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五十八話 【湯煙の中で】

 ホランさんのお誘いでホルデ村の温泉宿に来た俺達は早速温泉に向かっていた。


「おお! これは!」


 温泉には俺以外に入っている人は無く、貸し切り状態だ。

 露天風呂は広く、景色も絶景。

 お湯の温度も丁度良い。


「はぁ〜……、極楽極楽……」

 体を洗ってお湯に入る。

 タオルはお湯に浸け無いのがマナーだよな。

 少ししてから隣りの女湯から声が聞こえてくる。


「うわ〜! 良い所じゃん!」

「絶景ですね〜!」

「ほらレアさん早く早く!」

「温泉は逃げないですよ」


 隣りからはキャッキャとした楽しそうな声が聞こえて来る。


「ふ〜……、気持ちいい……」

「良いお湯ですね〜」

「ですね〜……って! だれ!?」

「私ですよ〜」

「…………もしかして……ホランさん!?」

「そうです〜」

「え? だって? さっきまで兎さんだったのに!?」

「兎の姿のままだと〜、お湯が毛だらけになってしまいますから〜」

「まさかホランさん、人に変身出来るなんて知らなかった……」

「ここの温泉は〜、人族用ですから〜」


「レアさん、背中流してあげる!」

「ありがとう。 では交代して洗いましょう」


 なんだか向こうは楽しそうだな。

 こっちは貸し切り状態の露天風呂を楽しもう。


「ルルアの腕と足はお湯に濡れても平気?」

「はい、完全防水なので大丈夫です」

「ルルアの事は私が見ていますから安心して下さい」

「ありがとうレアさん」

「皆さん、仲が良いですね〜」

「沢山旅をして来た仲間ですから」


 脱衣室の扉が開き、一人の女性が入ってくる。

「邪魔するよ」

「あら〜、ネザじゃない〜……」

「外では兎美と呼んで欲しいね」

「「兎美さん!!」」

 人の姿となり、露天風呂に入ってきた。


「なんでこんな所に?」

「ケンジ達が温泉に行ったと聞いたんでね。 それにホランも一緒だって言うじゃないか。 せっかくだし私も温泉に来てみたのさ」

「兎美さん、お久しぶりです」

「あ〜……と、ルルアちゃんだっけ?」

「はい!」

「おや? そこにいるのは猫のレアだったか?」

「……お久しぶりですね」

「なんだい、まだケンジを誘惑した事怒っているのかい? そういやケンジはどうしたんだい?」

「ケンジさんなら〜、男湯に入ってるはずですよ〜」

「なるほど…… 、お〜い! ケンジ! そこにいるんだろ〜!」

 兎美さんの声が男湯まで響き渡る。


「い、いますよ〜!」

 とりあえず返事返しておこう。


「何やってんだい! 女湯にこんなに美女が集まっているってのに覗きに来ないなんてそれでも男かい!?」

「ちょっ、ちょっと何言ってるの!?」

「そうですよ兎美さん!」

「私はご主人様になら気にしません」

「私も別に〜気にしませんよ〜」

「ほらとっとと覗きに来な!」

 兎美さんからの無茶振りが過ぎる!


「で、出来るわけ無いじゃ無いですか!」

「なんだい、だらしないね。 せっかく選り取り見取りだって言うのに……、なんなら私がそっちに行ってやろうか?」

「え、遠慮します!」

 皆んなの事を想像してしまう……。

 良くない、良くないぞ……。


「……どうしたのルルア?」

「え、あ、その……、……皆さんスタイル良いなって……」

「ルルアはまだこれからしゃない」

「そうですよ〜」

「女の体はね、男の相手で育つのさ」

「ちょっと変な事教えないでくれませんか?」

 レアが兎美さんを睨んでいる。


「……男湯にまで聞こえてるんだよな……、さてと、もう上がるか……」

 湯船から立ち上がると、突然脱衣室の扉が開き、走って飛んでくる人影が……。


「うわっ!」

「ケンジー!」

 飛んで来た人影をキャッチしたが、勢い余って湯船に落ちた。


「いたた……って! アンじゃ無いか!」

「ふふふ……、ケンジを独占……」

 アンはタオル一枚を巻いて俺に抱きついている。

 タオル越しでもアンの慎ましくも確かにわかる感触が……。


「アン、一旦離れよ」

「……そう……?」

 アンが離れるとタオルを押さえていない為、ハラリと湯船に落ちる。


「あ、アン! 前! 前を隠して!」

「ん?……、別に気にしない……けど……」

「俺が気にするから!」

 俺はタオルを拾い上げるとアンに手渡す。

 タオルは湯船に浸けちゃダメ絶対。


「でも……タオルを湯船に浸けるのはマナー違反……」

「男湯に入るのもマナー違反だよ! 早く女湯に━━」

「やだ……」

 今度はタオルも巻かずに抱きついてくる。


「お、おいー!」

「ご主人様! どうしました!?」

 男湯と女湯の木の壁の上からレアが顔を出す。


「あ! ご主人様! 今助けます!」

 レアがタオル一枚で男湯に飛び込んで来た。


「ご主人様から離れなさい!」

「……やだ……」

 アンとレアがくっついてくる……。


「お、なんだか楽しい事してるじゃないか。 私らも参加しようじゃないか!」

「あらあら〜、それじゃ私も〜」

「ちょっと二人共! もう!」

「兎美さん、ホランさん! それにエイルさんも! 置いていかないで下さい!」


 男湯の脱衣室から走る音が聞こえると、皆んなが入って来た。


「み、皆んななんでこっちに! それに兎美さんやホランまで!?」

「せっかくだ、ここで宴会でもしようじゃないか!」


 兎美さんが脱衣室の方へ走って行くと、桶と酒を持って来た。

 そして何故か全員で男湯に浸かり宴会が始まった……。


「なあ、ここは男湯なんだから皆んなは戻った方が良く無いか?」

「いえ、また誰かがご主人様を襲うかも知れませんから」

「……邪魔が多い……」

「温泉でお酒も良いですね〜」

「ねえエイルさん、戻らなくて大丈夫なんですか?」

「大丈夫よルルア、お風呂の入口に荒物組の獣人の方も立っていたから」

「いいんでしょうか……?」


「ケンジそんな隅っこにいないでこっちに来たらどうだい?」

「い、いや、遠慮しておく……」


 月夜とお酒、良い景色と涼しい風で宴会は盛り上がる。

 そして……、エイル、ルルアがのぼせてしまい、男湯での宴会はお開きとなる。


 エイル、ルルアが回復すると、温泉宿の美味しい食事を食べ、浴衣で外に出歩き、お土産屋など温泉地ならではの買い物を堪能した。

 そして宿のふかふかの布団で眠る。

 久々の休息を満喫出来た。

 読んで頂きありがとうございます。

 次話も頑張ります。

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