
結構大きい声で話す為、町を歩く人がこっちを見ている。
「しー! しー! それは内緒で頼むよ」
「そうなの?」
怪しい奴や変な奴にガスパの件を聞かれても困るからな。
「ん〜と、それじゃこっち来て」
その子に連れられて細く人通りの無い通りに連れ込まれた。
まずいな。 もしかしてこの子ガスパ関係の子か?
通路の一番奥まで手を引っ張って連れて来られる。
その子はそこに置いてある木箱に座ると足をパタパタさせて俺の答えを待っている。
「一応ガスパを倒したのは俺だけど、さっき俺を探していた子かな?」
「うん! どうしても僕お礼を言いたくて」
僕っ子?
「お礼?」
これについては全く身に覚えがない。
「あ、もしかしてガスパに捉えられていた人の知り合いかな?」
「違うよ。 僕もう少しでガスパに売られちゃう所だったんだ。 僕、可愛いからね」
「そ、そうか……、それでガスパを倒した俺を探していたと?」
「うん。 どんな人か見てみたくて」
「でもどうやってガスパが倒された事を知ったの?」
「ここじゃ有名だよ。 ヘイトルーガには奴隷商人がいるからね。 お得意様が無くなったって言ってる」
この子も奴隷として売買されそうだったのだろう。 また幼いけど、将来有望な容姿してるからな。
「それでお兄ちゃんに一つお願いがあるんだ」
「何かな?」
「僕を買ってよ」
「へ? ……い、いやいやいや……」
何を言ってるんだこの子は!?
「だって僕このままじゃ別の所に売られちゃうからさ、お兄ちゃんに買って欲しいなって」
俺が奴隷を買う? いや、そんな事は出来ない。
これでもガルだ。 危険な事も沢山ある。
俺が断ろうとすると、その子は木箱から降りて来て腕に絡みついてくる。
「お願いだよ〜……、それに僕まだ真っさらだし、お兄ちゃんになら何でもしてあげるからさ……」
切長の綺麗な青い瞳で俺を見上げ、手を絡めてくる。
この子……、幼そうなのに随分色気あるな……。
「まてまて、君はいくつなんだ?」
「僕? 僕は……え〜と……、十歳だよ」
十歳! ルルアより年下じゃないか!
「俺はガルだから無理だよ。 それに君は奴隷商人から逃げてここにいるんじゃないのかい?」
「違うよ。 この首輪は逃亡防止と何処の奴隷商人の物かがわかるようになってるんだ」
「外せないのか?」
「無理に外したり、逃げたりすると小型の魔導法術機が発動して顔が焼かれて死んじゃうから……、僕、可愛いのに顔焼かれちゃうの嫌だし」
「それじゃ無理に外せないな。 それじゃ何でここにいるの?」
「自分を売り込むためさ。 買ってくれそうな人は自分で見つける事が出来るんだ」
「だから自由なのか……」
「この町の中だけだけどね」
こんな小さい子が奴隷……、可愛そうではあるが、そう言っていたらキリが無いのも事実……。
でも俺の手の届く範囲の人位は助けたい。
「俺には他に仲間がいるんだ。 その仲間と話し合って来て良いか?」
「わかった! それじゃ待ってる! でも三日以内にお願いね。 僕もう買い手がついてるから」
買い手がいるのか……。
「そうだ、君の名前は!?」
走って戻って行く後ろ姿に声をかける。
「僕は【フラン】って言うんだ! 忘れないでよ〜!」
手を振りながら走って行ってしまった。
さてと……、どうしたもんかな〜……、皆んなになんて説明しよう……。
「奴隷を買いたいんだ!」
「ケンジってそういう趣味……」
「ケンジさん不潔です!」
「ご主人様! 私がいますのに!」
こんな感じになるだろう。
詳しく言った所で……。
「十歳の可愛い奴隷を買おうと思う!」
「ケンジってロリコンだったの!?」
「ケンジさん! 軽蔑します!」
「ご主人様が、変態になってしまうなんて……」
結局こうなるだろうな……。
説明が難しい。
武器屋でアイスローブを人数分買い宿屋に戻る。
「お帰りなさい」
「暑かったでしょ?」
「ご主人様、ご苦労様です」
ルルアは風を送ってくれるように煽ってくれ、エイルは汗を拭いてくれ、レアは飲み物を持って来てくれる。
説明しづらい……。
「皆んなありがとう」
そして、皆んなにアイスローブを渡すと、フランの説明に入る。
「ご主人様、それはやめた方が良いと思います」
「そうだね、私達はマブルさんを探さないといけないし」
「でも、その子可愛そうじゃ無いですか?」
ガル支部に着いて、フランに合ってからの説明を一からすると、いきなり否定せずに意外と皆んな考えてくれる。
「そもそもご主人様、その子を買った後はどうするおつもりですか?」
「連れて行くのは難しいから、ガル支部に預けて後は任せようかと思ってる」
「確かにガル支部ならなんとかしてくれるかも知れないけど……、買い手がついてるのよね?」
「そうらしい」
「ならそのままが良いかも知れないわよ。 買い手の人が悪人とは限らないでしょ?」
「それはそうだけど……」
なかなか話しがまとまらない。
「明日、その子に皆さんで会って見るのはどうでしょうか?」
ルルアの提案に賛成として、明日会いに行くことにした。
読んで頂きありがとうございます。
次話も頑張ります。




