六十一話 【いざ砂漠の国へ】
アームダレスを抜けヴァルスケン帝国を更に南に行けば砂漠の国【ヘイトルーガ】。
マブルさんに会いに向かう。
「ここを下ればフォグ村ですね」
「ジルもあるし竜車で行かない?」
「そうだな、帝都に着いたら竜車で行こう」
節約は大事だが、早めにヘイトルーガに向かいたいのでここはケチらなくても良いだろう。
フォグ村までは無事に着いたので、ここから獣車で帝都まで向かう。
本当なら竜車が良かったが竜車の扱いが無かった……。
獣車でも歩くよりは楽だからな。
魔生獣が出なければ落ち着いて話せるので、疑問になっている事を皆んなに聞いてみる事にした。
「レア、今更だけど聞きたいことがある」
「なんでしょうか?」
「武術大会のゴーレムを倒した時なんだけど、俺の意識が無くなって体がボロボロになるまで暴れた時の事覚えてる?」
「はい」
「レアは自己防衛機能って言ってたけど、どう言う事?」
「そのままです。 ご主人様の潜在能力は凄く高いです。 塔でパワーアップしているのは、その力に耐える肉体と、力の解放と思って頂ければ」
成程、力の解放とそれに耐える肉体のためか……。
「それなら初めから力も肉体も最大にしておいて欲しいもんだ」
「そんな事をしたら思考と体がついていかないと思います。 それに塔の……、いえ、なんでも無いです」
塔のなんだろう?
「塔の敵を倒すのがご主人様の試練ですから」
「試練? 最初から最大なら塔に行く必要が無いけど……」
「そうかも知れませんね。 私には詳しくはわからないです」
「そうか……、俺達を作った人に聞かないとダメか……」
作った人なんてとっくの昔に亡くなってるだろうけど……。
俺の事についてはこんなもんか。
「これから行く【ヘイトルーガ】はどんな所? 砂漠で治安が良く無いとは聞いてるけど?」
これにはルルアが答えてくれた。
「ヘイトルーガには砂の海があるそうです。 それと遺跡から古代の発掘品が多く出土する場所ですね」
「砂の海?」
「私も見た訳では無いので又聞きですが、砂の上を船で移動するんだとか」
「それは見てみたいな」
「そうですよね! 楽しみだな」
「それに発掘品か……、俺も何か手に入れられ無いかな?」
「発掘された物は基本的に国が管理する事になってて簡単には手に入らないかと思います」
「それじゃ手に入れるのは難しいか……」
俺とルルアがそんな話しをしていると、獣車に揺られ気持ち良く寝ていたエイルが起きた。
「ねえねえ、ヘイトルーガは美味しい物あるかな?」
「あるんじゃないかな〜、でも国土の三分のニは砂の海らしいので、どんな食べ物があるのかはわかりません」
「そうよね〜、ま、美味しけりゃいいか」
「エイル、ジルがあるからって程々にしてくれよ」
「わかってるって」
本当に大丈夫か心配だ。
旅の途中、二つの町で獣車と竜車を乗り継ぎ、ヘイトルーガの国境である山岳地帯に辿り着いた。
ホランさんが言っていた帝国の怪しい事にも巻き込まれず、魔生獣もエイルの魔導銃、ルルアのマジックハンド、俺の右腕に埋め込まれた魔導法術機で楽々勝利である。
寄った町の探索もしたい所だったが、意外にも乗り換えのタイミングが良く、ひと月かかると思っていたが、二十日程で国境の砦へと着いたのだ。
「ここが国境の砦【ランブ砦】です」
「なんだか兵士多くないか?」
砦の周りは他の場所より兵士が多い。
「ご主人様、変身しておきます」
レアは小さい猫に変身し、ルルアの頭に乗った。
「おい! ちょっと待て!」
兵士に声をかけられる。
「ふーむ……、男一人に女が二人か……、どう見る?」
兵士はもう一人の兵士に尋ねている。
「確か、男一人、女が三人。 二人メイド服を着てるって話しだが……」
「服なんて着替えられるだろ?」
「そうだが……、お前達はヘイトルーガに行ってどうするつもりだ?」
「知人に会いに行くだけですよ」
「知人とは?」
「エイチャント・マブルさんです」
「なんと! あのマブル氏か!」
「そしてこの子はマブルさんのお孫さんです」
俺はルルアを前に出して紹介する。
「マブルさんのお孫さんだと!? 証拠はあるのか?」
「これです」
マブルさんからの手紙を兵士に見せた。
「そうか……、研究のためって事か? 成程、キミとそちらの方は護衛ってわけだ」
「そうです」
ガルの証を見せると、納得してくれたようでジルを払って通る事が出来た。
読んで頂きありがとうございます。
今回は少し短いですが宜しくお願いします。




