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五十九話 【謎の遺跡】

 温泉を楽しんだ俺達は、ホランさんにホルデ村より更に北に行った所に古代遺跡があると聞き、興味がてら向かってみる事にした。


「それでは〜、またガル支部で待ってますね〜」

「何かあったら私に言いな。 力になるよ」


 ホランさんと兎美さんは獣力車で先に帰る為、二人にお礼を言い早速遺跡に向かう事にした。


「遺跡探索なんて久しぶりね」

「私、遺跡探索は初めてでワクワクします!」

「何か有れば良いんですが……」

「そう言えばエイルと初めて会ったのは遺跡の塔だったな」

「そうだったわね」

「そうなんですか! 私聞きたいです!」

 ルルアに俺とエイルが出会った時の話しをしながら遺跡まで歩いて向かう。


「あれが遺跡か……」

 遠くからでもわかる。 エルメリオン王国でもヴァルスケン帝国でもアームダレス王国でも見ない建造物。

 とても今の時代の物では無い。

 俺が人造人間になる前に住んでいた地球の建造物に近い。

 勿論、この遺跡の建造物の方が遥かに技術が上だろう。


「ここが遺跡ですか!」

 ルルアは既に崩れて植物に覆われてしまっている遺跡を見て目を輝かせている。


「お宝あるかな〜」

 エイルはガルよりトレジャーハンターの顔になってる。

 目にジルが浮かんでるな。


「エイルさん、あまりあちこち触らないで下さいね。 爆発とかはごめんですよ」

「レアひど〜い!」

 レアとエイルがいちゃいちゃ? しているのを温かい目で見ていると、ルルアの方は一人遺跡に何か無いかと辺りをキョロキョロと見回して歩いている。


「ルルア、魔生獣がいるかも知れないからあまり離れるなよ」

「うん!」


「まったく、レアったら……、私だってガルなんだからそんなヘマするはずないじゃない……」

「エイル危ないっ!」

 ブツブツと独り言で前を見ていなかったのか、目の前の遺跡にぶつかる。


「あうっ! ……いった〜……」

「ほら、やっぱり……」

「大丈夫か?」

「あはは……大丈夫、大丈夫っと……」

 エイルはおでこをさすりながら、ぶつかった遺跡に手をかける。


「えっ!?」

 いきなり手をかけた遺跡の壁がゴガッと開き、エイルが転がり落ちて行く……。


「きゃあぁぁぁぁーー!!」

「エイルーー!」

 結構深そうな穴に落ちて行った……。

 そして穴は直ぐに塞がる。


「俺はエイルを助けに行く。 レアはルルアとここで待っててくれ」

「そんな、私はご主人様と行きます!」

「私もエイルさん助けに行きます!」

「ダメだ! 何かあったら大変だ!」

「でも……」

 ルルアが泣きそうな目で見てくる。

 そんな目で見ないでくれ……。


「……わかったよ……、だけど俺とレアから離れないでくれよ」

「うん!」

「とりあえず降りられそうな場所を探そう」

「私に任せて下さい」

 レアは目を瞑ると何か感じたようだ。


「エイルさんは無事のようです。 この下辺りをウロウロしています」

「わかった」

 俺は塞がってしまった壁ごしに、エイルに向かって迎えに行くから動くなと叫ぶ。

 聞こえているかわからないけど……。


 三人で手分けをして地下に入れる場所を探す。


「……ご主人様、この先に洞窟があります。 そこから地下に入れるかも知れません」

「よし、入ってみよう」


 俺達は暗くコケが茂っている洞窟へ足を踏み入れた。


「暗いな」

「私に任せて下さい」

 ルルアのリュックからハンドが飛び出ると、ハンドは魔導石がはめ込まれたランタンを持っている。


「これで明るくなりました」

「おお! さすがルルア!」

「頼りになります」

「えへへ」

 これで洞窟を進める。


「エイル〜! どこだ〜!」

 返事は無い。

「ご主人様、エイルさんはこの辺にはいませんよ。 奥にいるのではないでしょうか?」

「もう少し先に進んでみるか」

 道中に出た魔生獣【ガウラット】【ガルムアント】【ジャイアントリッパー】などは今の俺の敵じゃ無い。

 楽に倒して進む。


「……ご主人様」

「どうした?」

「この先からは私もどうなっているかわかりません……」

「魔生獣や罠にも気をつけて進もう。 ルルアはレアと手を繋いでおいてくれ」

「うん」

 結構奥まで来たが……?


「奥の通路が光ってるな……」

 エイルも光りに向かったのかも知れない。

 光りは少し広い広間にあるランタンが光っていた。

 その場所には二人いる。


「エイル!」

「ケンジ!!」

 やっぱりエイルは光りに向かって歩いていたようだ。


「そちらの人は?」

「おや? え〜と……、……ケンジさんでしたか? お久しぶりですね」

 薄暗くて顔が良く見えなかったが、ランタンの光りで確認すると……。


「エイシスさん!!」

 エルメリオン王国から帝都ヴァルスケンまで送り届けた研究者のエイシスさんがいた。


「エイシスさん、どうしてこんな所に?」

「私は研究者だからね。 こう言う遺跡も調査するのさ」

「へ〜……って、魔生獣も出るのに大丈夫なんですか!?」

「大丈夫、大丈夫、魔生獣はここまで入ってこないみたいだから」

「そう言えば……」

 この辺りには魔生獣が入ってきた形跡は無い。


「……ご主人様……早く出るにゃ……」

 レアが久しぶりに語尾に『にゃ』が付いたぞ?

「レアどうしたんだ?」

「ここにいると何か変な感じにゃ……」

 レアがフラフラとし始めた。

「レアさん!」

 手を繋いでいたルルアがフラフラしているレアを支える。


「おい、大丈夫か?」

「だ……大丈夫……にゃ……」

 どう見ても大丈夫そうには見えない。

「早くここを出よう。 エイシスさんも一緒に行きませんか?」

「そうですね……、私はまだ調査したいので、もう少しいます。 お仲間さんの体調がすぐれないようなので、早く出た方が良いですよ」

「……わかりました。 気をつけてください! エイル、ルルア行こう!」


 俺はレアを抱き抱え、遺跡を引き返した。

 途中の魔生獣はルルアが追っ払ってくれたので早めに出る事が出来た。


「……ご主人様……もう大丈夫です……」

 遺跡の洞窟を出るとレアの体調は良くなったようで、話し方も元に戻った。

「無理するな。 ホルデ村まではこのまま連れて行ってやるさ」

「ご主人様……」

 レアを抱き抱えたまま、ホルデ村に着いたのは既に日も暮れ二つの月が空に見える夜になっていた。


「よし着いたぞ」

「ご主人様ありがとうございます」

 温泉宿の部屋を二部屋借り、エイルとルルアにレアを頼む。


 そして次の日、すっかり元気になったレアにべったりとくっついているルルアがいる。


「ルルア、もう少し離れませんか?」

 ルルアはぶんぶんと首を振っている。

「ルルアはどうしたんだ?」

 エイルにこっそりと聞いてみた。

「なんでも、昨日レアの体調が悪くなった時、レアの語尾に『にゃ』ってついたのが気に入ったらしく、またレアが『にゃ』って話してくれるのを待っているみたい」

「そ、そうか……」

 レアも出会った頃は語尾に『にゃ』ってついていたが、いつの間にか言わなくなったよな。

 ま、その内ルルアが諦めるかレアが折れるかどちらかになるだろうな。


 こうして俺達の休暇は終わり、一度アームダレスに戻るのだった……。

 読んで頂きありがとうございます。

 次話も宜しくお願いします。

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